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ニュース〜医療の今がわかる

110107inovation.JPG 政府は7日、医薬品・医療機器分野を国の成長産業とするため、その研究開発部分を省庁横断的にバックアップする組織として、内閣官房に「医療イノベーション推進室」を設置した。室長と室長代行2人が官や政からではなく研究者から起用されたという点に目新しさを感じるところで、その3人が発足にあたって記者会見を開いたので、お邪魔してきた。(川口恭)

 室長は、昨年のロハス・メディカル誌連載『あなたにオーダーメイド医療を』でもおなじみの中村祐輔・東大医科研ヒトゲノム解析センター長。室長代行には、再生医療で高名な岡野光夫・東京女子医大教授と02年のノーベル化学賞受賞者である田中耕一・島津製作所フェローが就任した。

 日本の医薬品・医療機器産業が世界から置いていかれるようになった原因としては、この室で取り扱うような研究開発阻害要因の規制や縦割り行政だけでなく、資本循環阻害要因の不透明な値決めの問題もあり、後者に対しても手を打たないと新成長戦略は画餅になりかねない。その点、隔靴掻痒感は残るのだが、それでも室の設置が大きな一歩であることには間違いないし、3人の熱い思いが伝わってくる会見でもあったので、3人の発言をほぼ逐語で再現したい。

中村
「日本は先進国の一つに数えられていますけれども、実際、医薬品あるいは医療機器の現状を見ますと、かなり寂しい状況にある。特に医薬品に関しましては、輸入品から輸出品を差し引いた金額は1兆円に迫ろうとしているくらい医薬品の輸入大国になっています。医療機器を見ましても同様の傾向になっていまして、日本の医療が海外の医薬品あるいは医療機器に支えられているという状況になっています。

日本の患者に、いち早く世界の最先端の医薬品・医療機器・医療診断薬を届けるということは、国のミッションとして極めて重要でありますけれども、最近の日本の流れを見ていますと国家戦略的な取り組みがなされていないために、日本はこの分野で国際的な競争力を次第に失いつつあります。日本バッシングではなく日本パッシングと言われるくらい、たとえば治験が日本を飛び越した形で韓国や中国・シンガポールで行われるという状態にもなってきております。

個々の技術を見ますと、医療のレベルを見ますと、日本は世界水準の高いレベルの医療を誇っておりますし、医療ではなく医学の分野の基礎研究というのは非常に質的に高いものもあります。しかしながら総合力として見ると日本の中から医薬品の開発ができない、あるいは医療機器の多くのものが海外のものによって占められているという状況が続いております。

これを克服するためには、今までのような省庁縦割りの取り組みでは国際的な競争力を取り戻すことはできないという観点から、医薬品、医療機器、再生医療などを中心に産学官が非常に強力に連携して資源を集中し研究成果を実用化まで一貫して推進するための横断的な仕組みが必要という形で、この医療イノベーション室が発足いたしました。

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