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ニュース〜医療の今がわかる

臨床研修検討会2

嘉山
「大学に問題があったことは間違いない。雑用なんかないというお話だったが、たしかに診療に関連することはそうかもしれないが、文書関係の医師がやらなくてもいい、そういう雑用も多い。高等教育費が先進国中ビリから二番目で、大学病院にはクラークなんて全然いなかった。我々がわざわざやらせてたわけではなくて、構造的に仕方なくだ。最近ではCBTというものも導入されて、大学教育自体がモダーンになってきた。徒弟制で何かと問題が起きていたことも確かで10年以上前にはたしかにあった。

辻本委員と富田先生が大学病院の問題を表面に出しすぎたので、少し話を戻して国民目線で整理をしたい。臨床研修制度のアドバンテージは、眼科や皮膚科、精神科などストレート研修に入ってしまうと全身を診られない医師ができて、命にかかわる事象が起きた時に対処できないという弊害があったが、循環器とか呼吸器とか脳とか命にかかわる分野を一通り回っておくことで、できるようになった。一方で悪い面は、子供たちにパンドラの箱を開けさせてしまったこと。マッチングで全国どこへでも行けるようになったことで、一般社会と同じ倫理観、一般社会にもちゃんとした人はいるけれど、それで病院を選ぶような状態になってしまった。上の方の3分の2位はよく研修できていると思う。全体をボトムアップさせる視線は必要で、今後は質を担保しながら地域医療の崩壊をくいとめつつ、診療科の偏在も解消する取り組みをしないといけない。ただし前提となるのが、絶対的な医師不足であり、医療費が少ないということであり、教育費も足りないということ。

臨床研修制度のマズかったところは科ごとにやっちゃったこと。実は命にかかわるプライマリケアは、一部の科を除けば全科でやっている。その最低限のところをマスターしたらよい。実はそういう目標は既に決められていて、4年生時のCBT、卒業時の国家試験、さらに2年間の臨床研修で学ぶことになっている。文部科学省とシームレスにできるのならば、知識は4年時のテストと国家試験で終わっている。あとは実地だけだ。そう考えれば1年でできるだろう。資料として、いつも大熊委員が使う手法を私も使ってみた。群馬大の5年生からメールをもらったので個人情報だけ消して出す。学生は、現在の教育は無駄を繰り返していると見ている。実技に関して言うと、何歳で始めようが最初は皆同じ状態だ。

どこの科で勉強しても構わないから、最低限の目標をクリアしたところで指導医が保証することにすればよい。現在の研修では500床以下の病院に行った場合、きちんと身についたのかは自己評価しかない。500床以上では第三者が保証している。現在は100床以上が研修医受け入れを許されているが制限を加えてもよいのでないか。毎年2000人程度が、そういう質の担保のない研修を受けて、往々にして専門研修にきちんと入れないから、フリーター医師予備群になってしまう。どこで線引きをするかについては意見分かれるにしても、きちんと受け入れ体制のある病院に絞るべきでないか。文部科学省の方には失礼な言いかたになるが、これは厚生労働省がやってしまった「医のゆとり教育」でないかと思う。もちろん線引きにあたって、地域医療の崩壊をくいとめる観点から、地域の特性を考慮することはあって構わないだろう。一県一医大制というのには、大学病院に地域を守る使命があると思う。

それから前回齋藤委員が指摘したように、国家が法律で行わせている研修であるにもかかわらず、処遇が病院によって違うというのもおかしいのでないか。司法修習生は全員同じだ。研修を義務づけているということは、一人前になるために勉強しなさいということで、同じ勉強をするのに、なぜ処遇が違うのか。

以上3点述べた。ベッド数制限に関しては、小さな病院が大きな病院と組んでたすき架けのプログラムを組むことは可能としても、ある程度のベッド数制限は必要と考える。いずれにしても、3つの根本的な悪条件のもとでやらないといけない。医師不足に関しては、養成数1.5倍という方向性が示されて少し改善の動きが見えた。しかし根本的には医療費の増額、教育費の増額が必要だ。これだけモノがない国でセーフティネットである医療と教育にお金を使わないとは一体どういうことか」

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