文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

新型インフルの混乱 「健康局長の責任」木村盛世検疫官


 既存の手段を使って、なるべく広がるのを抑えましょう。政府のやるべきことは、それだけだ。それさえ分かっていればパニックになる必要はない。それなのに政府がパニックになったためにスティグマ化が起きてしまって、高校生がいじめられるとか、最初に発見した開業医の月収が3割になるとか。

 タミフルの使いかたもおかしい。日本はどういうわけかタミフルを大量に抱えこんでいる。ワクチンは入れないのに。タミフルは構造的に耐性のできやすいことが知られている。それに一般人には必要ない。ハイリスクグループを救うためだけに必要。予防投与もとんでもない。そんなことをしていると、本当に必要な人に薬が効かなくなる可能性がある。濃厚接触者でも投与の必要なんかない。

 今回の経済損失は数千億円だと聞く。スペイン風邪なみの致死率だったら数兆円らしい。これがどれだけ危険なことか、国は認識すべき。今回の新型インフルエンザは、感染症対策のW杯みたいなものだった。普段サッカーに興味のない人もW杯だけは見る。それと同じように、普段は感染症なんかに全然興味のない人も今回だけは注目している。全世界が見ている。英BBCはヒースロー空港と成田空港の光景を比較して、日本の対応を嘲笑った。バカにされるだけならまだしも、もっと危険なことがある。

 インフルエンザ対策は大した問題じゃない。今回の騒動で、日本は全世界に対して感染防御の何もできない国であるということを示してしまった。これからの時代、バイオテロを避けては通れない。日本は世界で初めてバイオテロの攻撃を受けた国だ。オウム真理教が色々と撒いた。それを見たCDCは恐れおののいてバイオテロ専門班を作ったのに、肝心の日本は未だにこんな状態だ。

 要するに危機管理がなってない。そして、だから私は責任者である上田博三・健康局長の罪が大きいと言い続けている。1億人の命を賭けながら、自分の首は賭けないで仕事している。

この記事へのコメントこちら

 1  |  2  | 3
  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
サイト内検索
loading ...
月別インデックス