なぜ、医師を増やすの?
■ 「福祉的な面の医療が不足している」 ─ 桑江委員
[桑江千鶴子委員(都立多摩総合医療センター産婦人科部長)]
都立多摩総合医療センターという自治体立病院の産婦人科に務めております。私は管理的立場の名前ですが、ほとんど研修医時代と変わらない生活をしておりまして、当直も月3回やっておりますし、手術も......、帝王切開もやっておりますし......。
新しい臨床研修制度になってから、若い方達とやっておりまして、恐らく20人の委員の中で、たぶん1病院勤務医の立場でお話をさせていただきたいと思っておりまして......。
お手元にですね、今日、追加で資料を作りました。恐らく、短時間で私が考えていることを皆様に説明するわけにはいかないと思いますので、お時間のある時にお目通しいただければと思います。
現場におりますと......。多摩地域といって、東京はかなり医師が多いと思われているかもしれませんが、その中でも多摩地域というのは、産婦人科は全国平均よりも少ない。比較的過疎に近い所におりますので、現場の危機感は身に染みております。
これは医学部の定員の会議ではありますが、根底にあるのは医師不足ですので、これから何人増えて、将来的にどういう風になっていくかという話はもちろん大きな視点だとは思いますが、今現在から10年、20年の間、どのようにして地域の方たちの命や健康を守っていくかという視野に立ってですね、ぜひご議論いただきたいし、私も参加させていただきたいと思います。
すごく危惧しているのは、福祉的な面の医療が不足しているわけで、同時にライフ・イノベーション的な成長戦略もやっていかないとですね、恐らく世界の中で取り残されていくでしょうということもありますし、人口が急変していく中でどのように、医療にどれだけお金を費やせるかということもあるわけで......。
やっぱり、直近の問題とですね、長期的な問題、それと福祉的な問題と、産業成長戦略的な問題と、少し別個に考えていただいて......。
「喫緊で何ができるか」という問題の中で、医学部の定員の話をぜひ議論していただきたいと思いまして、今回、資料を出しました。
▼ 桑江委員が提出した資料は、最終報告書になり得るような充実した内容。9ページにわたり医療の現状や課題が書かれている。資料の冒頭「医療について」では、「福祉的側面」と「成長産業としての側面」を挙げた上で、こう記している。
「どちらも不足しているが、特に福祉的側面としての医療、安心してかかれる医療が現在崩壊の危機に瀕している。現場での危機感は相当強い」
[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
ありがとうございます。それぞれに貴重なご意見を頂いております。時間が短くて誠に申し訳ありません。個別のご意見はですね、事務局(文科省医学教育課)に直接メール、文書でおっしゃっていただけるようにいたしますので、よろしくお願い申し上げます。
▼ 座長が目指す方向と桑江委員の発言が違う方を向いていたからか?
ちなみに素朴な疑問だが、高度医療を推し進めると、現在の医療では亡くなるような病気でも生き長らえるようになり、患者数も増えるのではないか。国策として救命や延命をガンガン進めて「入り口」を広げておきながら療養病床は減らす、緩和ケアは足りない、福祉政策はボロボロ......では困るなあという気もする。
【目次】
P2 → 「日本が医療分野で世界に貢献し名誉ある地位を」 ─ 鈴木副大臣
P3 → 「世界最高水準の医療を続けていくために」 ─ 安西座長
P4 → 「医師数は年々増えている」 ─ 厚労省医政局
P5 → 「医師が何人働いているんですか?」 ─ 山本委員
P6 → 「現在の医学部定員は限界に達している」 ─ 矢崎委員
P7 → 「地域医療が崩壊している」 ─ 中川委員
P8 → 「新たな医学部を立ち上げた方が早い」 ─ 今井委員
P9 → 「医師のアロケーションの問題が大きい」 ─ 片峰委員
P10 → 「今の医療資源をどう有効活用できるか」 ─ 栗原副座長
P11 → 「現在のOECD平均3.1人を超える時代が来る」 ─ 黒岩委員
P12 → 「福祉的な面の医療が不足している」 ─ 桑江委員
P13 → 「すぐ医師を増やすか医療全体から考えて」 ─ 坂本委員
P14 → 「基礎研究に入ってこられる環境づくりが大事」 ─ 妙中委員
P15 → 「医薬品の研究開発に医師が必要」 ─ 竹中委員
P16 → 「様々な病院を循環できる制度づくりを」 ─ 丹生委員
P17 → 「医師の業務拡大という広い意味で考えて」 ─ 永井委員
P18 → 「医学部の新設は到底あり得ない」 ─ 中川委員
P19 → 「既存の医学部を強化していく」 ─ 中村委員
P20 → 「精度の高い調査を目指すことが必要」 ─ 西村委員
P21 → 「粗製濫造、青天井の医師養成になってしまう」 ─ 濱口副座長
P22 → 「周辺領域と合わせて定員の議論を」 ─ 平井委員
P23 → 「モデル事業として新しい構想の医学部創設も」 ─ 矢崎委員
P24 → 「若手の研究者が非常に少なくなっている」 ─ 山本委員
P25 → 「ジグゾーパズルを全部はめ込んで絵にする」 ─ 安西座長
P26 → 「アジアの若者を日本が育成する視点を」 ─ 鈴木副大臣
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