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ニュース〜医療の今がわかる

「医療の質」の調査、いまだ先が見えず

■ 「終わったと思ったが、また出てきた」 ─ 分科会長
 

[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 (日本のクリニカルリサーチの数が減少したという)そういう現状の中で、DPCの制度を導入した何らかの影響があると(嘉山委員は言うが)......。

 ▼ 隣の小山分科会長代理らが不満そうに「どうして?」などとつぶやく。

 というご意見が出されていたんですが......。

[小山信彌分科会長代理(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
 どういう意味ですかね?

[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 と、私は記憶しているが、ま、これ、そのときはお答えしなかったが、私自身、最初にこのご意見がチラッと出たときには、「DPCとは関係ございません」とお答えさせていただいた。

 「いったん、それで終わったかな」と思ったが、またその意見が出てきた

 ▼ 6月2日、厚労省は2008年度診療報酬改定の影響を調査する「中医協・検証部会」の最終結果を報告した。この調査の重点が「患者満足度」に置かれていたため、嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)がこう指摘した。
 「私が大学人だからかもしれませんが、この評価の結果は、うまくいった、うまくいったという今の話なんですけれども、ほとんど、エンドポイントを患者満足度に置いてしまっているんです。例えば脳卒中の患者さんの死亡率が減ったとか、僕は今がんのことをそれで徹底的にやろうと医師にも研究所にも言って、この6月1日から体制を変えてやっているのですけれども、そういうものが全然ないんです。これだと、もともとWHOで言えば日本が世界一の医療結果を出しているんですけれども、この調査結果というのは、患者さんのエモーションを聞くためのものなんですか。もうちょっとサイエンティフィックなものを入れたらいいのではないかと思うんですが、調査部会としてはどのような意見でこんな患者満足度ばかり調べているんですか。こんなのは、人間の欲望はどこまでもあるわけで、ホテルの接遇を医療の質と勘違いするような評価の仕方になっていると私には思えるんですが、もう少しサイエンスとしての評価をしたらいいのではないかと思うんです。これはどなたに聞いたらいいか分からないんですが」
 遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)も理解を示し、こう述べた。
 「嘉山委員がおっしゃっているのは、もう少しクリニカルインデックスを使ったものを調査するべきではないかというご意見だと思います。それについてはほとんどやっていなくて、強いて言えば、禁煙のところで多少やっているかなというところがありますので、それをやるのか、やらないのかというのは、今後の議論だと思います。ご指摘のとおり、クリニカルインデックスを使った医学的な評価といったものについては不十分だというところは確かにある」
 検証部会長の牛丸聡委員(早稲田大政治経済学術院教授)も、「調査自体は患者だけでなく、施設、それから医師のほうにもきいておりますが、嘉山委員が指摘されたような科学的というか、そういう面での調査はほとんどないということは確かです」と回答。その上で、「ちょっと専門外ですから科学的なことは分かりませんが、次に平成22年度の調査を行いますので、そこでまた発言していただきたいのですが、そこにどういう形で入れられるか、それによると思いますが、いかがでしょうか」と投げ掛けた。そこで、嘉山委員はこう言った。
 「まず2つあるんですけれども、私は、こういうことをずっと繰り返してきたので、日本の国民が、医療の質というのは患者満足度と誤解しているところがあるんだと思うんです。ですから、マスメディアで日本の医療の質が低いということに対して、関原委員が前にそんなことはないと言っていただいたので、中医協としては初めてのああいう公益側の発言だったと思って僕は本当に感謝しているんですけれども、患者満足度は医療の質ではないんです。今度からはそれを誤解されないような調査にしなければいけないのではないかというのが1点です。
 もう1つは、(公益委員の)森田先生ともよく話しているんですが、日本の医療評価のエビデンスがないので、このような調査になってしまわざるを得ないので、1日も早くエビデンスをつくれるような、つまりエンドポイントが分かるような、がん登録1つにしても、まだほとんどできていない、3割から4割しかできていないという状態で、その科学的なものを入れるのはなかなか難しいんです。ですから、厚生労働省としては、お国でもいいんですけれども、このエビデンスをつくれるような体制を早くつくる。今、牛丸委員がサイエンティフィックなことをどうすればいいんでしょうねとおっしゃった答えとしては、エビデンスをつくるためには、正確な科学的な情報をきちんとつかめるようなシステム化をするということが、何度も言っていることなんですけれども、大事だと思っています」
 この発言に対して、遠藤会長は「医療の質の評価に患者満足度はないというのは言い過ぎです。医療の評価の中の1つに間違いなく患者満足度があるというのは、学界の定説です」と反論した。
 その後も議論は続いたが、遠藤会長が「あまり抽象的な話をしても食い違いがありますので、次回の検証項目に絞り込んで、どういう質問にするかということを今後議論することになりますので、それはまた総会にお諮りしますから、そのときに具体的にこういうことを聞くべきだという形でおっしゃっていただきますと、我々としても非常に議論がしやすいということになりますので、ぜひそのときによろしくお願いします」と収め、継続審議とした。(詳しくは、厚労省の議事録を参照)


【目次】
 P2 → 「DPC制度に係る当面の課題等」 ─ 分科会長説明
 P3 → 「クリニカルリサーチはDPCと全然関係ない」 ─ 分科会長
 P4 → 「終わったと思ったが、また出てきた」 ─ 分科会長
 P5 → 「診療ガイドラインを100%守る施設はとんでもない」 ─ 山口委員

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