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ニュース〜医療の今がわかる

原発作業員の健康被害に備え補償策を ─ 虎の門病院

■ 「突飛なことをやるわけではない」 ─ 谷口部長
  

[谷口修一・虎の門病院血液内科部長]
 あの(東海村事故の)場合は、まず血縁のドナーさんからの臍帯血移植が使用されましたけれども......、いわゆる自分ではない細胞ですね。

 残念ながら皮膚、腸管の損傷が強く......、これは放射線によるものだと思いますが、救命に至っておりません。

 今回の事故を受けて、まず最初に思ったのは、あそこ、あの場所で従事なさる方々は......。もちろん、関係部署の発表では、当初、(原発作業員の許容被爆量は)100ミリ・シーベルト......、(厚生労働省は15日に基準を緩和して)250ミリ・シーベルト以内で働けるように調整しているから大丈夫だというふうな報道もなされているかと思います。

 もちろん、その範囲内でできる場合にはそれでよろしいのでしょうが、今後どういった不測の事態が起こるとも限りませんので、我々血液内科が普通の診療でやっている自分の造血幹細胞採取......。

 これは様々、(配布)資料にありますけれども、血をつくる大元の細胞です。

 骨髄移植というのは、造血幹細胞の細胞移植に他なりません。これはもう、世界的に40年、50年の歴史がございます。国内でも30年、40年ぐらいの歴史のある古い治療法です。

 もし、自分の細胞を事前に採っておくことができれば、これは......。他人から入ると、どうしても様々な免疫反応が起こって、その対応に2か月、3か月ぐらいかかります。

 それをやりながら、腸とか皮膚の治療をするのはかなりの困難を伴います。それが、自分の細胞であると、大体2週間ぐらいで白血球が増えてきますし、3~4週間ぐらいで赤血球、血小板が増えてきて......。

 その段階で様々な免疫反応が起こりませんので、免疫抑制剤を使う必要がなく、そのまま骨髄機能に関しては回復するはずなんです。理論的に回復します。

 この方法というのは、主に1980年代の後半......。それこそ、我々のチームで、自分の造血幹細胞を採っておいてそれを白血病治療に応用するというこの移植は、我々のチームで国内では開発しましたし、もうかれこれ1980年代の後半ですから、20年以上経っておりますし、保険診療としても20年近くになると思います。

 ですから、とても......、何か新しいことを思いついて突飛なことをやるわけではなく、我々の通常診療の中の技術を応用することで、今から作業に向かわれる、それも最前線の方々から事前に採っておくと、様々なことで有用な場合があるだろう。

 言い換えると、もし私もしくは我々の友人、家族があのような場に行かなければいけない場合、僕は間違いなくそれを採ることを勧め、採ってから行くように勧めるだろうと思います。

 自分たちがそう思っているのに、それを社会に対して言わないのはおかしいと思って、事故後ほとんど時を空けずにこういうことをやろうということを提案しています。

 今日の記者会見は、もう既に運動の中で......。あそこに行かれる関連企業の方々がもう既に、「できれば自分の従業員のを事前に採っておいてくれないか」というようなオファーも来ております。

 今までの医者の伝達能力というのは、ご存知のように限定的ですので、できれば(メディアの)皆さんに来ていただいて、そういう情報を広く......。そういう、東京電力......等ですね。

 多くの方々に知っていただいて、もしそういうことを希望なさる企業うんぬんあれば、「いつでも対応できる準備ができました」ということの発表であります。
 

【目次】
 P2 → 「健康被害の脅威ある中で作業」 ─ 山口院長
 P3 → 「生殖器の次に障害を受けるのが骨髄」 ─ 谷口部長
 P4 → 「突飛なことをやるわけではない」 ─ 谷口部長
 P5 → 「未承認薬は50人分を輸入している」 ─ 谷口部長
 P6 → 「日本全国の血液内科の病院が一体となって」 ─ 谷口部長
 P7 → 「オールジャパンで支援体制を組みたい」 ─ 豊嶋准教授


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