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ニュース〜医療の今がわかる

医療事故調検討会1

 山口徹・虎の門病院院長
「モデル事業を通じて、第三者機関ができたからうまくいくとは限らないことを痛切に感じている。近年、多くの病院が医療安全に取り組むようになったが、その基本は再発防止のため、責任追及をしないかわりにヒハリハットなどのインシデント事例を現場から報告させており、第三者機関でも、再発防止に基本的スタンスを向けていかないと病院の取り組みにも大きく影響しかねない」
木下委員と発言の順番が逆だったら恐らく当然の指摘として引っ掛かることもなかったと思うのだが、この順番で聴かされると、やはり医療界の論理が前面に出ているような気色悪さは残った。

 何か釈然としない気持ちを児玉安司弁護士の発言が救う。
「ここ10年ほどで、医療界も法曹界も大きく変わった。そのことを互いにシェアしたい。まず医療界の変化から。2002年の医療法施行規則改正に伴って、医療現場では多くの医療安全に対する取り組みが行われてきた。その代表選手がモデル事業だと思うが、極めて不完全な医療という分野の特性から、現場に疲弊感が積もっている。よく真相究明機関として対比される航空機事故調査委員会や海難審判と医療には二つの異なる点があると思う。

一つは、専門家が何人も集まって真剣にカンファレンスしても、なお分からない、そういうことが多々ある。暗闇の中を手探りで進むような不完全・不安定・不確実なものが医療であること。もう一つは、例えば海難審判がプロ対プロの決着であるのに対し、医療がプロ対市民の構図になること。事実を誰がどこまで定められるのかという問題とあいまって、対話の促進が図られるような機関が必要になる。

ついで法曹界の変化を紹介すると、裁判の平均的審理時間がここ10年ほどで劇的に短くなっている。医療訴訟の平均審理時間は10年前には40カ月だったが、全国平均でも26カ月になっているし、東京地裁に限れば20カ月を切っている。しかも東京地裁での和解率は64%に上り、双方の納得による解決が図られている。また東京地裁の場合、既に1人の鑑定人による裁断という方式は取られておらず、13大学から3大学3人の鑑定人に出てもらって法廷の場でカンファレンスしていただき、その模様を原告・被告が見ることで納得が得やすくなっている。東京の3弁護士会も合同で1月からADRプロジェクトチームを立ち上げており、仲裁センターを足場に、近い将来、もう少し具体的なものを示せると思う。ということで、この検討会でも、未来志向型に関与していきたいものだと考えている」

前田座長が我が意を得たりという感じで
「裁判はまさに責任追及の場で、そちらでも厚生労働省の望む方向になっているということは、こちらの第三者機関とすり合わせできるということだろう」と応じた。
「厚生労働省の望む方向」という発言は、り付けに従っていることを語るに落ちている感じはするのだが、まあ皆分かっていることだろうから、あまり気にしないことにしよう。

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