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ニュース〜医療の今がわかる

治癒率減少でも、医療の質は確保? ─ DPC影響調査

■ 「質の確保はされつつ医療の効率化」 ─ 昨年の報告書例
 

 厚労省はDPC評価分科会としての見解は示さず、昨年の報告書を"たたき台"にして意見を求めた。ポイントは、▽平均在院日数 ▽患者選別 ▽質の確保─の3点。

平成20年度調査の「まとめ」

 全ての病院類型において、平成19年度までと同様に、平均在院日数は減少傾向であったが、その要因は、患者構成の変化によるものではなく、診断群分類毎の平均在院日数の減少によるものであった。

 ▼ 「患者構成の変化によるものではなく、診断群分類毎の平均在院日数の減少によるもの」の意味はこちら。09年5月14日のDPC評価分科会で齊藤壽一委員(社会保険中央総合病院名誉院長)が質問、保険局医療課の長谷川学課長補佐(当時)はこう答えた。
 「先生御指摘は、2ページの下の(2)の部分でございます。こちらは、先生方の机上には配付してございますが、こちらの参考資料1を使って説明させていただきます。こちらの43ページをごらんください。よろしいでしょうか。43ページ、平均日数の平均の差による検討についてと。これはあくまで例示でございますが、一つの例としてお示ししております。こちら、上の表でございますが、DPCのMDC疾患分類として5つの疾患を例として示しております。その場合、平成19年度と20年度、件数とそれぞれの在院日数、病院における在院日数の平均を記載してございます。まず、上の在院日数の平均の変化による要因に関しましては、その場合の分析に関しましては、平成20年度と19年度の差を見る場合、平成20年度の件数を19年度の件数そのまま当てはめまして、在院平均日数のほうは平成20年度の元のデータを用いまして、こちらの差を見てございます。一方で、DPCごとの患者数の構成の変化による影響を見る場合におきましては、件数のほうは20年度につきましては20年度のデータをそのまま用いると。一方で在院日数につきましては、平成19年度の在院日数を用いまして、これによって差を見ると。両者の比較をいたしまして、結論としまして、主に診断群分類ごとの在院日数の減少によるものという結論が得られております」

 一方、緊急入院及び他院からの紹介の患者数は、横ばいから増加傾向であった。
 これらのことから、重症度の高い患者を避けるような患者選別の傾向は見られておらず、診療内容に悪影響は認められないものと考えられる。

 ▼  松田晋哉委員(産業医科大医学部公衆衛生学教授)が「重症度という表現は臨床的な判断を必要とする」と指摘、「医療資源をより多く必要とするDPCの患者」と書き換えることを提案した。

 ただし、救急車による搬送の率・患者数については、一部の類型の病院では、平成20年度はやや減少しており、今後も注視していくことが必要である。
 また、退院時転帰の状況においては、治癒及び軽快を合計した割合が横ばいであり、急性期としてある程度病態が安定した時点までの入院医療を反映しているものと考えられる。

 以上のことから、DPCにより、質の確保はされつつ医療の効率化が進んでいるものと考えられる。

 ▼ 伊藤澄信委員(独立行政法人国立病院機構医療部研究課長)が「質」を削除することを提案。

 また、これまで増加傾向であった再入院率については、平成20年度も引き続き増加傾向がみられた。平成20年度改定において、同一疾患での3日以内の再入院(病棟間の転棟に伴う再転棟も含む)については、1入院として扱うように算定ルールを見直したところであり、この影響について、今後も注視していくことが必要である。

 ▼ なお、DPCと医療の質との関係について、原徳壽・前医療課長は2007年11月2日の同分科会で次のように述べた。
 「そもそも、DPCとは何かという話にまで戻ると思うのですけれど、一つは、支払いの方式としてのと、ここではそういう議論になるのだろうと思いますが、支払い方式としてホスピタルフィー的な部分については包括的に支払っていきましょうというやり方ですので、それが医療の質そのものにいいか悪いかということには余りつながってはいかない。出来高だからいいとか悪いとかということではないと考えております」
 また、「治癒」について西岡分科会長は09年5月20日の中医協・基本問題小委員会でこう述べた。
 「かつて大学におりましたが、大学では治癒はないんです。よほどでない限りはないんです。ほとんどが軽快という言葉を使えということで、多分委員の方もそういうふうに習われたんだと思います。治癒というのは何かの傷をしたりとかで完全に治った場合だけにしか使えないものだったのですが、そこのところで、この定義で再度もう医者にかからなくても、あるいは大きなけがをしても瘢痕が残ったりとか何かが起こっても治癒としてしまうわけですね。本当は治癒ではございませんので、そういった意味でいろんな医療機関の場合に治癒の判断というのが少しずつニュアンスが違うということで軽快及び治癒も含めた形で出した場合のほうが退院の実態を把握できるのではないかということで、これまでこういうデータをつくらせていただきました」
 なお、「治癒」の定義については、08年10月15日の疑義解釈(その5)12月26日の疑義解釈(その6)を参照。「逆紹介率4割」が高いハードルだった「入院時医学管理加算」の算定施設が少なく、「勤務医の負担軽減策になっていない」などの批判があったため、「治癒」の定義を示した。これにより、88施設が200施設以上にまで増加、今回改定で「総合入院体制加算」に名前を変えて逃げ切った。
 DPCと医療の質をめぐる昨年の議論は、日本医師会が「退出ルール」をつくることを強く要望、厚労省がこれを受け入れていったん決着した。今年は、「質が確保できない病院はDPCから退出することができる」という理屈でかわすのだろうか。
 または、「医療の質が確保されているか、委員のみなさんでご議論いただきたい」という逃げ方もある。

 
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