なぜ、医師を増やすの?
■ 「医学部の新設は到底あり得ない」 ─ 中川委員
[中川俊男委員(日本医師会副会長)]
第1回目ですので、各論の細かいことを申し上げるつもりはございません。今回、厚労省の資料の15ページ(病院等における必要医師数実態調査)にありますが......。
▼ 同調査はこちらを参照。調査の概況によると、「必要求人医師数は18,288人であり、現員医師数と必要求人医師数の合計数は、現員医師数の1.11倍であった。また、調査時点において求人していないが、医療機関が必要と考えている必要非求人医師数を含めた必要医師数は24,033人であり、現員医師数と必要医師数の合計数は、現員医師数の1.14倍であった」としている。
必要医師数の実態調査ですね。こちら、1.1~1.2倍という結果には、現場の感覚から言うと驚いたわけです。ところがですね、短期的な解消方針としては......。
もちろん、(医師の)絶対数は十分ではありませんが、日本の医師不足の特徴として、偏在というものが一番大きいんだと思います。その解消策をどうするのかが、この検討会の1つの重要な論点だと思っております。(中略)
「偏在をどう解消するか」ってことに知恵を絞るんだろうと思います。来年度から8923名という医学部定員で行けば、2020年、2025年には、例えばG7(先進7か国)の平均並みに到達するわけですね。
その時、私、黒岩委員(全国医学部長病院長会議会長)が言ったことに賛同するのですが、将来的に医師数が過剰になった場合にですね、日本の医学部の定員数の調整でやっていくことだと思っているんです。
あの、事務局に次回出していただきたいんですが、歯科の先生方、ひじょーーに苦労してます。もう簡単に言うと、誤解を恐れずに言うと、悲劇的っていうか、大問題になっています。
これは定員割れの大学が続出しているわけですよね。そういうことも考えれば、今井委員(東大医科研究病院長)がおっしゃいましたけれども、医学部を新設するということはですね、現時点においては到底あり得ないこと。第1回目なので、あえて申し上げたいと思います。以上です。
[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
ありがとうございます。それでは中村委員、お願いします。
【目次】
P2 → 「日本が医療分野で世界に貢献し名誉ある地位を」 ─ 鈴木副大臣
P3 → 「世界最高水準の医療を続けていくために」 ─ 安西座長
P4 → 「医師数は年々増えている」 ─ 厚労省医政局
P5 → 「医師が何人働いているんですか?」 ─ 山本委員
P6 → 「現在の医学部定員は限界に達している」 ─ 矢崎委員
P7 → 「地域医療が崩壊している」 ─ 中川委員
P8 → 「新たな医学部を立ち上げた方が早い」 ─ 今井委員
P9 → 「医師のアロケーションの問題が大きい」 ─ 片峰委員
P10 → 「今の医療資源をどう有効活用できるか」 ─ 栗原副座長
P11 → 「現在のOECD平均3.1人を超える時代が来る」 ─ 黒岩委員
P12 → 「福祉的な面の医療が不足している」 ─ 桑江委員
P13 → 「すぐ医師を増やすか医療全体から考えて」 ─ 坂本委員
P14 → 「基礎研究に入ってこられる環境づくりが大事」 ─ 妙中委員
P15 → 「医薬品の研究開発に医師が必要」 ─ 竹中委員
P16 → 「様々な病院を循環できる制度づくりを」 ─ 丹生委員
P17 → 「医師の業務拡大という広い意味で考えて」 ─ 永井委員
P18 → 「医学部の新設は到底あり得ない」 ─ 中川委員
P19 → 「既存の医学部を強化していく」 ─ 中村委員
P20 → 「精度の高い調査を目指すことが必要」 ─ 西村委員
P21 → 「粗製濫造、青天井の医師養成になってしまう」 ─ 濱口副座長
P22 → 「周辺領域と合わせて定員の議論を」 ─ 平井委員
P23 → 「モデル事業として新しい構想の医学部創設も」 ─ 矢崎委員
P24 → 「若手の研究者が非常に少なくなっている」 ─ 山本委員
P25 → 「ジグゾーパズルを全部はめ込んで絵にする」 ─ 安西座長
P26 → 「アジアの若者を日本が育成する視点を」 ─ 鈴木副大臣
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