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ニュース〜医療の今がわかる

なぜ、医師を増やすの?

■ 「医師が何人働いているんですか?」 ─ 山本委員
 

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 ありがとうございました。厚生労働省からも説明を頂きましたけれども、先ほどの文部科学省の説明も含めて、何かご質問があればと思いますが、いかがでしょうか?

 (しばらく沈黙)

[濱口道成・副座長(名古屋大学総長)]
 よろしいでしょうか?

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 どうぞ、濱口委員。

[濱口道成・副座長(名古屋大学総長)]
 すみません、ちょっと思いつきの発言かもしれませんが......。

 最近、医師不足が問題となっておりますが、地域の基幹病院の医師が足りなくて非常に厳しい状況にある。それが......、さらに地域差があるという問題もあると思いますが、そういう所、実態をつかむようなデータというものは出せないものなんでしょうか?

 (すぐに文科省・茂里視学官が挙手)

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 ありがとうございます。どうでしょう......、あ、どうぞ。

[文科省高等教育局医学教育課・茂里毅視学官]
 これは厚労省から頂いているデータを基に整理したものでございますが、(委員のみに)お配りさせていただいた冊子......、「文部科学省の医師不足対策」という冊子がございます。こちらの32ページに、充足率が一番高い所と低い所だけを取ったデータをご用意させていただいております。

 また、濱口委員のお話を受けて必要なものがありましたら、改めて整理したいと思いますが、とりあえず32ページに形だけは......。

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 ありがとうございます。データも大変大事でございますので、ご希望のデータがほしいということがありましたら、両省で考えていただくようにいたしますので、どうぞご遠慮なく仰っていただければと思います。

 ▼ 台本通りか。議論の前提となる資料についてアレコレ言い出したら、それだけで会議が終わってしまう。

 はい、どうぞ。

[桑江千鶴子委員(都立多摩総合医療センター産婦人科部長)]
 医師の数というのは、病床あるいは平均在院日数が非常に大きなデータだと思うのですが、各国の比較データを頂いたのですが......。

 ▼ 「医師の絶対数が不足している」という主張に対し、「日本はベッドが多い」「平均在院日数(入院期間)が長い」という反論がある。

 病床利用率に関してです。(人口千人当たりの)ベッド(数)は異なっているけれども、「どれぐらい利用されているか」っていうことが、このデータにはないので......。ちょっと、そこで立ち止まってしまうことがありまして......。

 もし、持ってらっしゃいましたら、お願いしたいと思います。

[厚労省医政局医事課・村田善則課長]
 ちょっと今、手元にございませんので、次回、提出させていただきたいと思います。

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 他には......。どうぞ。

[山本修三委員(株式会社日本病院共済会代表取締役社長)]
 大学の定員を増やすという話、事情は分かったんですけれども、大学においては、教育、研究、臨床をやっている。そうすると、メーンの大学病院があると思いますが、学生を教育するために、実際に病院を動かしていくために、医師が何人働いているんですか?

 例えば東京大学で言えば、ある数字では100人以上の医師が働いている。慶應でも700人以上が働いておりますけれども、そういう各大学のですね、そういう数字がですね、文部科学省、それから厚生労働省を見ても、なかなか見つからないものですから、もし分かりましたら、ぜひお願いしたいと思います。

 (挙手が相次ぐ)

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 はい、どうぞ。

[黒岩義之委員(全国医学部長病院長会議会長、横浜市立大学医学部長)]
 全国医学部長病院長会議会長の黒岩でございますが、今、医学部の学生は全国に4万5000人おりまして、そして医師の資格を有する医学部の教員あるいは医科大学の教員を合わせますと4万6000人と言われております。

 学生4万5000人に対して、医師の資格を有する......。医学部卒業でない教員の数は含まれておりませんが、そうすると、学生1人に対して教員が約1名。1対1という......、平均いたしますとそういう風になっているかと思います。

[山本修三委員(株式会社日本病院共済会代表取締役社長)]
 (語気をやや強めて)そこは数字が出ておりますので私どもにも分かるのですが、1つひとつの大学が何床の病院を持って、どれぐらいの医師がいて教育に関与しているか、その辺の数字が見えないということで......。もし分かれば、ということで発言させていただきました。

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 やはり地域ごと、あるいは病院ごとの数字も大事だと思います。(中略)

 ▼ この後も、両省の資料に関する質問や、追加データの提出を求める意見が相次いだ。安西座長が「データの依頼は個別に事務局へ」と打ち切ろうとしたが止まらない。委員らは、より正確に実態を把握できるようなデータを求めているように見えた。
 

【目次】
 P2 → 「日本が医療分野で世界に貢献し名誉ある地位を」 ─ 鈴木副大臣
 P3 → 「世界最高水準の医療を続けていくために」 ─ 安西座長
 P4 → 「医師数は年々増えている」 ─ 厚労省医政局
 P5 → 「医師が何人働いているんですか?」 ─ 山本委員
 P6 → 「現在の医学部定員は限界に達している」 ─ 矢崎委員
 P7 → 「地域医療が崩壊している」 ─ 中川委員
 P8 → 「新たな医学部を立ち上げた方が早い」 ─ 今井委員
 P9 → 「医師のアロケーションの問題が大きい」 ─ 片峰委員
 P10 → 「今の医療資源をどう有効活用できるか」 ─ 栗原副座長
 P11 → 「現在のOECD平均3.1人を超える時代が来る」 ─ 黒岩委員
 P12 → 「福祉的な面の医療が不足している」 ─ 桑江委員
 P13 → 「すぐ医師を増やすか医療全体から考えて」 ─ 坂本委員
 P14 → 「基礎研究に入ってこられる環境づくりが大事」 ─ 妙中委員
 P15 → 「医薬品の研究開発に医師が必要」 ─ 竹中委員
 P16 → 「様々な病院を循環できる制度づくりを」 ─ 丹生委員
 P17 → 「医師の業務拡大という広い意味で考えて」 ─ 永井委員
 P18 → 「医学部の新設は到底あり得ない」 ─ 中川委員
 P19 → 「既存の医学部を強化していく」 ─ 中村委員
 P20 → 「精度の高い調査を目指すことが必要」 ─ 西村委員
 P21 → 「粗製濫造、青天井の医師養成になってしまう」 ─ 濱口副座長
 P22 → 「周辺領域と合わせて定員の議論を」 ─ 平井委員
 P23 → 「モデル事業として新しい構想の医学部創設も」 ─ 矢崎委員
 P24 → 「若手の研究者が非常に少なくなっている」 ─ 山本委員
 P25 → 「ジグゾーパズルを全部はめ込んで絵にする」 ─ 安西座長
 P26 → 「アジアの若者を日本が育成する視点を」 ─ 鈴木副大臣


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