新型インフル 超党派で予防接種法改正を 舛添厚労相
3番手は畠山修司・東京大学助教(声が小さく、よく聴き取れず)
「全体として健康被害を軽減するためのワクチンだと思う。過去の知見と現在流行している新型インフルエンザの特徴とが分かりやすく提示されて、それに基づいて考える必要があろう。優先的に接種する対象としては、医療従事者であったり、合併症のリスクが高い妊婦や乳幼児が挙げられているが、それに加えて現在までの傾向を見る限り中高生がハイリスクである可能性も充分に検討するべきだろう。
またワクチンの供給量が充分であれば、対象者も適宜見直すことになるだろうが、いずれにしても今までとは異なるワクチンであるから安全性については今一度確認されるべき。効果についても副作用についても季節性インフルエンザのものとほぼ同等のものとして議論を始めざるを得ないが、全く同じかどうかは分からないのだから、何が分かって何が分からないのか明らかにすることが大切。またワクチンに対する臨床試験は国内外を問わずできる限りすべき。また、ワクチンを接種したからといって感染を完全に防御できるものではないことも十分に認識する必要がある」
続いて花井十伍・全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人
「私は薬害被害者として呼ばれたんだと思うが、一方でHIV陽性という身でもあり、医薬品を使いながらその危険性は下げたいというアンビバレントな存在だ。その前提のうえで申し上げたいのは、ワクチンが存在するという前提で評価されている安全性と、安全性が評価されていないけれどそれは超越した話として入れようというものの安全性は別ということ。安全性が分かってないのに入れて何か起きたら薬害でないかというような極端な議論は避けるべきだ。幸いにして何が既知で何が未知かは既知なわけだから、その前提のうえに組み立てることはできる。その際にも一律に何とかすべきという情報が流れるのは危険だ。現場で医療者も患者も十分に理解したうえで使えるということが何より大切。その意味では情報の出し方が一番大事なのかもしれない。専門家どうしであれば冷静に議論できるものが、一般への情報の出し方次第ではワクチンの奪い合いになりかねない。不用意な発言と、それが不用意にマスコミ報道されることは厳に慎まなければならない」
5番目は水上尚典・日本産科婦人科学会ガイドライン産科編委員会委員長
「今までの意見を聴いていても妊婦優先というのに異論はないようだが、その背景を説明したい。過去2回のパンデミックの際にも妊婦が死亡しやすかった。今回のものに関しても米国からの報道によれば妊婦は明らかに入院率も死亡率も高い。過去のインフルエンザでも感染すると非常に危険だった。対してワクチン接種ということになると子どもへの影響はどうなんだという話になる。当然現段階ではデータはないわけだが、米国では季節性インフルエンザに関しては60年の接種の歴史があり、毎年60万人以上が接種を受けている。これらのサーベイでは大きな副作用がないことはハッキリしている。一方の有効性でも昨年発表されたデータによれば妊婦の発熱性疾患の発症が3分の2になった。もう一つワクチン接種の目的として新生児感染の予防というのもあるのだが、母親にできた抗体が新生児に移行するということを狙っている。それも生後6ヵ月までの間の発症を6割減らせることが分かった。
ただし今回のワクチンに関して安全性は知られていないので、WHOも妊婦を高い優先順位にすべしと勧告しながら、一方できちんとモニターしてくださいとも勧告している。ここにはお金をかける価値がある。なぜならばインフルエンザというのは、定期的にパンデミックを起こしているのだし、速やかに体制が整わないのはそもそも日本のシステムに問題があるためだからだ。任意接種の場合、何かあった時に補償するのは製薬企業や医療者だ。ここをきちんと補償する制度をよい機会なので構築すべきだ。米国でもフランスでも、接種は任意であっても皆のために接種するんだから補償も皆でするという位置づけになっている」