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救急現場に向かう消防車、約4割がAED積載せず―消防庁調査

 救急隊が出払っている場合などに消防隊が現場に向かって応急処置などの救急業務を行う「PA連携」を実施している消防本部のうち、36.7%が消防車にAED(自動体外式除細動器)を積んでいないことが消防庁の調べで分かった。救命活動をする際、手動で人工呼吸を行う時に必要なバッグバルブマスクも26.2%が、携行用の酸素吸入装置は66.9%が積載していなかった。(熊田梨恵)

 PA連携は、患者が重傷で3人の救急隊員だけでは患者を助けるのが難しい場合や、救急車が出動していて救急隊の到着が遅れそうな時に、消防車(Pumper)と救急車(Ambulance)が連携して現場に向かう救急活動。実施状況は消防機関の規模や職員の属性、地域の状況によってかなり差があるが、近年の救急搬送件数の増加を受けて、PA連携の重要性がクローズアップされてきている。
 
 調査は、消防庁が今年9月に国内783か所の消防本部にアンケートしたもの。PA連携に関する全国調査は初めてで、消防庁の有識者会議に報告された。

 PA連携について、「実施している」消防本部は71.8%を占め、「実施を予定」は1.7%、「検討している」は9.5%と、約8割の消防本部がPA連携を意識して活動していることが伺える。職員数が多い消防本部ほど実施割合が高く、職員数が100人未満(347か所)では61.1%にとどまるが、1000人以上(11か所)だと90.9%が実施していた。PA連携を実施する基準は、「心肺停止時状態や重症」が45.7%、「救急隊の現場到着の遅延時」が41.5%だった。

 PA連携に出場する消防車両で、AEDを積載しているのは63.3%だった。バッグバルブマスクは73.8%、保温用資器材(毛布、滅菌アルミホイルなど)は46.6%、携行用酸素吸入装置は33.1%、喉頭鏡・マギール鉗子は24.2%、搬送用資器材(布担架、バックボード、屈折担架など)は22.2%、感染防止用資器材(感染防止衣、ディスポーザブル手袋、ゴーグルなど)は81.3%、外傷用資器材(ガーゼ、三角巾、副子など)は79.4%が積載していた。

 会合中、鈴川正之委員(自治医科大救命救急センター長)は「AEDを3分の2しか載せていないのはなぜなのかが気になる。それが解決できないのはなぜか」と疑問を呈した。

 また、救急隊員には救急救命士のほかに一定の専門課程を学んだ修了者も有資格者として働いているが、PA連携時に有資格者が搭乗しないことがある消防本部は33.8%あった。消防本部の規模で見ると、職員数が100人未満(212か所)では20.3%で有資格者が搭乗しない場合があり、1000人以上(10か所)だと70.0%に上った。

■119番受信時の搬送先選定は約3割が実施
 調査ではこのほか、119番通報を受けた時に搬送先の医療機関をあらかじめ決めておく「事前病院選定」の実施状況も調べた。「実施予定はない」が60.5%と過半数を占め、「実施している」は26.9%、「実施を検討している」は11.6%だった。ただ、事前選定を実施している消防本部のうち、実施基準を策定しているところは30.3%にとどまった。

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