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先発品と後発品の価格差は必要か―5月27日の薬価専門部会

■ 「先発品と後発品との価格差は必要」―製薬代表


[北村光一委員(日本経団連社会保障委員会医療改革部会部会長代理) ]
 若干、視点が狂ってしまうかもしれないが、後発品の利用率が低い中、価格の議論は非常に重要で、秋口からの(業界との)本格交渉に大きな影響を与えるだろう。

 確かに、平成20年度から先発品の引き上げ率を抑制したことで、若干だがジェネリックの使用率が上がってきているので、先発品と後発品の価格差が、ジェネリックの推進に影響が大きいと理解できる。私ども、価格差が一定程度ないと、やはりジェネリックの推進にはならないという考えもある。

 従って、価格改定の論議は非常に重要。対馬委員が申し上げた資料もいろいろ見ながら、支払い側も議論していかなければならないと思う。

 こうした中で、ここからがちょっと視点ずれているかもしれないが、ジェネリックをめぐる問題は大きく分けて、お医者さん、患者さんすべて、品質に対する不安と薬価に尽きる。
 藤原先生から指摘があった品質に対する不安の問題、これは大変大き影響を残している。これは薬価の問題ではないので、場違いかもしれないが、大変重要な問題なので、2号(診療)側の方々がこれだけ疑問を持っている点について、もし可能なら、具体的に、どういう不安なのか、お聞かせ願いたい。

[遠藤部会長] 
 何か、2号(診療)側から。中川委員、どうぞ。

[中川俊男委員(日本医師会常任理事)]
 以前、私どもでアンケート調査をやって、その理由をここで公表したことがある。もしよければ、お送りしたい。
 それと質問だが、今、北村委員も(価格差が一定程度ないとジェネリックの推進にならないと)おっしゃったが、先発品の価格をあまり下げない方が後発品への置き換えが進むという指摘が(資料「薬―1」に)書かれている。

 これは、どこからの指摘か?

 ※ 「薬―1」(平成20年度薬価制度改革の骨子抜粋平成19年12月14日中医協了解)の中に、「先発品薬価の引下げが、後発品との薬価差を縮小させ、後発品への置き換えが進みにくくなるとの指摘がある」との記載あり。

[磯部薬剤管理官]
 「薬―1」の枠内、改革の骨子の部分、私の理解では、1号(支払い)側から指摘があったのではないかと思っている。 

[中川委員]
 実は、「本当にそうかな?」と思っている。後発品の使用促進が政策的に行われているので、そういうこと(価格差)ではなく(後発品使用が)進んだのではないか。

 「メディアス」(最近の医療費の動向)を分析すると、医療費の自然増の主体は薬剤費。大部分が。そのうちの伸びの大部分が、実は後発品ではなく先発品の薬剤費。
 そうなると、追加の引き下げ率(特例引き下げ率)を(6~8%から4~6%に)2%戻したということは、後発品の使用促進につながったというよりは、先発品の薬剤費の伸びに貢献しているのではないか、寄与しているのではないかとの見方もできると思う。この点について、事務局と専門委員のご意見を伺いたい。

[遠藤部会長] 
 事務局のご見解はあるだろうか......。では、専門委員から。長野専門委員、どうぞ。

[長野明委員(第一三共株式会社常務執行役員信頼性保証本部長)]
 今、中川委員からご指摘があった点のみ、お答えする。あの......。

[遠藤部会長] 
 1つ、整理したい。今の質問は......、基本的に重要なのは、「差が小さいことがジェネリックの促進に貢献しないのではないかという議論があるが、それは違うのではないか」という、そこだけで結構。医療費の上昇、薬剤費がうんぬん、という問題はまた別問題で、長野専門委員、どうぞ。

[長野委員]
 (中川委員の質問の)後半の方だけお答えしようと思ったので、申し訳ない。(会場、笑い)

[中川委員] 
 すみません、では後半もお願いしたい。(会場、笑い)

[長野委員]
 大変、粗い計算だが、薬剤費に関する民間調査のデータを基に、「メディアス」のデータなども拝見しながら、薬剤費が医療費の伸びの牽引車になっているのかを粗く試算すると、薬剤費は医療費の伸びの中に収まっている。私どもの粗い試算では、単独で牽引車になり得ていない。

[遠藤部会長] 
 後半の質問はそうだが、むしろ聞きたかったのは、価格差を付けることとジェネリックの利用促進との関係について、どのような見解を持っているか。 

[長野委員]
 今、さまざまな議論があった。信頼性の話もあった。私どもは業界代表なので、ぜひこの場に(業界関係者を)呼んでいただいて、ジェネリックの信頼性確保に対する取り組みについて、直接話し合いができるような場を望んでいる。

 その上で、先発品と後発品との価格差は必要だと思う。過去のいろいろな経緯を経て、(先発品の)7掛けで推移してきている。先発品メーカー、後発品メーカーともに、それを受け入れている。

 それから、先発品と後発品の価格差がなくなった場合にどうなるかは、先発品の企業姿勢、後発品の企業姿勢、さまざまあると思うので、一概には申し上げられないが、先発品企業として申し上げると、今、グローバルに、ワールドワイドに発売している製品がたくさんあり、そういった製品の特許が切れた後、後発品が出てきている。

 しかし、有害事象、副作用については、諸外国のデータ、文献も含めてすべて、先発企業が特許期間中から特許切れ後も併せて、ITを整備しながらやっている。これも、「すべて奉仕せよ」という話になると、大変きつい。後発品企業さん、ルール上、求められているけれども、参入してすぐ、海外の情報を......

 (ここで遠藤部会長が発言をさえぎる)

[遠藤部会長] 
 はい、分かりました。先発品メーカーはそのようにコストが掛かっているんであって、そこに価格差があっても当然であると、こういうご意見。山本委員、どうぞ。


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