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12月9日の中医協 (ブリーフィング)

製薬業界代表1209.jpg 厚生労働省は12月9日、中央社会保険医療協議会(会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の総会と薬価専門部会を開催した。予定していた保険医療材料専門部会と基本問題小委員会は中止になった。会議終了後に厚労省の担当者が行った記者ブリーフィングの概要をお伝えする。(新井裕充)

【前回までの中医協】
○ 12月4日の中医協 (ブリーフィング)
○ 12月2日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月27日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月25日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月20日の中医協 (ブリーフィング)


■ 総会 ─ 平成22年度診療報酬改定に関する意見具申
 

[保険局医療課・尾崎守正課長補佐]
 前回(12月4日の)総会で、(厚生労働大臣に提出する中医協の)意見書についてご議論頂きました。
その際、2号(診療)側委員から「修正したい」ということで、(支払側が)「診療側の意見を文書でくれ」という形で前回は終了しました。それを踏まえて2号(診療)側が連名で4つの意見が紙で出された。

「平成22年度診療報酬改定について(案)」に対する診療側意見
 平成21年12月4日に提出された「平成22年度診療報酬改定について(案)」のうち、4.の3つめの○を以下のように変更する。

○ 本協議会としては、厚生労働省が平成22年度予算編成に当たって、平成22年度診療報酬改定に係る改定率の設定について、以下の点を踏まえて対応することを求めるものである。
 (1) 平成20年度改定においても、地域の医療体制の確保の取り組みとして、主に病院に対する支援を行う観点からの対応が取られたが、社会保障費の伸びの削減政策の下で策定された診療報酬上の対応は十分ではなく、結果として、主に公私を問わず病院の経営状態の悪化はより深刻となっており、医療提供体制の破綻が危惧される。
 (2) 現下の厳しい状況に対応するためには、「更なる取り組みが必要」という基本認識の一致に基づいて、薬価引き下げ分を含む診療報酬全体の引き上げが必要である。
 (3) 診療報酬引き上げによる各保険者の財政悪化に対しては、政策的財政支援が必要である。
 (4) 特定機能病院、自治体病院等の医療に対する費用については、医療費以外の公費で賄われている部分を明確化し、医療費で賄われるようにすべきである。

 これについて安達(秀樹)委員(京都府医師会副会長)からイギリスの例などを挙げながらご説明をいただいて討議に入ったということです。

 主なご議論としては、(支払側の)白川(修二)さん(健保連常務理事)からまず手続き論、北村(光一)さん(経団連社会保障委員会医療改革部会長代理)もそのようなことをおっしゃっていましたが、「少し後出しなんじゃないか」というようなお話があった。
 これに対して、診療側からは公益委員に出していただいた紙(公益委員の意見書案)を見た上での意見提出なので、「必ずしも手続きに問題があったということではないんじゃないか」というようなやり取りがあったのが1点。

 あと、診療側が出した意見の一番最初の所(1)の「病院の経営状態の悪化はより深刻となっており」について、白川さんだったと思いますが、「赤字は赤字だけど赤字幅は改善しているんじゃないですか」というご指摘がありました。
 これに対して、西澤(寛俊)さん(全日本病院協会会長)から「多少は回復していると言ってもまだまだ赤字なので、それはより深刻な状況なんだ」というようなやり取りがあったところでございます。

 また、診療側意見の(3)番、「保険者の財政悪化に対しては政策的財政支援が必要」という所については、診療側の安達さんから「新しい政権は(公約に)医療費をOECD並みに引き上げることを目指すことを書いてあって、その際は当然に保険料も上がるんだから、 そこの手当てを念頭にそういうことを言ったんじゃないですか」というようなお話がございました。
 それに対しては、確か北村さん(経団連)だったと思いますが、「何らかの支援を求めるのであれば、私企業の場合はまず自分たちで努力した上でお金をくれと言うのが当然なので、単純にお金を付けてくれればいいという話ではないんじゃないでしょうか」というようなお話が出たところでございます。

 30~40分程度でしょうか、やり取りをした後でいったん休憩になりまして、「各側呼び込み」ということになり、(別室で公益側と)1号側でまずご議論頂いて、(その後、公益側と)2号側でご議論頂いて、最終的に両者歩み寄りができない、意見の隔たりが大きいということで今回は中医協としての意見書をまとめることをしないということで決着を見たというところでございます。(詳しくはこちらを参照)

 ▼ 中断は約2時間。基本問題小委員会(議題はDPCの基礎係数等)が中止になったため、待機していたDPC評価分科会の西岡清会長(横浜市立みなと赤十字病院長)は途中で退席。薬価専門部会のヒアリングに来た業界代表も2時間以上待ちぼうけをくらった。その結果、公開の場で議論せずに「中医協として意見具申は行わない」という肩すかしの決定だったため、傍聴していたメディア関係者から不満の声も出た。同日の議事運営について、尾崎補佐は次のようにコメントした。
 「2時間かかるということは考えていなかった。そもそも、呼び込みになるということを想定していなかった。(前回)大分議論を尽くしたし、お互いにおっしゃっていることが収れんしていたので、2時間ということはさすがに想定外だった」


【目次】
 P1 → 総会 ─ 平成22年度診療報酬改定に関する意見具申
 P2 → 薬価専門部会 ─ 関係業界からの意見聴取

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