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国立がん研究センター、患者の口腔ケアで日歯と連携

嘉山孝正理事長(右)、大久保満男会長.jpg がん患者が抱えやすい口腔内トラブルを解消してがん治療の質を高めるため、国立がん研究センター(嘉山孝正理事長)と日本歯科医師会(大久保満男会長)は31日、がんに関する講習を受けた歯科医が同センターから紹介を受けて患者の歯科治療に当たる医療連携を始めると発表した。当面は手術を受ける関東圏の患者約4000人を対象に始める予定で、各地域のがん診療連携拠点病院による全国展開も視野に入れている。(熊田梨恵)

 抗がん剤治療は細胞にダメージを与えるため、口腔内の炎症による腫れや出血、嚥下困難などを起こす口腔粘膜炎や、唾液の分泌量の減少により虫歯を多発させる口腔乾燥症などのトラブルを抱えやすい。また虫歯や歯周病などがある状態で外科手術を受けると、口腔内の状態が悪化するだけでなく、術後の回復の遅れや合併症の発生につながるとされている。
 経口摂取できないことによる活力の低下や衛生面の問題など、生活の質の面からも口腔ケアの重要性は言われてきたが、医療機関の人員や知識の不足、歯科医療機関のがんに関する知識の不足などから、がん患者が適切な口腔ケアを受けられないとして問題視されていた。

 今回の同センターと日歯の医療連携では、がん治療などに関する講習を受けた日歯会員の歯科医が同センターから患者の紹介を受け、歯科治療に当たる。患者は入院中も担当歯科医のアドバイスに基づいた口腔ケアを病棟看護師から受けることができ、退院後も同センターや担当歯科医療機関で引き続き指導を受けられる。
 医療連携の開始は年明け以降の予定で、同センターで外科手術を受ける患者約4000人が対象。来年度以降に化学療法や緩和ケアを受ける患者にも対象を広げるとしている。当面は千葉、埼玉、東京、神奈川、山梨の関東圏で始めるが、2011年度以降は各地域のがん診療連携拠点病院でも同様の連携を開始するとしている。

 嘉山理事長は同日行った日歯との医療連携合意書調印式で記者会見し、「がん患者についてはこの数年で抗がん剤の効果が世界的に出てきて、従来の治療成績に比べると5、6割、がんの種類によっては9割以上のキュアの時代になった。次に我々が目指すところは急性期治療が終わった後の患者さんの職場や社会復帰をなるべく短時間で行い、質を良くして患者さんを社会に返す事」と述べ、国内のがん診療連携拠点病院のモデルケースとして実施していくと語った。

 日歯の会員は約6万5000人。会員向けの講習は山梨を皮切りに9月末から始まる予定。


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