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ニュース〜医療の今がわかる

原発作業員の健康被害に備え補償策を ─ 虎の門病院

■ 「生殖器の次に障害を受けるのが骨髄」 ─ 谷口部長
 

[谷口修一・虎の門病院血液内科部長]
 血液内科の谷口と申します。

 まず、今回の福島の原発事故が......、事故というか、原発に何らかの異常をきたしたという報道がなされた段階で、私ども血液内科医としては、東海村の(JCO臨界)事故のことを思い出しました。

 あれは、(作業員)2名の方が東京大学医科学研究所(附属病院)に運ばれまして、まずはいわゆる骨髄移植をお受けになっています。

 それはまず急性の放射線障害ですね、それが起こった場合に、全身に被曝した場合......、もちろん、今回の事故のように皮膚だけがやられることもありますが......。

 一般的には、全身に照射を受けたときに、最も一番最初に感受性の高い組織としては生殖器ですね。簡単に言うと、子どもが産めなくなるというようなことがあります。

 次に感受性が高いのが骨髄。造血組織です。また、腸や皮膚などが障害を受けますけれども、肺とか、全身の臓器が障害を受けるわけですが......。

 (資料の)私の文章中にありますように、全身照射で骨髄が完全に破壊される照射量というのは、大体2グレイから4グレイ。シーベルトに直すと......、ちょっと計算間違いするといけないので、2グレイから4グレイ。

 我々は白血病治療にそれを使いますので、12グレイぐらいの放射線照射をかけます。

 ところが、例えば食道がんとか肺がん、乳がんとか、局所の臓器に対して放射線を照射いたしますと、その場合は30グレイから......、先ほど食道がんの専門の先生に確認してきましたが、60グレイぐらいの量をかけるそうで......。

 もちろん、これはすべての臓器にかけるわけではなくて、限定した組織にかけますので、やや判断を難しくしますが、少なくとも4グレイで骨髄組織が破壊されるのに対して、臓器は数十グレイまで耐え得るというか、まあ、比較的耐え得るということで......。

 生殖器の次に障害を受けるのが骨髄組織です。ですから、あの方々、JCO事故の時の2名共、まず骨髄移植をお受けになっています。

 結局、白血球、赤血球、血小板、我々の生命を支える......、すべての臓器が我々の生命を支えますが、基本となる......がなくなるわけですから、まずそれを救命しようということで......。
 

【目次】
 P2 → 「健康被害の脅威ある中で作業」 ─ 山口院長
 P3 → 「生殖器の次に障害を受けるのが骨髄」 ─ 谷口部長
 P4 → 「突飛なことをやるわけではない」 ─ 谷口部長
 P5 → 「未承認薬は50人分を輸入している」 ─ 谷口部長
 P6 → 「日本全国の血液内科の病院が一体となって」 ─ 谷口部長
 P7 → 「オールジャパンで支援体制を組みたい」 ─ 豊嶋准教授

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