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国民の健康づくり、今後の具体策は?

■「中身が分かるデータを示してほしい」

5月1日の厚生科学審議会部会2.jpg 質疑で、井部俊子委員(聖路加看護大学長)は「身体活動と睡眠とか、ストレスと睡眠など、項目ごとの関係はないのかなと考えていたのだが、さらなる分析はしないのだろうか。これで終わりなのだろうか」と質問した。

 これに対し、厚労省の担当者は「それぞれの項目での合計という整理になっている」と回答。井部委員が「さらなる検討が必要だということを、この部会で話し合わないと分析しないのか」とさらに追及したが、「今、整理の取りまとめを進めているところなので、別途解析したい」とかわした。

 また、樋口輝彦委員(国立精神・神経センター総長)は「ストレスにはさまざまなストレスがある。例えば不況の影響を受けた経済的なストレス、あるいは対人関係的なストレスがある」と指摘し、次のように注文を付けた。
 「もう少し踏み込んだ調査をする必要がある。『高齢者の5人に1人が睡眠薬を使っている』と言われるが、さまざまな理由で使っている。メンタルな疾患を背景にして使っている場合もある。身体的な疾患が眠気に影響して薬を使うなど、中身が分かるようなデータを示してほしい」

 上谷律子委員(財団法人日本食生活協会常務理事)は、糖尿病と食生活との関係について質問。厚労省の担当者は「関連性の評価をするのは難しい」「本日の意見を踏まえて解析したい」などと歯切れの悪い回答にとどまった。

5月1日の厚生科学審議会部会3.jpg このため、上谷委員は「啓発・普及を行う中で、栄養調査が1週間が5日になり、3日になり、1日になるという中で、そういう解析が可能な数字であるかという統計学的な部分も教えていただきたい」と要望した。

 厚労省の担当者が困り果てた表情を浮かべたため、見かねた辻一郎部会長代理(東北大大学院医学系研究科教授)が「役所がすべて集計するのは限界がある」と、助け船を出した。
 「今回の資料は良いデータだ。できるだけいろいろな研究者が入って解析をして役立てていけばいい」
 永井部会長も、「(会議)時間に限りがあるので」と議論を納めた。

 「平成19年国民健康・栄養調査結果」は、健康増進法(平成14年法律第103号)に基づいて、国民の身体の状況、栄養摂取量と生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることが目的で、重点調査項目は「糖尿病」「休養(睡眠)」となっている。

 調査は、2007年の国民生活基礎調査で設定された単位区から無作為で抽出した300単位区内の世帯(約6000世帯)と、当該世帯の1歳以上の世帯員(約1万8000人)を対象に、2007年11月に実施し、その結果を昨年12月25日に公表している。


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