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ニュース〜医療の今がわかる

臨床研修検討会2

永井
「1年あたり8000人の医師が減ったというプレゼンだったが、大学の外にいると8000人減ったという実感はない。臨床研修があるために、卒前教育の部分が後退してすぐには戦力にならないということはあるかもしれないが、存在はしているので必ずしもゼロになったとは私自身は思っていない。

むしろ国民の目線から見れば、昔は内科とか外科とか広い分野を診られる医師が当たり前だったけれど、多くの大学病院が臓器を冠した専門科になってしまっていて、しかも若い先生たちは卒後2年でもう『自分は循環器専門』というような話し方をする。まずは国民のニーズとしての救急とか初動としてのプライマリの能力を担保するために臨床研修制度が始まったんだろう。それがいいバランスになっているかは別の問題である程度ベッド数を地域のオンジョブで決めていくことは大切だろう。2年を1年にするんであれば、1年で何を期待されるかしっかり議論しておかないと、1年すらもう要らないという話になりかねない。メリットとデメリットをしっかり整理したうえでないと。

自分が5年間医局で研修を受けた経験からすると屋根瓦制というか、2年生から1年生が教わるというようなのが身に着いた。大学の教官数は諸外国と比べてもケタ違いに少ないのだから、研修指定病院と大学とで協調してもよいのではないか」

大熊
「元に戻したいと言っている方々は二つの意味で人を差別している。若い人たちは、お金に目がくらむということと、都会を好むのだと決めつけている。そうではない。彼らは真剣に自分の将来を考えて選んでいる。もし素晴らしい研修があるのなら、少しくらいの不便は受け入れようという気がある。学生に選ばれる大学になることが先でないか。それから大学病院より一般病院の方が倫理観に欠けるというような発言があったけれど、そういう発言が特に金沢大病院の方からされるというのが不思議だ。金沢大の産婦人科では、わざと抗がん剤を大量に投与して患者が死んでしまって、しかもそのことを注意した人を干すということをしているではないか。

2年か1年かということで言えば、グローバルスタンダードは2年だ。例外は米国が1年だけだけれど、しかし米国では大学にいる時から濃密な研修をしている。変に短くすると患者からすれば危なっかしい医者が出てきてイヤだ。

元々の医師の数が論じられていないが、そもそも数が少なすぎる。特に千葉や埼玉といった戦後急激に人口の増えた所がすごく少ない。たとえば千葉には600万人に千葉大1個しかない。だから調子市民みたいに日大が引き上げたらすぐお手上げといった感じになってしまう。そういう所では少し位定員を増やしたところで焼け石に水。メディカルスクールを作って社会人からの養成を積極的に進めるべきでないか。そういう医師の少ない県に限ってでも作ることを検討したらどうか。大学の機能評価などで訪問してみると社会人になってから入り直した人はしっかりしていて、ストレートの医学生からも尊敬されていることが多いようだ。2つとか3つとか、メディカルスクールを増やすことを検討してはどうか」

嘉山
「いつも大熊先生とは論争になるのだが、先生の話し方には悪い癖がある。特殊な例を挙げて一般化するという悪い癖がある。金沢大がどうか知らないが、大学病院が悪いというのなら、じゃあ一般病院がちゃんとやっているという証拠を示してもらいたい。天下の大熊先生ともあろう人が、と思う。山形大病院では医療事故の存在を隠しただけで教授が処分された。先生の論法でいくのならば、山形大の特殊例を見れば大学病院は実に素晴らしいことが分かると言わなければならない」

これは見たことのないくらい鮮やかなカウンターパンチだったと思う。ミクロでマクロを語るのは日本のマスメディア全部そうだが、傍聴していたマスコミの連中は自分も同じことをしていると思い当たっただろうか。嘉山委員の発言に戻る。
「福井先生のご質問にお答えすると、教養部が解体されて前倒しになっている。コアカリキュラムとアドバンスと全国にデコボコはあったがCBTなんかカンニングできない仕組みが導入されて随分と均質化された。先生が大学病院にいたころよりは全国のボトムが上がっている。大部分は臨床研修で良くなっている。でも将来ちゃんと働けないような少数の人もいる。そういう人も含めてきちんと質を担保しないと医療への信頼回復することがなくなっちゃう。これはevidenceである」

小川彰
「大学と大学以外という括り方はやめていただきたい。大学がなければ医師はできないのであり、同様に市中病院も欠かせない、それだけのことだ」

吉村
「先ほど、制度が入ったのは専門分化が進み過ぎたからプライマリケアを診られるようにとの趣旨との話だったが、プライマリをいつやるのかは重大な論点だろう。今のようなシステムがいいのか。2年終わった段階で即座に担えるなら、ある意味今のような医療崩壊にはなっていないはず。大学の医師派遣能力が失われたという話にしても、中堅なら派遣だろうが、5年目までは育成の一環として一線に出てみるということのはず、その二つは分けてもらわないと。後期研修につながるよう、専門医の育つところで初期研修も行うべきではないか」

舛添
「本会議の開始がズレたので最後までいられた。いろいろなご意見ありがとうございます。これ提案というか厚労省、文部科学省ともにやってもらいたいのが実態調査とアンケート。対象は学生でも研修医でもいい。金のためなのか、何がイヤで大学を離れるのか。読売私案のように行き先を決めるのは反対だ。ペイを一緒にするという話、これは必ずしも悪くない。でもペイが悪くても、どうしても行きたいところへ行くというのなら意味がなくなる。その辺り、ここにも様々な立場の先生方がいらっしゃるので、ご協力いただいて、今の現場の意識を知りたい。それなしに読売のような提案をして、医師を計画配置しても医学生に規制はイヤだと言われたらどうするのか。それから現場で研修を担っている先生たちにも、教育現場はどう考えているのか外口局長と新木課長、早急にアンケートして実感をつかんでおきたい。それをたたきだいに議論すべきだろう」

次回は11月18日だそうだ。

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