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PMDA(医薬品医療機器総合機構)の不思議-特集1「医薬品審査」

 薬害肝炎を受けて、薬害防止のために行政のあり方を見直す厚労省検討会の提言がこのほど出された。医薬品の承認審査について多くの紙幅が割かれている。しかし、承認審査の実務を行う組織がどこで、どのように担っているのか、国民に広く知られているとは言い難い。調べてみると、とても不思議な組織だった。(熊田梨恵)

 約200万人とも言われる国民が被害を受けた薬害肝炎問題を受け、二度と薬害を起こさないための対策を検討してきた国の検討会がまとめた報告書は、医薬品の添付文書も行政の承認審査の対象とすることを求めるなど、医薬品の承認審査体制の厳格化を要望する内容だ。検討会の議論では、この「医薬品の審査」を実行する独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:PMDA)のあり方について、人員配置や組織の持つ権限などについて活発な議論が行われた。
 PMDAは、開発された新しい医薬品、医療機器の安全性・有効性を審査・承認して世に送り出し、副作用が起きた場合は情報収集するなど、日進月歩の医学・医薬研究を、さまざまな制約のある実社会に適応できるよう調和させていくという"橋渡し"役を担っている。病気にかかった時に服用する医薬品や、医療機関で使われる医療機器を世に出すという、私たちの生活と密接に関係する業務を行っているが、検討会でも組織の不透明さが指摘されるなど、PMDAの存在は国民にほとんど知られていない。
 このPMDAにまつわる「不思議」について、特集でお届けする。


(1)「医薬品審査の不思議」
経験やカンに大きく頼る"人力作業"

 
 まず、基本的な内容として、PMDAの主な業務は、医薬品・医療機器に関する(1)審査(2)安全対策(3)救済-の3本柱で、これを中心に組織されている。
 
(1)審査...製薬企業や医療機器メーカーが開発した医薬品や医療機器について、企業が提出した承認申請書類の内容が信頼できるものかどうかを調査し、安全性や有効性を検証して審査する。その結果を国に提出し、承認されればその医薬品や医療機器は販売されることになる。
(2)安全対策...企業から上がってくる副作用報告を収集し、必要に応じて厚労省や企業と連携して対策を取る。企業や消費者への情報提供も行う。
(3)救済...医薬品などで起こった副作用や感染などの健康被害について、医療費や障害年金、遺族一時金などを支給する。C型肝炎患者への給付金支給や、スモン、HIV被害者への健康管理手当も支給する。
 

 ここでは、一般的にイメージが湧きにくい(1)の「審査」について見てみたい。
PMDAが入る新霞が関ビル(東京都千代田区)
 「新しく開発された医薬品を審査する」という言葉を聞いた時、どういうイメージが思い浮かぶだろうか。人によっては、試験場の中で白衣を着た人が試験管を振りながら「この医薬品は効く。効かない」とコンピュータに向かって作業している様子を思い浮かべるかもしれない。
 
 しかし、実際の審査業務は「審査員」と呼ばれるスーツを着たPMDA職員が、机上で膨大な書類とにらめっこしながら行っている。しかも、場所は東京都千代田区霞が関という中央官庁が建ち並ぶ高層ビルがある都市部の一角で、審査員らは普通に歩いているビジネスマンたちとさして見分けがつかない。PMDAが入る「新霞が関ビル」には東日本高速道路株式会社(旧日本道路公団)のほか、国の外郭団体も多く入っており、ビルの案内を見てもPMDAは多くある法人の中の一つで、特に目立たない。
 

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