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08年度診療報酬改定の結果の検証―5月20日の中医協総会

5月20日の中医協開始前.jpg 中医協・診療報酬改定結果検証部会(部会長=庄司洋子・立教大大学院教授)は5月20日の総会で、2008年度診療報酬改定の影響を検証するために実施した「特別調査」(08年度調査)5項目について、「検証部会としての評価」などを報告した。検証部会の評価と、これに対する委員の発言要旨をお伝えする。(新井裕充)

 

1.病院勤務医の負担軽減の実態調査

 ○ 検証部会としての評価

 本調査では、医師の勤務時間や当直回数、処遇状況や負担軽減策の実施状況等について詳細な情報を提供してくれた。自由記載部分も含め今後のとるべき方策に大いに示唆を与えるものである。
 ただし、本調査の対象は「入院時医学管理加算」、「医師事務作業補助体制加算」及び「ハイリスク分娩管理加算」のいずれかを算定している施設であり、得られた結果についてはその点を留意する必要がある。これらの施設は比較的医療資源が豊富であると思われる施設であり、全ての施設において同様に普及していると受け取るべきではない。また、1年前と比較して医師個人の勤務状況に関して、医師責任者の場合13.2%が「改善した」「どちらかといえば改善した」と回答し、37.8%が「悪化した」「どちらかと言えば悪化した」と回答している。医師の場合14.3%が「改善した」「どちらかといえば改善した」と回答し、34.8%が「悪化した」「どちらかといえば悪化した」と回答している。
 調査結果が示すように、病院勤務医の状況はよいとは言えない。
病院勤務医の負担軽減は診療報酬の設定のみで解決できるものではないが、効果が認められる項目等が見受けられることに鑑みると、引き続き、診療報酬においても、病院勤務医の負担軽減策を実施することが必要だと考えられる。
 特に施設における病院勤務医の負担軽減策の取り組みの有無で、入院・外来診療に係る医師の業務負担には大きな差違は認められないが、実際に負担軽減策の一環として業務分担を進めている項目について「静脈注射および留置針によるルート確保」、「診断書、診療録・処方せんの記載の補助」、「主治医意見書の記載の補助」等ある程度の効果が認められるものもある。特に、後者の二つは多くの医師が負担だと感じている業務であり、それだけに業務分担の効果が大きく表れたと思われる。今後も引き続き更なる改善策の検討が必要だと考えられるが、その際には、現場の医師の方が医師責任者より業務分担の効果が小さいと受け止める傾向があることを踏まえ、より効果的な方策を検討する必要がある。
 診療報酬の要件についてみると、まず「入院時医学管理加算」については、平成20年7月1日現在の施設基準の届出数が88施設と少ないことが指摘される。病院勤務医の負担軽減に繋がるように、施設基準の要件の見直し等について検討する必要があると考えられる。
 また勤務医負担軽減に関する計画については、医師責任者及び医師の認知度が低く、施設を挙げての体系的な取り組みが求められる。
 勤務医不足を背景に一部の施設では医師に対する経済面の処遇改善が実施されているが、基本給もしくは勤務手当が増額されたと回答した医師責任者はそれぞれ1割程度であった。また、基本給の増額より手当を充実させている施設が多いことがわかった。

 ○ 発言内容の要旨は以下の通り。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 ありがとうございました。この報告書の作成に当たっては、検証部会の時間だけでは十分な議論ができない部分があったので、公益委員の中で意見交換しながら、「検証部会としての評価」をまとめた。
 私自身、公益委員なので言いづらいが、中医協の会長として申し上げると、庄司部会長をはじめ、公益委員の皆様方の努力に感謝を申し上げたい。
 以上が検証部会からの報告だが、これについて何か意見はあるか。

[邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)]
 まず、莫大な資料で、このような調査をしていただき、検証部会の皆様方に感謝を申し上げたい。
 ただ、少し辛口の意見になるが、検証した5項目を見る限り、平成20年度改定はほとんど影響を与えなかったのではないか。診療報酬改定だけで、受診者、診療の現場が変わるものではないが、病院勤務医の負担の軽減等は悪化に歯止めすらかかっていない。特に、「入院時医学管理加算」を算定している施設は88か所、これは四国と同じ。(会場、笑い)
 これは、あまりにも少ない。9000近くある病院のうち、88か所しか算定できないような「入院時医学管理加算」では、屁のツッパリにもならない。他の制度ともからみ合って、もう少し、病院医療の危機を診療報酬の中でも最重点に置いて、次の改定に向かっていただきたい。

