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「職員アンケート」で議論紛糾 ─ 中医協・DPC分科会

7月16日のDPC評価分科会.jpg 医療費抑制などを目的としたDPCの導入により、入院期間の短縮に追われる医療従事者の疲弊や粗診粗療の恐れなどを指摘する声もある。「医療の質」を調べる決定打を欠く中、厚生労働省は中医協のDPC分科会で「職員アンケート」を提案したが、賛否両論が相次ぎ紛糾した。(新井裕充)

 2010年度の診療報酬改定で、DPC病院の前年度収入を保証する「調整係数」の一部に置き換わり、「新機能評価係数Ⅱ」が導入された。「地域医療係数」や「救急医療係数」など病院機能を診療報酬に反映させる仕組みだが、特定機能病院を中心とする大病院に手厚く、中小病院はその恩恵を受けていないとの指摘もある。

 こうした中、厚労省は7月16日の中医協・DPC評価分科会(座長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)で、「(新)係数を導入したことによって、どのような診療行動の変化があったか、医療従事者の意識の変化があったかについてアンケート調査をやってはどうか」と提案、委員らに意見を求めた。

 池上直己委員(慶應義塾大医学部医療政策・管理学教授)は「現場からポジティブな評価が得られなければ改善もあり得る」としてアンケートには賛成したが、調査対象は病院長にすべきとした。 
 これに対して、酒巻哲夫委員(群馬大医療情報部教授)は、「アンケートのやり方はなかなか難しい」と反対。「病院長なり病院職員が、この(係数の)意味を正しく理解できているのか」と述べた。

 伊藤澄信委員(独立行政法人国立病院機構医療部研究課長)もこれに賛同。(係数は)「医者が何人か集まってどうにかしたから変わるほどのシロモノか」と疑問を呈し、「医師、看護師、薬剤師を対象にする調査にはなじまない」と述べた。西岡清分科会長も、「職員にアンケートしても全く意味がないんじゃないか」と同調した。

 一方、相川直樹委員(財団法人国際医学情報センター理事長)も、「アンケートの対象はやはり病院長」としたものの、「病院長が答えるのがふさわしいような項目でない場合もある」と指摘、こう述べた。
 「例えば、救急は病院長としてはどんどん増えて良くなったけれども、実際には看護部門が疲弊しているとか、医師が疲弊しているとか、そのようなこともやはり吸い取る必要がある」

 委員らの意見に対し、西岡分科会長は「各施設がどう思っているかをわざわざきいても本当に意味あるのか」とアンケート自体を疑問視したが、DPCの研究で著名な松田晋哉委員(産業医科大医学部公衆衛生学教授)はこう述べた。
 「中医協総会から言われているのは、(新機能評価)係数が導入されたことによって、『実態としてどのように医療が変わったのかを示せ』ということ。ある程度、(DPC病院の)データの整理をやって、その解釈をアンケートで対象施設に求める。あるいは、現場の先生方から見て、『こう評価してほしい』というものがあるはずなので、そういうものをアンケートできくということは非常に意義があることだろう」
(委員の発言要旨は3ページ以下を参照)

 
【目次】
 P2 → 「診療行動の変化をきくのは最低限できる」 ─ 厚労省
 P3 → 「評価が得られなければ改善もあり得る」 ─ 池上委員
 P4 → 「院長が意味を正しく理解できているか」 ─ 酒巻委員
 P5 → 「医者が集まってどうかしたら変わるのか」 ─ 伊藤委員
 P6 → 「職員にアンケートしても全く意味がない」 ─ 西岡会長
 P7 → 「医療の質に変化があったかを調べる」 ─ 厚労省
 P8 → 「看護部門や医師の疲弊も吸い取る必要がある」 ─ 相川委員
 P9 → 「病院の経営者はみんな見ている」 ─ 美原委員
 P10 → 「アンケートは非常に意義がある」 ─ 松田委員
 

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