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ニュース〜医療の今がわかる

"10mlバイアルなら国産3000万人分" 9日のワクチン意見交換会


 廣田良夫・大阪市立大大学院教授
「48時間や72時間という疼痛や腫れを見る局所調査で、日本では高頻度に出る。欧米ではある程度以上のものしか集計しないのに対して、日本では患者が申告したら全部になる。国内分と外国分のデータ比較ができるようにしてほしい。1ヵ月後など遅延性のものは十分なモニタリング体制が必要だ。新型ワクチンだから、輸入ワクチンだから起きたということではなく、短期に多数に接種したことで顕在化したということもありえる。

少数例のうちは一例一例の精査が行われるだろうが、ある程度の数になってくると疫学調査が行われるだろう。それには最初から疫学者を入れてほしい。観察調査だし、紛れ込みの反対も調査対象になる。極めて専門的な知識と手法が必要になる。インフォームドコンセントを重視するのと同時に代諾の検討も必要」

 黒川峰夫・日本血液学会
「血液がんの患者は年間30万人ほどが発生し、元々が免疫能に異常を来たす病気なので、ほぼすべての方がインフルエンザにかかったら重症化すると考えられる。一方で、その状態は個別に千差万別であり、それこそ紛れ込み事故も発生しかねない。接種にあたっては専門医による綿密な診察のもとに、優先順位が高いからといって、すぐ接種というのではなく柔軟に考える必要がある。優先順位が高いからということで患者さんが病態を省みず自己判断で接種した場合には事故につながりかねない。優先的に接種したい患者に関しては同時に抗インフルエンザ薬も使いたい。その確保と準備はワクチンに劣ることなく重要だ。

ワクチンの安全性・有効性に関しては、一般の人にアクセスできる形で情報公開してほしい。インターネットの情報を患者さんたちは実によく見ていて、影響を受けている。また血液がんは、看護するご家族と過ごす時間が長いのでご家族への配慮が必要だし、同様に入院期間が長くなるので医療従事者への配慮も必要だろう」

 岩田健太郎・神戸大学大学院教授
「素案は全体として大雑把にはよくできている。その上で伺いたい。パブコメが実施され意見交換会も2回開かれる。それが一体何をもたらすのか。既に、任意接種なんだとか、接種の値段とかが報道されていて、意見交換会の前から既に決定しているかのような印象がある。意見を聞きましたというアリバイづくりにされるのでないかと懸念する。パブコメやこの場で出た意見がどのように生かされるのか筋道を示してほしい。

同時接種について素案には一言も書いてないが、認めないと運用上問題がある。同時接種も大丈夫だと明記してほしい。それから他のワクチンのあり方も明記してほしい。たとえば大臣との意見交換会の際に私は23価の肺炎球菌ワクチンを挙げた。発熱外来では、来る患者さんがインフルエンザとは限らず、髄膜炎を見逃しそうになって冷や汗をかいたなんて話も聞いている。発熱全体を包括的に診療する枠組みを考える必要がある。207億円で病床整備するなんて話もあるようだが、そこを担当する医療者がいない。そうではなく重症者をいかに減らすかを考えるべき。本来であればワクチン接種で予防できる高齢者の肺炎や小児の髄膜炎を減らす方が、長い目で見て本質的対策だ。23価肺炎球菌ワクチンやHib、先日承認されたばかりのプレグナーを使って、もっと広いグランドデザインを描いていくべきだろう。

それから、ワクチン接種を2回やった方が1回より有効であるというデータはないはず。2回と明記するのは危険だ。それから国内生産のワクチンが安全で国外ワクチンは危険という前提で文章が書かれているけれど、国内だから安全ということはない。アジュバントが入っているということが書かれているけれど、アジュバントを入れた方が本質的に危険というデータは今までの所ない。アジュバントを入れた方が抗体ができやすいという見方だってある。それから細胞培養は危険だというのも、非常に安全な季節性のワクチンでも時々は卵アレルギーによるアナフィラキシーが起きることはあるのだから、細胞培養の場合はそういうリスクはないわけで、良い面と悪い面の両方を出すのが情報公開の原則。それをせずに輸入ワクチンが危険だとあおるのは不当だ。

この延長線で、もしワクチンで副作用が出た場合も、それで接種をやめるかどうかの評価は専門家を交えて判断してほしい。すぐに撤退して、疾病が増えるという日本脳炎の轍は踏むべきでない

先ほど横田先生は小児を無料にと言ったけれど、このワクチンは医療従事者を含めてすべて無料にすべきだ。医療機関は既に新型インフルエンザによって経済的に疲弊しており、さらに負担に耐える余力はない。

それから先だっての意見交換会で無過失補償に大臣は言及した。ぜひ取り入れてほしい。副作用被害の救済に関して、素案では役所文書の典型で主語がないので誰が措置するのか明快にすべきだ。

さらに優先接種対象として5400万人という数字が出ているけれど、これも5400万人でなければならない理由はない。他の人には打てないんだというような情報の出し方をする必要はない。メキシコでは7人の死亡者のうち4人は基礎疾患がないか分かっていなかった人。どういう人が悪くなるのか分からないということを肝に銘ずべき。

細かい文言についても注文するならば、3頁の冒頭で妊婦や基礎疾患を有するものの死亡率が高いことが『確認』されておりと書いてあるが、後ろ向き研究では『示唆』までしか言えない。言葉遣いに注意してほしい。科学的検証をきちんとせずにムードをつくるのは危険で断言してしまうのは間違いだ。

最後に日本版ACIPは私もぜひつくってほしいと思う。我々の背負ってきた宿痾を克服するためにワクチンに関するグランドデザインを作る必要がある。日本の場合は個別のワクチンしか議論されてこなかった。官民一緒にやっていくことが肝要だ」

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