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ニュース〜医療の今がわかる

臨床研修検討会2

厚生労働省と文部科学省が合同で開いている『臨床研修制度のあり方等に関する検討会』の第二回会議が開催された。委員名簿は、こちら。資料も こちら
先日の後期研修班会議で珍答弁を繰り返した日本医師会の飯沼常任理事、それから国立病院機構の矢崎理事長の2人が欠席。

矢崎理事長は臨床研修制度誕生の立役者だけに、前回は一言も発言をせず、そして今回また欠席したことに意図を感じざるを得ない。

この日は地方の大学病院を代表する立場の3人からヒアリング、その後で討論という議事次第。3人からすると噛みつくはずの矢崎理事長に逃げられた感じかもしれない。それはそれとして、この日の討論も白熱して面白かった。特に注釈を加えず、どんどんご報告していく。

最初の発表者は今井浩三・札幌医大学長理事長。
「学長の立場、そして病院を経営する立場でお話をさせていただく。札幌医大の理念は、最高レベルの医科大学をめざしますということであり、そのために、人間性豊かな医療人の育成に努めます、道民の皆様に対する医療サービスの向上に邁進します、国際的先端的な研究を進めますという3つを謳っている。

最後の研究に関して言うと、文部科学省の科学研究補助金の教員1人あたり配分額を見てみると、札幌医大は13位。全国の公立の医大は8校あって12位に京都府立医大、14位に横浜市立大と3校並んでいる。それから38位に大阪市立大、39位に名古屋市立大、40位に奈良県立医大があり、上位50校の中に6校の公立大が入っているということと、札幌医大は研究面でもトップレベルにあるということを言いたい。

最も重要な教育についても、地域医療に焦点を当ててたくさんの文部科学省GPに応募しており採択もされている。それによって実習を次々に行っている。6年間に医学部だけで4回の実習があり、さらに看護師を養成している保健医療学部と合同の実習も1つある。この合同実習は重要な柱として、私も一緒に行って年に2回に分けて行っている。地域の皆さんのニーズを知ることによって地域医療をめざす人が増える狙いだ。

しかしながら、そういうことをしていても昨年市立根室病院で内科医がいなくなったり、5カ所で診療体制縮小が起きている。なぜそうなったのかと言えば、臨床研修制度で大学に人材が足りなくなったというのが大きな要因であることは間違いない。そのことをデータでお示ししたい。たとえば市立根室病院では、平成18年11月に11人の常勤医がいたのに5カ月後には3人になってしまった。札幌医大でも何とか支援しなければいけないということで、現在少し持ち直している。

札幌医大の初期研修医数の推移を見ると、平成16年度から70人→58人→50人→36人→47人と徐々に減っている。それ以上に問題なのは後期研修医が平成12年度の106人→97人→97人→77人と来ていたものが平成16年度と17年度は0、18年度から78人→77人→71人になって、2年間0だった。これが悪い状態を作る原因になって、地域へ送り出す医師の順繰りがうまくつかなくなった。

札幌医大には、いわゆる医局は存在しない。廃止した。で、平成16年度から医師の派遣要請に対しては窓口を一本化して大学全体で行うことになった。その派遣人数を見てみると、平成16年度には派遣可な医師が427人いたのだけれど、その後344人→331人→318人と減っている。結果として新しい所にはほとんど出せていない。その分、教官や大学院生が非常勤として出て行っている。教員は1人月に28.5時間、それ以外は7.4日外にいる。過剰な労働になって、だんだん問題が出てきており、この辺がギリギリ限界だと思う。

まとめると、大学に人がいないのは本当。引き金は臨床研修制度。何しろ北海道から2年間で600人の医師が消えたことになる。何とかしようという努力は色々な角度からやっているけれど、それだけではどうにもならない。最後にささやかな個人的提案をしたい。現状に照らして臨床研修をゼロにするのは現実的でないと思うので、現在「自由選択」になっている2年目の後ろ8カ月を地域医療もしくは総合医療なものにして地域に出て行ってもらったらどうか。研修にも役立つし地元の患者のためにもなる」

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