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ニュース〜医療の今がわかる

放射線って何? きほんのき

68-2-1.JPG 東日本大震災関連の『ロハス・メディカル』5月号記事。今度は各版共通に掲載するものです。零細メディアゆえ機動力に欠けるという点は忸怩たるものがありますが、その分、少し俯瞰して理解する助けにはなると思います。実は、意外と分かってなかったことが多いのではないでしょうか。
(ここから)
 東日本大震災によって引き起こされた福島第一原発の事故は、にわかに放射線への恐怖を高めました。マスメディアによる報道も、派手に大量に流れた割にはよく分からないものが多くて、無用のパニックを呼びました。そもそも、放射線は医療の世界で有効に使われているものでもあります。原発のことはさておき、医学的な基礎知識を整理してみましょう。
監修/西尾正道 北海道がんセンター院長

68-2.12.JPG いきなり恐縮です。「放射能」と「放射線」という言葉の意味が違うこと、ご存じですか?
 区別せず、ごっちゃにしていた方も多いのでないかと思いますが、実は違うものなんです。
 「放射線」は、「放射線を出す物質(放射線源)」から出てきて、色々な効果を生む無色無味無臭のものです。「放射能」は狭義には「放射線を出す能力」のことを指しますが、放射線源と同じような意味で使われています。
 イメージしやすい比喩として、ホタルを思い浮かべてみましょう。ホタルが放射線源、ホタルの光が放射線です。飼っていたホタルがカゴから逃げ出すと放射能漏れということになります。
 もう一つ言葉の話です。「被ばく」と聞いて、原爆攻撃を受ける「被爆」と同じに受け止めている方、いませんか? また、被ばくした人が放射能に汚染されている、と思っている方、いませんか? 両方とも誤解です。
 単純に放射線を浴びること、これが被ばくです。「被曝」という字を使います。問題になるかどうかは、浴びた放射線の量次第です。対して「放射能汚染」というのは、放射線源が付着している場合を指します。その場合は、付着した線源を洗い流す除染が必要です。

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