なぜ、医師を増やすの?
■ 「日本が医療分野で世界に貢献し名誉ある地位を」 ─ 鈴木副大臣
[文科省高等教育局医学教育課・茂里毅視学官]
定刻となりましたので、ただ今から「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」の第1回を開催したいと思います。
▼ 「在り方等」としている点がポイント。
私は、後ほど座長が選任されるまでの間、進行を務めさせていただきます。文部科学省医学教育課の視学官をしております茂里と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
会議に入ります前に、ご報告をさせていただきます。本会議は冒頭より公開とさせていただいておりますことをご了承いただきたいと思います。それでは、本日は第1回の会議でございますので、鈴木文部科学副大臣より一言、ご挨拶を申し上げさせていただきます。副大臣、よろしくお願いいたします。
[鈴木寛・文部科学副大臣]
皆さん、こんにちは。文部科学副大臣の鈴木寛でございます。今日は本当に、年末のお忙しい中、お集まりいただきまして本当にありがとうございます。また、このたび委員の就任をご快諾いただいたことに厚く御礼を申し上げます。
<医師の確保、養成について>
ま、この医師の確保、養成の問題はまさに国政上、最大の関心事の1つでございまして、先の参院選におきましてもですね、あるいは昨年の衆議院選挙におきましても国民的な議論になっていることは、皆さんご存知のことと思っております。
既に、地域医療の崩壊に対応するために、文部科学省として、私も2年目に入っておりますけれども、昨年に引き続きまして地域医療人材の確保ということで今年も......、来年度に向けて77人の(医学部定員)増を見込めてですね、(平成23年4月は)8923人の入学定員というところまで伸ばしてきているところでございます。
この委員会では、これまでの取り組みと検証の評価を、ぜひ皆様方に議論していただきますとともにですね、今後、少し中長期的につまんで、平成24年度以降の医学部入学定員の在り方......。もちろん、養成の充実ということ。質と数、両方についてになりますけれども、議論をしていただきたいと思っています。
<ライフ・イノベーションを担う若手の育成、確保について>
で、引き続きですね、地域医療人材の確保というのは大変重要な課題だと認識しておりますが、加えまして......。
菅政権におきまして、この6月に「新成長戦略」というのを取りまとめております。
その中で、「ライフ・イノベーション」というものをですね、この国を引っ張っていく新しい柱の1つに「グリーン・イノベーション」と共に、「2大イノベーション」の1つと位置付けております。
しかしながら色々と聞いてみますと、「ライフ・イノベーション」を担う若手人材の育成、確保ということも今後しっかりと考えていかなければいけないと考えております。
<国際競争力の強化について>
また、わが国の医療というものは、世界最高水準の医療技術、医療サービスという風に自負していいのではないかと思っております。
今後、国際社会においてですね、我々日本が医療分野で世界に貢献して、そして名誉ある地位を占めるというのは、国家戦略上も極めて重要な課題だと考えておりまして、こうした新しい日本社会をつくっていくという......観点からもですね、こうした社会的、国家的ニーズという観点からご議論を賜ると大変ありがたいなと思っております。
▼ 「観点からもですね」の部分で語気を強めた。
ぜひ今回、この問題を議論するに当たりですね、わが国最高のですね、ベストの皆様方にご就任していただいたと思っております。大変、感謝しております。
まあこの......、医療の実態というのは非常に多様でありますし、日々、刻々と変わっております。きちっと、将来の姿を見据えた、しっかりとした議論をして、そしてそれを政策につなげてまいりたいと、かように考えておりますので、皆様方のご協力を心よりお願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
[文科省高等教育局医学教育課・茂里毅視学官]
ありがとうございました。それでは引き続きまして、配布資料を確認させていただきたいと思います。(中略)
▼ この後、座長と副座長を選任。矢崎義雄委員(独立行政法人国立病院機構理事長)の推薦で、座長に安西祐一郎氏(慶應義塾学事顧問)が就任した。
矢崎委員は推薦理由として、「中央教育審議会の大学分科会の議長を務めており、高等教育政策の全体を把握している。さらに、慶應義塾大学の学長のご経験から大学運営の実際にも精通している」と述べた。
一方、副座長には片峰茂委員(長崎大学学長)の推薦で栗原敏氏(日本私立医科大学協会副会長、東京慈恵会医科大理事長・学長)と濱口道成氏(名古屋大学総長)が就任した。
【目次】
P2 → 「日本が医療分野で世界に貢献し名誉ある地位を」 ─ 鈴木副大臣
P3 → 「世界最高水準の医療を続けていくために」 ─ 安西座長
P4 → 「医師数は年々増えている」 ─ 厚労省医政局
P5 → 「医師が何人働いているんですか?」 ─ 山本委員
P6 → 「現在の医学部定員は限界に達している」 ─ 矢崎委員
P7 → 「地域医療が崩壊している」 ─ 中川委員
P8 → 「新たな医学部を立ち上げた方が早い」 ─ 今井委員
P9 → 「医師のアロケーションの問題が大きい」 ─ 片峰委員
P10 → 「今の医療資源をどう有効活用できるか」 ─ 栗原副座長
P11 → 「現在のOECD平均3.1人を超える時代が来る」 ─ 黒岩委員
P12 → 「福祉的な面の医療が不足している」 ─ 桑江委員
P13 → 「すぐ医師を増やすか医療全体から考えて」 ─ 坂本委員
P14 → 「基礎研究に入ってこられる環境づくりが大事」 ─ 妙中委員
P15 → 「医薬品の研究開発に医師が必要」 ─ 竹中委員
P16 → 「様々な病院を循環できる制度づくりを」 ─ 丹生委員
P17 → 「医師の業務拡大という広い意味で考えて」 ─ 永井委員
P18 → 「医学部の新設は到底あり得ない」 ─ 中川委員
P19 → 「既存の医学部を強化していく」 ─ 中村委員
P20 → 「精度の高い調査を目指すことが必要」 ─ 西村委員
P21 → 「粗製濫造、青天井の医師養成になってしまう」 ─ 濱口副座長
P22 → 「周辺領域と合わせて定員の議論を」 ─ 平井委員
P23 → 「モデル事業として新しい構想の医学部創設も」 ─ 矢崎委員
P24 → 「若手の研究者が非常に少なくなっている」 ─ 山本委員
P25 → 「ジグゾーパズルを全部はめ込んで絵にする」 ─ 安西座長
P26 → 「アジアの若者を日本が育成する視点を」 ─ 鈴木副大臣
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