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公費で、学校で、打つべき子宮頸がんワクチン がんセンターシンポから

0113hpvvaccin.JPG 昨年末に販売開始された子宮頸がんワクチンがメディアを随分と賑わせていて、何となく自分もそれなりに事情を分かったつもりになっていたが、実際には何も分かっていなかったようだ。13日に国立がんセンター中央病院で開かれたシンポジウムに参加して、そのことを痛感した。(川口恭)

 このシンポジウムは以下のようなもの。

★★★国立がんセンター中央病院院長主催講演会★★★
『子宮頸がんと予防ワクチン』

●「子宮頸がん予防ワクチンの普及にむけて」
 グラクソ・スミスクライン渉外部マネージャー  中村景子 
日本では毎年15,000人が新しく子宮頸がんに罹患し、3,500人が亡くなっている。また、20代~30代のがんでは、死因の第一位となっているのである。2009年10月に子宮頸がん予防ワクチンが世界で99番目に日本で承認された。ワクチンと検診を組み合わせることにより子宮頸がんの発症率、及び死亡率を約73%減少することが示唆されている。しかし、ワクチンの普及に向けては課題が多い。講演では、ワクチン普及に向けての課題の整理と今後の展望について述べさせていただきたい。

● 「子宮頸がん予防HPVワクチンに関する政策決定に必要な医学的根拠」
 自治医科大学附属さいたま医療センター産科婦人科教授 今野良
子宮頸がんはがんの中で唯一、一次予防(ワクチン)と二次予防(検診)を組み合わせて予防可能ながんになった。子宮頸がん予防HPVワクチンは、WHOのposition paperをはじめへ世界の多くの国や機関から、国のワクチン政策に組み入れることを推奨されている。100カ国以上の国で承認され、約30カ国で公費負担による12歳前後の女子に対する接種が行われている。また、GAVIなどの援助によって最も経済的に恵まれない赤道周辺の国々でも接種が始められている。子宮頸がんの発がんメカニズムにおけるHPVの関与とHPVワクチンによる予防のメカニズム、公費負担決定のためのモデリングを用いた医療経済学など、政策決定者にとって重要な情報と根拠を提示する。いま、日本が女性にやさしい国か否かが問われている。

● 「患者の立場から」
 らんきゅう*卵宮*患者会 穴田佐和子
20代で子宮頸がんになり、約半年の入院で手術・抗がん剤治療・放射線治療を受ける。娘を持つ母として、経験者として、声をあげることによって少しでも同じ苦しみを経験する女性が減るよう願う。

● 総合討論

 主催者の土屋了介・国立がんセンター中央病院院長が挨拶で述べたシンポジウムの趣旨は以下だ。
「昨年末に子宮頸ワクチンが承認されたが、一般への周知が十分でない。私は外科だけれど、患者さんの立場からすれば、外科の手術よりは放射線照射、放射線照射よりは飲み薬、それより何よりよいのは予防ができること。今まで、がんを予防するにはタバコをやめるぐらいしかなかった。予防といってもパッシブ。今回はアクティブに予防できる点が画期的。希望する方が全員受けられるようになる、そのきっかけになれば」

 全部きちんと再現するのがベストとは思うが、雑誌の方も仕事が渋滞していてこればかりやっているわけにもいかないので、何を知らなかったのかから開陳したい。それなりに興味を持って新聞とかテレビの情報に接していた人でも、同じような誤解をしているのでないかと思うからだ。

1)HPVは、感染→自然治癒を経験した人が何度でも感染する。感染防御できる免疫はワクチン接種でしか獲得されない。

 ホント!? という感じだ。

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