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岐路に立つ中医協の分科会

■ 「長期的なDPCの制度設計を」 ─ 齊藤委員
 

[齊藤壽一委員(社会保険中央総合病院名誉院長)]
 それ(重み付け)と関連するのですが、「調整係数」の問題というのは、しばしば、「何を外出し(出来高払い)にするか」ということの裏でもある。

 ▼ 抗がん剤など高額な薬剤を使用した場合にDPC(包括払い)では不採算になってしまう問題について、昨年12月16日の中医協小委で嘉山委員が「現場では抗がん剤を使うときに非常に躊躇する場合がある」として改善を求めた。今年4月21日の中医協総会でも、診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が同様の意見を述べた。
 これらを受け、4月22日のDPC評価分科会で高額薬剤への対応を議論した。中医協の遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)と西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)が傍聴する中、その日は意見集約できなかった。この分科会では、高額薬剤を外出し(出来高払い)にすることに否定的な意見が多数を占めている。特に、齊藤委員が包括払いであるDPCの体系性を重視する主張を展開、高額薬剤の外出しに強く反対している。
 そうした中、がんの患者会から要望を受けた政務官らが医療課に指示を出したらしく、厚労省は「ドキシルだけ」を次期改定まで出来高に戻す方法を考案。その根拠となる資料を5月19日の同分科会で提示して了承された。
 この日の会議前、数人の委員が厚労省の企画官に次々に駆け寄り、事情を聴く場面も見られた。齊藤委員はかなり不満げな様子で詰め寄っていたが(写真はこちら)、同日の分科会では発言を控え、正面切って反対しなかった。その後、ドキシル関連の診断群分類を出来高算定に戻すことが中医協総会で正式に了承され、ひとまず決着した。
 しかし、ドキシルを出来高にいったん戻したものの、プリンシプルの変更はなかった。つまり、「ドキシルは出来高にすべきだった」と転換したのではなく、「包括にすべき」との立場は崩さなかった。ドキシルは「既存の診断群分類」(包括)に入れるのではなく、「新規の診断群分類」(包括)をつくって対応するケースだったと厚労省は説明した。ただ、改定後の変更は現場に影響を与えるので、「いったん出来高に戻す」という巧みな対応だった。「次期改定まで」とは書かず、「当面の間」という表現でぼかした。
 そして1か月が過ぎ、今回の6月30日を迎えた。厚労省は次期改定に向けて「新たな機能評価係数」の考え方を示した。

 例えば、「救急が非常に大変だ」ということで、病院団体などからは(救急搬送後、診断名が付くまでの最初の)24時間を外出し(出来高)にしてほしい」という議論があって、それが(今回改定では)実現しなくて......。

 そういう点で、長期的なDPCの制度設計をする上で、声高に、「これは大変だから外出し(出来高)にしてくれ」というのを、どんどんのんでいると......。(委員ら、笑い)
 もう、出来高に近づいてしまったりですね、そもそも包括のDPCとは何なのかということを問わざるを得ない状況が出てきます。これはDPCのフィロソフィーとして、「こういうものを包括すべき」で、「これは決して外出し(出来高)にすべきではない」と。

 例えば、「チーム医療を外出しにしてほしい」という議論だって出てきかねないですよね。係数にうまく落とし込めないとなると、「じゃあ外出しにしてくれ」ということで、もうボロボロのツギハギのDPCになりかねないですよね。(会場、笑い)
 その辺、この委員会で制度設計上、しっかりフィロソフィーを。「こういうものは絶対に外出しにできない性質のものなんだ」ということをですね。

 なんか、出たとこ勝負で「これはうるさいから外出しにしましょう」みたいな......(委員ら爆笑)、風潮がいささかでも発生すると、もう、DPCの制度は根幹から歪んできますので、よろしくお願いします。

 ▼ もともと歪んでいるのではないだろうか。米国の「DRG/PPS」は1入院単位に対する包括評価だが、日本のDPCは「1日当たり包括評価」になっている。

[西岡清会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 齊藤委員がご指摘いただきましたように、個々のスペシフィックな係数うんぬんでディスカッションをやっていただきたいとは思っていないんです。

 むしろそれは、もっと先の所になります。(まずは)いわゆるフィロソフィーですね。

[齊藤壽一委員(社会保険中央総合病院名誉院長)]
 そうです。

[西岡清会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 哲学的な形で、考え方の基本ということで事務局(保険局医療課)から3つの軸を出していただいています。あるいは、これにもう1つ、4番目の軸があったほうがいいのか、DPC全体を眺めながら考えていただけたらと思うのですが......、どうぞ、企画官。


【目次】
 P2 → 中医協とDPC分科会の関係
 P3 → 「小さな病院でも生き生きと」 ─ 酒巻委員
 P4 → 「重み付けの議論を」 ─ 小山会長代理
 P5 → 「長期的なDPCの制度設計を」 ─ 齊藤委員
 P6 → 「係数間の重み付けは小委で」 ─ 厚労省
 P7 → 「分科会が振り回される」 ─ 松田委員

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