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新型インフル 超党派で予防接種法改正を 舛添厚労相


続いて森兼啓太・東北大講師
「私が述べたいことは3点。厚生労働省はご苦労様だが、今まで分かっていることを整理して、すべて机の上に並べて議論する必要がある。二つ目、集団免疫についてどなたも触れなかったが、集団免疫の考え方がよいと主張するという意味ではなく検討すべきではないか。検討した結果として捨て去るのは一向に構わない。議論はできるだけ多くの人間で行うべきだ。20日の会議のように10人程度ではなく50人、100人で色々な意見を出し合うべきだ。冒頭に岩田先生が述べた通り、ある程度皆が納得できるところを落としどころにせざるを得ない、全員が納得するところなどない。それでもいつか決めなければならない。最後に、ワクチンの製造輸入に関して日本は後れを取った。これを逆手にとって先にワクチンを打つ他国の情報を表でも裏でも取って行動に生かすべきだ。効果は無理だろうが副反応に関しては情報を取れるだろう。最終的な日本のワクチンの入れ方の決定は極力遅くすべきだ。少なくとも明日の会議で決めてしまうことのないよう申し上げたい」

最後は横田俊平・日本小児科学会会長
「日本の子どもたちを代表して来た。7月8月と新型インフルエンザの罹患者数の増加を診療の現場では肌で感じてきた。私どもとしてはワクチンだけではなく、抗インフルエンザ薬との併用で乗り切りたいと考えている。わが国では小児のインフルエンザに関して他国と異なる特徴がある。インフルエンザ脳症の発症率が高く死亡率も高かった。けいれん重積を起こす子どもも多い。また現在、2人が人工呼吸器に乗っている。今までの季節性インフルエンザにはない特徴かもしれない。

そうした状況を踏まえて小児科学会では全分科会に対してハイリスク児に関する緊急アンケートを行った。回答のない所もあったが、全体を総合すると、小児神経疾患、先天性心疾患、重症気管支喘息、未熟児など優先接種を望まれるのが100万人。次にインフルエンザ脳症を起こしやすい1歳から6歳までの幼児が700万人。ただし接種量は成人の半量でよいのでワクチンにして350万人分、それから1歳未満の乳児を持つ母親200万人、合計650万人分を優先枠として確保していただきたい。

ここからはちょっと話が変わるが、このようにワクチン接種のあり方や普及について考える会を臨時ではなく定期でぜひ立ち上げてもらいたい。そのように現場ときちんと意思疎通していただくことで、厚労省案が現場では使い物にならないというのは、もうやめていただきたい。

それからワクチン接種で必ずしも感染を防げないということを国民に伝え、その接種は強制ではなく保護者の同意を必須とする、任意接種ではなく国が責任をもっていただきたいし、このような経済情勢でもあるので接種は無料にすべきである。それからワクチン輸入に関して、企業秘密なんだろうがアジュバンドの情報が全くない。必ず臨床試験を行って安全性・有効性を確認していただきたい。臨床試験が行われるということであれば、日本小児科学会では学会の総力を挙げて臨床試験のフィールドを準備する」

舛添
「これはちょっととか言い忘れたとかいうことがあれば」

森兼
「集団免疫のことで言い忘れたが若年層に集中的に打つという手もある。これは医療機関にかかる割合が多いので、それは一時に医療機関にかかってパンクするのを防ぐ和らげるという発想だ」

岩田
「医療従事者に対する接種は重要。ナースが1人休んだだけでも影響は甚大。少なくとも季節性インフルエンザワクチンに関しては確実に打っておくべき」

横田
「10月から12月にかけては3種類のウイルスが流行すると思う。新型と季節性と南半球からのリターンと。1つでも安全性を確保するために、季節性の接種を確実にしておくべきだろう」

舛添
「ちょっと分からないのだが、南半球の新型は変異して帰ってくるということか」

横田
「おそらく。河岡先生は既に変異が見られると言っている」

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