[遠藤会長]
 「検証部会としての評価」は、今後の議論の中で重要な方針として打ち出していただいた。まさに、邉見委員が言ったように、勤務医の負担軽減策として2008年度改定が有効ではなかったことや、「入院時医学管理加算」の要件が厳し過ぎるのではないかということは盛り込んである。「検証部会としての評価」を踏まえて、今後の議論をしていく。ほかにご意見は? 

[藤原淳委員(日本医師会常任理事)] 
 外来管理加算の意義付けの見直しについて、診療側として意見を述べたい。

 (この後、約20分間にわたり、外来管理加算の議論が続く)

[遠藤会長]
 (外来管理加算の見直しで240億円を捻出するという試算は、どのような考え方に基づいてなされたのかに関する)報告は、基本問題小委員会でお願いしたい。

[竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)]
 別の件で、確認したい。先程、邉見委員からも意見が出たが、病院勤務医の負担軽減。前回の診療報酬改定では、勤務医の疲弊、立ち去り現象を防ぐため、一丸となって取り組んだ。 「検証部会としての評価」が出ているが、その前に確認したいのは、(1年前と比較した勤務状況の変化について)「改善した」と回答した医師責任者が13.2%しかいない。これは、はっきりと「改善されていない」と認識するが、それでいいか。 「検証部会としての評価」をお尋ねしたい。

 それから、「引き続き、診療報酬においても」とある。「も」とある。「も」とあるということは、「ほかに必要である」という議論はあったか。2003年から2006年までの5年間、社会保障費の2200億円削減を機械的にやられた。医療費を6800億円下げられてきたので、こういうところを扱わないと、診療報酬改定だけではできないと認識するが、そういう解釈でよろしいか。

[庄司洋子委員(立教大大学院教授)] 
 検証部会で代表して答えられるか分からないが、この数字は最も深刻な数字だと思う。つまり、「効果がなかった」という言い方が当たっているか分からないが、一定の効果を上回る、さらに何か加速的に、一層悪い条件が出てきている可能性がある。私は具体的に答えられないが、「改善した」という回答よりも、「悪化した」という回答が多いということは、「この軽減策によって悪化したのではないだろう」ということは言える。
 そういうことでは間に合わないような何かがさらに起こっていると、そのように解釈するのが、むしろ常識的なのではないかと思う。「診療報酬以外で」ということだが、もともとそういう認識があったのではないか。診療報酬による改善は、非常に限定的、限界がある。私はそう認識していた。何か補足があれば、会長から。

 (中川委員が挙手)

[遠藤会長]
 手短にお願いしたい。かなり時間をオーバーしている。(語気を強める)

[中川俊男委員(日本医師会常任理事)] 
 邉見委員が、今回の改定は「ほとんど変化がなかった」、「影響がなかった」と言うのはまさにその通り。ただ、診療報酬改定だけで勤務医の疲弊が解消されないという言い方は正しいが、(改定率)0.42%(約1100億円)プラス、診療所からの400億円というごくわずかな、本当にわずかな財源で改善されるという予想はしていなかったのではないか。そのことを、まず確認したい。

 財源だけでは改善されないが、財源がなけれは改善されない。そのことをしっかり総会で認識してほしい。2002年から2006年まで、伸びるべき医療費が8兆円も(発言のママ)削減された中で、その結果として、わずかな財源で勤務医の疲弊に手当てしても駄目だということが明確になったということが、今回の検証部会の結果なので、年末に向けた議論は、しっかりとした引き上げ財源をもって次期改定に臨むという姿勢を、総会の場で認識できたと思う。 

 ※ 08年度改定では、診療所の再診料引き下げをめぐって審議が紛糾した。最終的に、公益委員の裁定で再診料の引き下げを見送ることが決まった。現在、診療所の再診料は71点、病院60点(1点は10円)。

[遠藤会長]
 意見として承っておく。

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