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ニュース〜医療の今がわかる

大学教官の給料あげてやって 鈴木文科副大臣vs.癌研幹部

 16日に行われた鈴木寛文部科学副大臣の癌研研究所での講演会。癌研幹部との質疑応答が面白かったのでご紹介する。(川口恭)

 野田哲生・癌研研究所長
「マニフェストを読むとナショナルセンター(NC)と大学病院には言及がある。しかし、そういう枠組みではないけれどもきちんとやっているところもある。外形ではなく医療のクオリティに踏み込んで評価してほしい」

 鈴木
「今は過渡期で、現在進行中の診療報酬改定は緊急避難的なものにならざるを得ない。我々の方針が反映されて診療報酬改定が行われるのは2年3カ月後になる。我々は基本的に設置主体で分ける考え方は卒業しようと思っている。具体的な診療行為をきちんと見る。たとえば、例として適切なのか分からないが、公立病院で救急をちゃんとやっている所もあれば、やってない所もある。やってない所の隣に民間病院があって、こちらは一生懸命救急をやっている。こういう時にも、今までだったら公立病院の方に無条件に税金が流れちゃってたけれど、これはやはりおかしいんではないか。

 かかったコストと手間をきちんと見て、やったことに応じて報酬を支払うことにすべき。それは大変なことだけれど遠回りのようでも一番早いのでないか。何にどの程度の人が何時間かかわっているのか、医療材料をどの程度使うのか、機器はどうか、その減価償却はどの程度かということをきちんと積み上げられるようなベースづくりを始めないといけないだろう。それに関しては現場の皆さんにもぜひご協力をいただきたい」

 武藤徹一郎・癌研有明病院メディカルディレクター
「医学部に来る学生のモチベーションが以前とは随分違ってしまっている。私、東大の教授もやっていたけど、なぜ理3に来たのかと問うと偏差値が高かったからというようなのが結構いて、要するにエリートコースの1つになってしまっている。医者になるのがどういうことかというスタートからして違っていて、何が楽かという基準で行動するようなのが結構いる。そこら辺を文科省にお願いしたいのは、ひとつは医療や命に関することを小さな時から育ててほしい。そういうことなしに付け焼き刃で医師数を増やしても、楽な方に流れるのばっかり増えてしまう。

 もうひとつは現在の医療の状況には明らかに厚生労働省に責任があると思うのだけれど、医系技官の人たちが一体何を考えているのかということ。私はあの人たちをMDだと思っていたけれど、がんセンターの土屋さんなんかと話をしてみて最近思うのは、昔の古い教育しか受けてないMDとは言えないような人たちだ。あの辺のシステムを考え直していただかないと、出世して権力を持つようになって、自分が昔教わった教授に色々と言うのを快感に覚えるような変なのが結構いる」

 鈴木
「初中等教育の問題はおっしゃる通り。教科として『健康』のようなものを設けて患者、どんな人でもいずれは患者になり患者家族になるのだから、患者のメディカルリテラシーを上げていくのが、色んな意味で大事。その中で命の仕組みや命の大切さ、深みをこれから中高の教育の中で重視していかないといかんと思っている。

 高校の必修についても、もう一度考え直さないといけない。たとえば物理を履修しているのが現在2割ぐらいしかいない。現代社会を生きていくうえで何を必修として何を選択とするかは、もう少し考え直す必要がある。

 医学部の問題に関して言えば、私も偏差値の高い人が医学部に集まりすぎていると思う。日本の人材のアロケーションとしてもいかがなものかと思う。その背景に医師像が誤って伝わっているというのもあるだろうから、現実の医師像が正しくシェアされることにも意識して主導していきたい。ただ根本のことを言えば、前向きな人材が集まるだけまだ医学部は問題が楽。法学部などは本当に悲惨なことになっている。絶対的な少子化によって各分野のプロフェッショナル養成に足りるだけの人材を供給できてないというのも原点にある。

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