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ニュース〜医療の今がわかる

医療政策に総意形成プロセスを-森臨太郎氏インタビュー②


■政局でなく政策で変わる日本に

「ガイドラインや医療行為に限らず、日本に一番欠けているのはこういうプロセスです。政権が変わっても、ステークホルダーの押し合いへしあいの政策に なっています。これは根源的には全く一緒の問題です。ある一つの医療政策についてしっかりエビデンスをまとめ、納税者の視点も含めて費用対効果を考え、なおかつ国民の皆さんの総意形成をする、という策定プロセス。これがないから今の日本の医療政策は誤りで、迷い込んでしまっているのです。力強い人が 勝つ"相撲"のようなものです。力が強い人が勝つなら社会的弱者といわれる人を救うためにある医療は負けてしまいますが、それではいけないです。日本は政局でなく、政策で変わっていくようになっていかなければなりません。だからこそ、誰が何と言おうとも科学的根拠を中心に話し合いを進め、国民の皆さんの総意形成をし、そういう視点が必要です。そういう意味で、このガイドラインの作成過程よりも、作成の裏にある考え方を日本の医療が学びとってくれたら嬉しいなとは思います」
 
熊田
「これはどこの業界もそうだと思います。一部の声を大きい人たちの利権で動いている。医療もそうなっているから崩壊したり、子どもや障害者とか、マイノリティにとって厳しい社会になってしまっているわけですね。この考え方が広がって、患者や家族の声とか、そういったものが中に入っていくと変わっていくのではないでしょうか。日本はどうしても医師は『先生』と呼ばれる存在だし、患者との情報の非対称性がありますよね」
 

「実際英国でもそういう傾向はあります。ただ、英国でそういうガイドラインの作成が終わった後に感想を聞くと、『自分にとって勉強になった。患者がどう考えているか普段分からないので、考えさせられていい経験になった』と言われます。少ない人数の教育かもしれないですけどね」
 
熊田
「この作成プロセスが広がると、医療の情報の非対称さが少しずつなくなっていくかなと思います。これまでは、医療界だけが情報を独占しがちで、患者には医療界がどうなっているのかが見えません。すると、医療はいくらでもやってくれるものという誤解が出てくると思います。でも今回のように、実は医療者もこういうところで悩んでるとか、根拠があいまいなんだと分かると、患者自身も自分が何を考えて情報を得ていけば、と自律して考えられるようになりますよね」
 
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