文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

中央社会保険医療協議会 (中医協) ― 09年度第9回(7月15日)

■ 「社会医療診療行為別調査」と「メディアス」との乖離
 

[遠藤委員長(中医協会長)]
 それでは引き続き、「その他」について議論したい。事務局(保険局医療課)から説明をお願いしたい。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 医療課長でございます。資料「診─3─1」(平成20年社会医療診療行為別調査結果の概況)と、「診─3─2」(社会医療診療行為別調査・平成20年5月診療分とメディアス・平成20年5月データとの比較)の両方をご覧いただきたい。

 6月25日に(厚労省大臣官房)統計情報部から公表された「平成20年社会医療診療行為別調査結果」について報告し、相談したいことがある。この調査結果の公表以来、「保険局医療課」として、まぁ、言ってみれば「ユーザーという立場」から検討を始めたが、実は気になる箇所があった。

 ▼ 「ユーザーという立場」などと強調している点、ちょっと怪しい。

 具体的には「診─3─1」の6ページ。そこに「表2」がある。(診燎行為別にみた入院外の)1件当たり点数と1日当たり点数が並んでいて、各年6月審査分で、入院外の総数の1日当たり点数を見ると、対前年伸び率が11.7%となっている。

 私ども、同年同月の保険局の「メディアス」(medias、医療費の最近の動向)で確認したところ、この値(前年同月比の伸び)は(メディアスでは)1.4%(増)となっていて、かなり(10.3%)の乖離があることに気付いた。

 これ以外にも細かいことをやってみたんだが、ポイントは「診─3─2」にまとめたので、こちらをご覧いただきたい。今申し上げた「社会医療診療行為別調査・平成20年5月診療分」と、「メディアス・平成20年5月データ」とを比較したもの。(中略。表の説明)社会医療とメディアスとの乖離.jpg 

○ 平成20年データにおいて、社会医療診療行為別調査とメディアスを比較したところ、大きな乖離が生じている。
○ 特に、入院外来について乖離が大きくなっており、1件あたり伸び率で13.2%、1日あたり伸び率で10.3%の差が見られる。
○ 原因の1つとして、人工腎臓(透析)を実施している内科診療所が例年に比べて多く抽出されたことが考えられている。
 資料「診─3─1」(平成20年社会医療診療行為別調査結果の概況)に戻っていただきたい。

 入院外の1日当たり点数(の対前年伸び率)11.7%の所をずーっと下にたどっていただくと、「処置」の対前年伸び率が72.5%になっているので、統計情報部の推測が仮に人工腎臓(透析)だとすると、「処置」の所でもこのような高い値が出たということは、その推測を裏付けるかもしれないと考えている。

 こうしたことを基にして、私どもどうするかということだが、まず考え方をお話しすると、「社会医療診療行為別調査」は正当な手続きを踏んで長年実施されてきている調査で、私どもも十分信頼できるものだと確信している。

 実際、過去3年についても同様の傾向があったのかということを調べてみたが、大体、プラスマイナス3%以内の乖離で収まっている。平成20年度についてのみ、例年と比べて大きな乖離がある。

 そういうことを考えると、今回に関する限りは「社会医療診療行為別調査」を用いて、さらに細かい所まで、(外来管理加算など)診療報酬の項目とか点数の検証とか検討とか、そういうことを行うには、やや慎重にならないといけないのかなという気がしている。

 そういう考えの基に、局内はもちろん、統計情報部などの担当とも相談したが、少なくとも、現時点で明らかにしておくべき点が2点ほどあるのではないかと思っている。

 その1点目はシンプルで、要するに「メディアス」と「社会医療診療行為別調査」とが、これほど大きな項目で......、データで言うと「上流」というか、かなり上流の部分でこんなに大きな乖離が出てしまった原因が何なのかということを明らかにしたい。

 それから2つ目は、こうした乖離の原因がある程度分かったとして、あるいはいくつかの特定のデータに原因があることが分かったとして、そうしたデータの影響を排除したり、あるいは考慮することで、今後の診療報酬改定の議論に活用できる、そういうデータになるのかどうかという、この2点が非常に大きいと思う。

 この2点が検証されてはじめて、繰り返しになるが、今後の診療報酬の議論への利用もできるのではないかと思っている。いずれにしても、ちょっと大変、大きな話だと思っているので、委員の先生方の率直なご意見をお聞かせいただきたいと思う次第。以上。(以下略)

 ▼ 外来管理加算の見直しを求める日本医師会に対し厚労省はこれまで、「社会医療診療行為別調査が出た後で」などと引き延ばしを図ってきた。このため、日医がクレームを付けたのは当然。今後、原因を解明するプロジェクトチームをつくって検討するというが、税金の無駄遣い、垂れ流し。

 なお、4月22日の基本問題小委員会で、厚労省は次のように説明している。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 初・再診料という議論の中で、今回は検証部会の結果で、外来管理加算に関するデータがあったので、これを用いて御議論いただく形になりました。外来管理加算だけが取り出されておりますが、これは個別の診療報酬の項目ということでございまして、影響額については、事務局としては、社会医療診療行為別調査の結果を待たなければ、正確な金額それから正確な影響を算出できないというふうに考えております。
 特に外来管理加算の場合は、処置等を行うとむしろ算定しないということになりますので、ある程度は診療行動の変容というものの影響を受けるということが考えられます。
 いずれにいたしましても、今般私どもが記憶するところでは、この外来管理加算の要件の設定等に当たっては、種々の御議論があった中で、診療所全体として医療費あるいは病院に対してバランス的なものも考えた上で、外来管理加算あるいはその要件を決められたと考えておりまして、単一の項目のみで診療所全体の収入というようなことまではなかなか難しいのではないかと思っておりまして、繰り返しになりますが、仮に金額ということであれば、社会医療診療行為別調査の結果が出るというときにしか試算ができないかと思います。

 【目次】
 P2 → DPC「新たな機能評価係数に係る特別調査案」
 P3 → 慢性期入院医療の包括評価調査分科会の課題等
 P4 → 「社会医療診療行為別調査」と「メディアス」との乖離
 P5 → 保険医療材料制度に関する意見
 P6 → 薬価算定組織からの意見聴取
 P7 → 特許期間中の新薬の薬価改定方式(薬価維持特例)

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス