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ニュース〜医療の今がわかる

命の薬 お金次第


――なるほど。順序が前後してしまいましたが、ご自身の治療や「CMLの会」のこれまでの歩みについて教えてください。

私が発症したのは1992年、まだインターネットもなく、情報収集の手段は非常に限られていた頃でした。そんなある日、白血病など血液疾患の情報交換と交流を目的とした、患者自身の会創設の記事を新聞で発見しました。私はさっそく参加を決め、そこで始めて呼びかけ人のひとりである大谷貴子さんとも出会いました。そうしてスタートしたのが、私が現在事務局を務める血液疾患患者の会「フェニックスクラブ」です。当初の会員数はおよそ10名でしたね。まず全員で確認したのは、役員や会則といった、ややこしいことは全て省こうということでした。グリベックのない当時、日頃から誰もが「いつ死ぬかわからない」と半ば覚悟しつつ生きていたからです。今もこの方針には変わりありません。というわけで積極的な勧誘はしてきませんでしたが、これまでに延べ800人ほどの方が会員になり、亡くなられた方あり、無事卒業された方ありで、現在の会員数はおよそ350名となっています。

そこから「CMLの会」(会員約20名)を立ち上げたのが2007年。その頃から徐々に経済負担軽減を求める声が高まり、「これはなんとか行政に訴えかけなければ」ということになったのですが、フェニックスクラブは簡素がモットーで、対外的アクションを起こす体裁を備えていませんでした。そこで別組織を立ち上げて、行政等への働きかけを開始したのです。地道に足を使って、与野党それぞれの方々にお願いに行ったこともありますし、厚労省へ要望書を提出して職員の方とお話をさせていただいたりもしましたが、なかなか事態が動くことはありませんでした。

――最後に、何かありましたらお願いします。

近年、厚労省は医療費削減の方針を掲げてきました。その枠で考えれば、私たちの要求は逆行しており、取り合えないということなのでしょう。しかし、そうした"先に枠ありき"の議論は、私たちの問題に限らず、果たして医療費を考える上での正しい方策なのでしょうか。

ちなみに、先にご紹介した「高額長期疾病(特定疾病)にかかる高額療養費の支給の特例」の解説には、但書として、適用は「極めて例外的」でむやみに枠を広げられない旨が併記されていました。私たちはこの文言に阻まれて続けているわけです。しかしそれも本当は厚労省の判断次第、もっといえば厚労大臣ひとりの指定があればよいはずですよね。国会での法律改正も要りません。ぜひ、現場や患者の声に耳を傾けていただきたいのです。

一つの朗報は、先日、議員の方を介して舛添大臣から、「関係者全体のコンセンサスを作ることが難しいが、何かできるか、至急検討課題とする」旨のコメントを頂いたことです。ただし、大臣の意向を形にするためには、「世論の後押しが必要だ」ということになっています。一人でも多くの国民の皆様のご理解とご協力が必要です。私たちの願いは、できるだけ長く、安心して、普通の生活を送りたいということ、ただそれだけなのです。

(インタビューはここまで)

 野村氏もパネリストを務める日韓患者合同講演会『抗がん剤無料化~韓国患者に学ぶ~』が、6月12日に開かれる。詳しくは、こちら。

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