なぜ、医師を増やすの?
■ 「若手の研究者が非常に少なくなっている」 ─ 山本委員
[山本修三委員(株式会社日本病院共済会代表取締役社長)]
最後......でございますので......。皆さん、大体のご意見をおっしゃったので、当然重なると思いますが......。
私の立場を申し上げると、この3月まで(公的病院を中心に組織する)日本病院会の長をしていました。ですから、医師不足の問題は何年にもわたって(メディカルスクール創設の)提言をしてまいりましたけれども......。
▼ 国内4つの病院団体(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)でつくる「四病院団体協議会」は、社会人から医師になれる道を開く「メディカルスクール」の創設を提言している。大学医学部を中心として医師増を図るのか、それとも病院団体が主導権を握るのか。医師をどのような方法で増やすかについて、"縄張り争い"のごとき様相を呈している。
この4月で、その長を去りましたので、比較的、個人の自由な立場で発言させていただきたいと思います。
そうした意味で、「医師が足りない」「定員を増やす」という話ですが、もう少し具体的に言うと、「医師が足りない」というのは病院で働く医師が足りないということだろうと思います。
さらに言うならば、急性期の病院で働く医師が足りない、これが実態だと思います。ですから、2交代制すらできない。ですから、労働基準法を守れない。そういった環境で医師が働いている。こういった問題をどう解決していくのか。
それから地域偏在、診療科偏在、こうした問題も非常に大きな問題。こういうのを数の論理だけで解決することはできないだろうと思います。
ですから、臨床をやる医師は何のためにいるのかと言えば、患者さんのためにいるわけですから、少なくとも地域の医療ニーズというものはどうなっているんだろうか。
そのニーズに合わせて、こういう病気がこれだけあって、これだけの手術がこの地域ではありますと言えばですね、じゃあ、どういう医師がどれぐらいその地域にいなくちゃいけないのか、それを踏まえて、医療の資源の適正配置という仕組みも一緒に考えていかないと、この問題はどうしても解決できない。
ですから、そういう意味で議論があんまり広がりすぎてもいけないと思いますけれども、かなり幅広い議論の中で考えていくべきだろうと思います。
それからもう1つ大事なことは研究者。特に若手の研究者が非常に少なくなってきているという話は大学の先生からよく聞きます。この問題、非常に重要な問題で、未来を考えたときに、(語気を強めて)これこそが、一番大きな大学の問題だろうと思います。
そういう意味では、こういう場で大学教員の在り方も恐らく議論になる。それからもう1つは、研究を推進するような体制の再構築をどう考えていくのか。
そうしたことも視野に入れて、ちょっとあまり広くしすぎてもいけないと思いますけれども、最終的には定員の数に還元されるような形での議論はぜひやっていただきたいと思っております。
【目次】
P2 → 「日本が医療分野で世界に貢献し名誉ある地位を」 ─ 鈴木副大臣
P3 → 「世界最高水準の医療を続けていくために」 ─ 安西座長
P4 → 「医師数は年々増えている」 ─ 厚労省医政局
P5 → 「医師が何人働いているんですか?」 ─ 山本委員
P6 → 「現在の医学部定員は限界に達している」 ─ 矢崎委員
P7 → 「地域医療が崩壊している」 ─ 中川委員
P8 → 「新たな医学部を立ち上げた方が早い」 ─ 今井委員
P9 → 「医師のアロケーションの問題が大きい」 ─ 片峰委員
P10 → 「今の医療資源をどう有効活用できるか」 ─ 栗原副座長
P11 → 「現在のOECD平均3.1人を超える時代が来る」 ─ 黒岩委員
P12 → 「福祉的な面の医療が不足している」 ─ 桑江委員
P13 → 「すぐ医師を増やすか医療全体から考えて」 ─ 坂本委員
P14 → 「基礎研究に入ってこられる環境づくりが大事」 ─ 妙中委員
P15 → 「医薬品の研究開発に医師が必要」 ─ 竹中委員
P16 → 「様々な病院を循環できる制度づくりを」 ─ 丹生委員
P17 → 「医師の業務拡大という広い意味で考えて」 ─ 永井委員
P18 → 「医学部の新設は到底あり得ない」 ─ 中川委員
P19 → 「既存の医学部を強化していく」 ─ 中村委員
P20 → 「精度の高い調査を目指すことが必要」 ─ 西村委員
P21 → 「粗製濫造、青天井の医師養成になってしまう」 ─ 濱口副座長
P22 → 「周辺領域と合わせて定員の議論を」 ─ 平井委員
P23 → 「モデル事業として新しい構想の医学部創設も」 ─ 矢崎委員
P24 → 「若手の研究者が非常に少なくなっている」 ─ 山本委員
P25 → 「ジグゾーパズルを全部はめ込んで絵にする」 ─ 安西座長
P26 → 「アジアの若者を日本が育成する視点を」 ─ 鈴木副大臣
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