なぜ、医師を増やすの?
■ 「地域医療が崩壊している」 ─ 中川委員
[中川俊男委員(日本医師会副会長)]
(不機嫌そうな声で)あの......、最初なのでおききしたいんですけれども......。
この検討会は何回ぐらいを予定してるんですか?
▼ 思わず笑ってしまった。やはり日本医師会は審議会に欠かせない。鈴木副大臣は離席しているので、発言のタイミングはOK。
[文科省高等教育局医学教育課・新木一弘課長]
回数はまあ、これからご審議いただきながらという風に思っておりますが、大体まあ......、1年ぐらいで......、意見の取りまとめを頂ければありがたいと......。
現時点ではそう思っておりますが、またこれからご審議の状況を見ながら......。
[中川俊男委員(日本医師会副会長)]
その上で申し上げたいんですが、本日の第1回の検討会は、全国的にひじょーーに注目度が高いです。それが地域医療崩壊という現状の中でですね、待ち望んでたんですよ。
▼ 医学部の定員を増やしても、18歳が即戦力の医師になるのは10年後。
この検討会の位置付けを委員の皆さんと共通認識を持ちたいんですが、鈴木副大臣が冒頭でおっしゃったですね、「ライフ・イノベーション」、「新成長戦略」の中の位置付けで、この検討会を議論することではないと思いますよ。
もう、地域医療が崩壊しているという現状の中で、緊急の課題ということで検討する会で、そのことをやっぱり共通に認識していただきたいと思います。
(安西座長、疲れたような表情で眼鏡を外した)
それで、座長の進め方は......あれですが、(議題の)「現在の医療・医学を取り巻く現状について」ですね、もう少し両省から詳細な説明が必要だと思います。
それで、(医師)不足はどこにあるのか。(中略)絶対数なのか、偏在なのか。そういうことの整理をですね、まず第1回目にしないとですね、論点が分散すると思うんですよ。
その上で一言申し上げますが、厚生労働省の資料の11ページ(医療提供体制の各国比較)。この平均在院日数、日本が33.8って......、なんでそうなる!?
▼ アメリカ6.3、イギリス8.1、ドイツ9.9、フランス12.9。
ずっと言ってるんですけど、日本は慢性期も全部含めた平均在院日数で、急性期だけの諸外国と比べてどうすんですか? そういうことを出しているから、文部科学省の(委員に配布した)青い本も同じものが出るんですよ。14ページ。
こういう、いい加減な資料を出して議論はできません! 本当に、注意してください。
▼ 会場にひんやりと冷たい空気。いいなあ、日本医師会。おもしろすぎる。
[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
そういう......、地域医療等々に密着した説明というのは非常に大事だという風に思いますし......、また、正確なデータというのが大事だと思いますが......。
第1回目といたしましては......、いろんなバックグラウンドの方がおありだと思いますので、本日は、それぞれの委員の方からの、少しずつでも、はっきりとしたご意見でも結構ですので伺うべきではないかと思います。
▼ 日本医師会の意見も聴いてあげましょう、という広い心。
よろしゅうございましょうか......。
先ほどから何度も申し上げておりますように、データについては個別におっしゃっていただければ結構ですので......。貴重な時間でございますので、ご意見を伺うステップに入らせていただければと思いますが、よろしいでしょうか?
▼ いや、これが日本医師会のご意見。
[濱口道成・副座長(名古屋大学総長)]
医師の需給も重要ですが、実際、病院を動かす場合ですね、コメディカルを見ながら考えていかきゃいけないと思いますので、そのデータも......。
[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
そうですね。それもおっしゃる通りだと思います。
[文科省高等教育局医学教育課・茂里毅視学官]
ありがとうございました。それでは、ただ今頂戴いたしましたご意見、そしてそれは厚労省と文部科学省でいったん整理させていただきまして......。
どういう形でご説明を申し上げるか、また座長と相談しながら、次回以降、詰めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
私からもしゃべりますが、この検討会で使う内容というのは 国民的にも、また地域的にも大きな関心事であることは理解しておりますので、できるだけ早いスピードでもって、しっかりした議論ができるように......。それは、やらせていただければと思います。ぜひ、ご協力をお願いできればと思います。
それではですね、今日はそれぞれの委員の皆様からご意見を伺えればと思います。3時まで(あと1時間)ということになっておりますので、大変恐縮でございますが、すべての方にご発言いただきたいので、その時間は手元の(台本?)......、事務局によると3分と書いてあって......。(委員ら笑い)
誠に申し訳ありませんけれども、お互いにご協力をお願い申し上げます。それでは......、(座長から見て一番右奥の)今井委員から行かせていただきます。
【目次】
P2 → 「日本が医療分野で世界に貢献し名誉ある地位を」 ─ 鈴木副大臣
P3 → 「世界最高水準の医療を続けていくために」 ─ 安西座長
P4 → 「医師数は年々増えている」 ─ 厚労省医政局
P5 → 「医師が何人働いているんですか?」 ─ 山本委員
P6 → 「現在の医学部定員は限界に達している」 ─ 矢崎委員
P7 → 「地域医療が崩壊している」 ─ 中川委員
P8 → 「新たな医学部を立ち上げた方が早い」 ─ 今井委員
P9 → 「医師のアロケーションの問題が大きい」 ─ 片峰委員
P10 → 「今の医療資源をどう有効活用できるか」 ─ 栗原副座長
P11 → 「現在のOECD平均3.1人を超える時代が来る」 ─ 黒岩委員
P12 → 「福祉的な面の医療が不足している」 ─ 桑江委員
P13 → 「すぐ医師を増やすか医療全体から考えて」 ─ 坂本委員
P14 → 「基礎研究に入ってこられる環境づくりが大事」 ─ 妙中委員
P15 → 「医薬品の研究開発に医師が必要」 ─ 竹中委員
P16 → 「様々な病院を循環できる制度づくりを」 ─ 丹生委員
P17 → 「医師の業務拡大という広い意味で考えて」 ─ 永井委員
P18 → 「医学部の新設は到底あり得ない」 ─ 中川委員
P19 → 「既存の医学部を強化していく」 ─ 中村委員
P20 → 「精度の高い調査を目指すことが必要」 ─ 西村委員
P21 → 「粗製濫造、青天井の医師養成になってしまう」 ─ 濱口副座長
P22 → 「周辺領域と合わせて定員の議論を」 ─ 平井委員
P23 → 「モデル事業として新しい構想の医学部創設も」 ─ 矢崎委員
P24 → 「若手の研究者が非常に少なくなっている」 ─ 山本委員
P25 → 「ジグゾーパズルを全部はめ込んで絵にする」 ─ 安西座長
P26 → 「アジアの若者を日本が育成する視点を」 ─ 鈴木副大臣
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