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ニュース〜医療の今がわかる

がん医療と介護シンポジウム


ここからパネルディスカッション登壇者たちのプレゼン。
児玉
「がんになって、もう治療法がないと言われた時に、ずっと病院にいるのか家に帰るのか考えてほしい。在宅を選ぶ場合は地域との調整が必要になる。また決して安いものではない。出前と同じようなデリバリーコストがかかるし、看病する人の稼ぎが止まる問題もあるし、そうやって働けない人が増える社会的損失もある。

家族にとっても大変な面は多々あるが、しかし実際にやってみたなかには、無理だと思ったけれどやってよかったという人もいたりして、希望がある場合は準備してやってみていただきたい。

その場合も、何が何でも最期まで家でというのはお奨めしない。その時その時で状況も変化するし、やってみたら思った以上に大変だったとか、看病する側の人が病気になってしまったとか、そういうことはあって当たり前。つらくなったら入院させてほしい。亡くなる直前というのは、どうしても容態が悪くなるので、その段階で家族が耐えられなくなって入院というのもよく耳にする。その時その時で主治医やケアマネや訪問看護師に相談してほしい。

がんで在宅に移行された方の多くが1ヵ月ちょっとで亡くなることが多い。私たちが調査した事例では、半分の方は最期まで在宅で看取りまでされていた。半分の方は再入院になっていた。再入院された方の中で、その日や翌日、翌々日あたりに亡くなる方もいる。これに関して問題だなと思うのは、ずっと付き添っていた家族は最期まで家でと思っていても、突然登場してきた家族や兄弟が救急車を呼んでしまうという例が少なくない。最初から関わっている人の気持ちを尊重していただきたいなと。チューブにつながれるのがイヤで家に帰ったはずの人が、病院は運ばれてくると救命してしまうので、チューブにつながれてしまう。それでよいのか家族の方と話をしてほしい」

赤田
「私は医療保険を重視していない。生命保険は、公的保険から外れたところを補填するものと考えてほしい。高額薬剤とか通院の交通費とか差額ベッド代とか。末期がんや心臓疾患でもそうだが、亡くなる直前は本当にお金がかかる。1日1万円のような補償では全く意味がない。ただ介護保険のことなど、誰に相談したらよいかということに関しては、実は非常によく知っているので保険の営業マンを有効活用してほしい」

菅原
「在宅ホスピスの会の先生は、がんは在宅で100%看取れると言っている。認知症も看取れると言う。私もがんに関しては大丈夫だと申し上げたい。ただし、絶対に在宅がよいとは申し上げない。それぞれの家庭の都合がある。この冊子にも出ているが、色々な方に聴いてみると、自分は家族を家で看取ってあげたいと思っている。でも自分が看取られるかというと躊躇してしまう。家族に迷惑をかけたくないという日本人らしい。どうか家へ帰ってきて家で過ごしてほしい。

余命宣告をされて家に帰ってくるわけだが、医師も短めに言うのはあるにせよ、たいていは5倍10倍長生きする。医師の余命宣告通りにケアプランを立てていると大変なことになるので、最近は予後予測は無視している。家には妖精が住んでいる。家に帰ってくると皆さん元気になる。

がんになったらどうするかを、いつから考えるか、今日から考えて欲しい。人は必ず死ぬ。まず自分の死のことを考えてほしい。そして次に家族の死を考えてほしい。それを家族でぜひ語ってほしい。どのように死にたいのか、どのように死なせたいのか。死が怖いのは分からないから怖い。余命いくばくもないと言われた方は家に帰って思い切りわがままを言って欲しい、家族に甘えてほしい。亡くなっていく姿を見せることは命のリレー。それが次の時に必ず役に立つ。

痛みのコントロールのできない医者は直ちに変えてほしい。家族が痛みに苦しんでいる時に寄り添うのはツライ。モルヒネの使用量が日本ではまだまだ少ない。心配しないでも、モルヒネのせいでがんで1ヵ月も意識不明で亡くなるような人は見たことがない。

福祉職のケアマネは看取りのケアプランづくりが苦手。亡くなる2週間前くらいからガタガタと状態が落ちてくる。その時にパンパンとケアプランを切り替えることが必要なんだが、その度に書類をいちからやり直す必要がある。面倒くさくなって病院に行ってほしいということになってしまう。それから介護保険の外に訪問看護があるので、福祉系のケアマネは実情をよく知らないことがある。訪問看護ステーションのケアマネがよさそう」

101016simpo2.JPG片木
「がん患者や家族には、お金の負担、時間の負担、心の負担がある。お金は、医療費だけでなく、抗がん剤治療の時のカツラ、リンパ浮腫の弾性ストッキング、通院のためのコル通費、お見舞いのための交通費、セカンドオピニオンとか転院とかの際に細々とかかる文書費といったものが必要。医療費だけでも、高額療養費制度ギリギリ毎月かかるような最悪の場合、毎月7万円ちょっと、年間84万円。もし親ががんになったとして、親に貯金がなかったら若い子供世代には大変。時間は、家事、移動、家族との相談、診療。何とかなるかというと、頼りになる家族が何人いるか次第だし、職場の理解を得られるかにもかかっている。仕事をやめてしまうと稼ぎがなくなる。心の問題は、病気のこと生活のことで鬱になる人も多い。そこは患者会が助けになることもある。患者会をやってきた経験として、親ががんになったらどうやって接したらいいか分からないという人も多い。患者さんと接する『あ・い・う・え・お』=写真=をお伝えしたい」

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