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PMDA(医薬品医療機器総合機構)の不思議-最終回「お金」

 2006年度決算の審査部門を見ると、手数料として54.3億円の収入を予算立てしていたが、実際は44.8億円しかなかった。これについて、「処理実績は見込みを上回ったたが、収益化されない滞貨処理件数が見込みを上回ったため」との記載がある。審査に長い時間をかけると収入が減る、そんな構造になっていることが分かる。
 
 一般的に、PMDAは「お上」と言われ、企業の方が頭を下げて承認審査をお願いしているイメージがある。しかし収支構造を見れば、企業の申請が少なくなったり、審査が滞った途端にPMDAの財政基盤は傾くことになる。
 
 これについて、薬害肝炎検討会でも、患者側委員から、PMDAが企業の意向を反映して動きかねないことを懸念する意見が上がっていた。

 PMDAが安全で有効な医薬品を国民に届けていくという使命のもと、きちんとしたシステムを整えていれば大丈夫だという見方もある。しかし実情を知る人々は、懸念を隠さない。
 
 PMDAで審査員をしていた小野俊介氏(東大大学院薬学系研究科准教授)は、「現状のPMDAの体制では、誰が目の前にある薬の審査に携わったか、顔が見えず、責任体制が不明確。PMDAは『この薬を使用するときは注意してほしい』というプロの視点からのメッセージを出していくべきだし、なぜこの薬が承認されたかという理由も国民に示していってほしい」と言う。誰が審査にかかわったかが分かるFDAと比較しても、PMDAにはプロとしての意識が足りないと話す。

 その懸念は、PMDAの本来業務は一体何なのかという問いにも帰ってくる。
 
 薬害被害者でPMDA運営評議会委員の間宮清さん(財団法人いしずえ=サリドマイド福祉センター事務局長)は、薬の副作用救済について「無過失だから医師にも責任はないことになっているのに、患者に知らせたり投薬証明書を出すのを拒んだりする医師がいる。医師も患者も被害救済制度を知らないのが問題」と指摘する。PMDAの健康被害救済部で働く佐藤絵美さんも、「制度について書かれているPMDAのポスターも目立たないし、友達に聞いてもこの制度を知らないという。もっとこの制度が知られていってほしい」と話す。
 
 今年のPMDAの新人100人に対する舛添要一厚生労働相の訓示は、ドラッグラグ解消と薬害再発防止という「審査」と「安全対策」にかかわるものだった。

 被害救済から始まった組織は、どこへ行くのだろうか。

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