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ニュース〜医療の今がわかる

なぜ、医師を増やすの?

■ 「医師数は年々増えている」 ─ 厚労省医政局
 

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 (文科省が説明を終えて)よろしいでしょうか? それでは、厚生労働省からお願いします。

[厚労省医政局医事課・村田善則課長]
 厚生労働省医事課長の村田でございます。それでは、お手元の資料3(医師を取り巻く現状等について)に従いましてご説明させていただきます。

 ▼ 医師は増えているが偏在しているという、いつもの説明。

【医師数は年々増加】
 医師数の大まかな状況について、まず1ページをお願いいたします。(中略)総数が28人余り、以下、「医療施設の従事者」として「病院」「診療所」に分けて記載してございます。

 ▼ 資料によると、08年12月末時点の医師総数は28万6699人。そのうち病院は17万4266人、診療所は9万7631人。ただ、この数字はあくまでも医師免許の届出や更新を基準に出しているため、実際に医療現場で働いている医師数を反映しているかは不明。

 それから、その下が「人口10万人対医師数の年次推移」でございます。昭和30年以降、ご覧の通り、「人口10万人対医師数」は年々増えているのが現状でございます。
 近年の状況で見ますと、国家試験の合格者は大体7600人から7700人程度ということで、死亡あるいは業務から離れられる方を除いても医師数は毎年3500人から、大体4500人ぐらい増加している状況です。

 (医師不足が指摘される)勤務医に限っても、大体2000から3000人ぐらいの増加でございます。この10年で見ますと、平成10年から20年まで、大体3.8万人増加しています。(中略)

 ▼ この後、説明は「施設の種類・年齢階級別医師数」、「女性医師の推移」、「女性医師の就業率のM字カーブ」、「年齢別小児科医、産婦人科医師数の男女比」、「診療科別医師数の推移」へと進んだ。

【偏在について】
 全体的に(医師数は)伸びておりますが、伸び率が高いのは、麻酔科、精神科、皮膚科、眼科、整形外科。逆に、伸び悩んでいるのは産科、外科等でございます。
 ただ、平成18年と20年の比較で見ていただきますと、産科・小児科は色々な政策の対応もありまして、少し安定している傾向にあるという状況です。

 それから、その次でございますけれども、「医師需給に係る医師の勤務状況調査」です。これは平成18年に厚労科研の研究で、勤務医の方々の勤務状況の調査をしたということでございます。
 病院にいらっしゃる時間の中で、診療・教育等の時間を合計すると平均で週48時間。診療所はもう少し、少ない(週40時間を下回る)。

 ただし、なお書きですが、実際に(休憩時間や自己研修・研究等に充てた時間を含め)病院の医師が医療機関に滞在している時間は平均週63時間というデータが出ております。

 それから、次のページ、「人口千人当たり臨床医数の国際比較」でございます。これもお分かりの通り、OECDを平均すると、日本は千人当たり(医師数が)少ない状況にあるということでございます。
 それから、11ページは「医療提供体制の各国比較」です。これもよく言われるデータでございますが、(日本は)「平均在院日数が長い」とか、あるいは「病床数が人口千人に対して多い」という状況でございます。

【需給の見通しなど】
 それから、厚生労働省が行いました「医師の需要と供給に関する機械的試算」のデータでございます。これは平成20年の8月に、「安心と希望の医療確保ビジョン」ということで開催した会議でお出しした資料でございます。

 ▼ 同会議の資料はこちら。「機械的試算」のデータはこちら

 基になるのは、平成18年に厚労科研の長谷川(敏彦)先生を主任研究者として(実施した「日本の医師需給の実証的調査研究」の報告)、これに機械的なデータを入れて再計算したものでございます。
医師需給長谷川データ.jpg 見にくいですが、青色が需要の曲線です。勤務医時間を週48時間と仮定した場合が一番下、その上が44時間、40時間ということでの需給のラインでございます。
 それから、オレンジ色等が医師数の供給のデータでございます。(医学部)定員が抑制されていた7700人を維持した場合、さらに「骨太方針2008」を踏まえ、過去最大にした場合、それから2割増員した場合、それから一番上が毎年400人ずつ増員した場合ということです。

 需要と供給が交わる所が均衡する点ということになります。当然、いくつか前提を置いて試算しております。その前提は13ページに記載してございます。

 それから、14、15ページは「病院等における必要医師数実態調査の概要」でございます。これは、本年初めて厚生労働省として......。各医療機関が考えている医師数のトータルの数を調査するということで行ったものでございます。(中略)どれだけの医師を求人しているのか、確保できないのかを積み上げた。

 それによりますと、必要求人医師数は1万8288人。現在の医師数との対比で言いますと、(現員医師数の)1.11倍ということでございました。
当然、都道府県ごと、診療科によってバラツキがございます。16ページ以降は、その具体的なデータでございます。(中略)

 ▼ 資料はこちら。説明後の質疑で委員から激しい突っ込みが入ったことは言うまでもない。

 それから最後に、説明は省略させていただきますけれども、「二次医療圏」別の人口......。都道府県ごとの医師の偏在ということが言われておりますけれども、さらに都道府県(内)を区切って、医療法が定める「二次医療圏」の単位で整理してみました。説明は以上でございます。
 
【目次】
 P2 → 「日本が医療分野で世界に貢献し名誉ある地位を」 ─ 鈴木副大臣
 P3 → 「世界最高水準の医療を続けていくために」 ─ 安西座長
 P4 → 「医師数は年々増えている」 ─ 厚労省医政局
 P5 → 「医師が何人働いているんですか?」 ─ 山本委員
 P6 → 「現在の医学部定員は限界に達している」 ─ 矢崎委員
 P7 → 「地域医療が崩壊している」 ─ 中川委員
 P8 → 「新たな医学部を立ち上げた方が早い」 ─ 今井委員
 P9 → 「医師のアロケーションの問題が大きい」 ─ 片峰委員
 P10 → 「今の医療資源をどう有効活用できるか」 ─ 栗原副座長
 P11 → 「現在のOECD平均3.1人を超える時代が来る」 ─ 黒岩委員
 P12 → 「福祉的な面の医療が不足している」 ─ 桑江委員
 P13 → 「すぐ医師を増やすか医療全体から考えて」 ─ 坂本委員
 P14 → 「基礎研究に入ってこられる環境づくりが大事」 ─ 妙中委員
 P15 → 「医薬品の研究開発に医師が必要」 ─ 竹中委員
 P16 → 「様々な病院を循環できる制度づくりを」 ─ 丹生委員
 P17 → 「医師の業務拡大という広い意味で考えて」 ─ 永井委員
 P18 → 「医学部の新設は到底あり得ない」 ─ 中川委員
 P19 → 「既存の医学部を強化していく」 ─ 中村委員
 P20 → 「精度の高い調査を目指すことが必要」 ─ 西村委員
 P21 → 「粗製濫造、青天井の医師養成になってしまう」 ─ 濱口副座長
 P22 → 「周辺領域と合わせて定員の議論を」 ─ 平井委員
 P23 → 「モデル事業として新しい構想の医学部創設も」 ─ 矢崎委員
 P24 → 「若手の研究者が非常に少なくなっている」 ─ 山本委員
 P25 → 「ジグゾーパズルを全部はめ込んで絵にする」 ─ 安西座長
 P26 → 「アジアの若者を日本が育成する視点を」 ─ 鈴木副大臣


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