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療養病床の褥瘡患者、過半数が院内で発生-慢性期医療協会調査

 日本慢性期医療協会(武久洋三会長)が昨年実施した会員病院に対する調査によると、褥瘡のある患者5725人のうち、過半数が病院内での発生だったことが分かった。リハビリテーションを実施している褥瘡患者は57.0%で、前の月と比較して状態が改善した患者は36.2%、悪化した患者は14.8%だった。武久会長は褥瘡の院内発生について「医療療養病床も介護型療養病床も高率にある」との認識を示している。(熊田梨恵)

 武久会長が、7月8日の中医協の「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶大教授)に示した。

 調査は昨年7月から6か月間、「慢性期医療の診療の質」を調べるため、会員684病院に実施した。医療型療養病床の患者は4万16人、介護型療養病床は3万8696人。

 調査によると、褥瘡がある患者は医療療養病床で4157人、介護型療養病床で1566人と、調査対象患者の7.3%を占めた。このうち、院内で褥瘡が発生した患者は54.3%。医療型療養病床の発生率は50.3%、介護型療養病床は64.9%だった。
 
 褥瘡のある患者で、理学療法士などからリハビリテーションを受けているのは医療型療養病床で57.1%、介護型療養病床で56.8%。状態の改善率を見ると、医療型療養病床は改善した患者が35.0%で、悪化した患者の13.8%を上回った。介護型療養病床も同様の傾向で、改善は39.3%、悪化は17.5%だった。ただ、ステージ3以上の褥瘡になると、治癒した患者は医療療養病床で2.6%、介護型療養病床で2.7%にとどまる。

 病棟での褥瘡に対する取り組みとして、栄養状態の改善を実施しているのは全体の67.8%、血清アルブミン値のモニタリングを定期的に実施しているのは68.5%、圧迫などの排除を実施しているのは91.3%、スキンケアの実施は97.6%だった。

 このほか、ADL、身体抑制、尿路感染、経口摂取への移行の状況についても報告された。
 
 武久会長の報告の様子をお伝えする。

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[武久洋三・日本慢性期医療協会会長]
慢性期調査表紙.JPG医療療養病床におきまして20年4月から、診療の質を調べるためにこの分科会で決まった書式がいろいろありますが、保管しておかなければならない書類として義務付けられています。全国684病院、のべ1799病棟に調査に協力していただいた。

褥瘡は医療療養病床の方が介護型療養病床より大きい。ここは医療療養病床の分科会だが、対比として介護療養病床についても調べているので出させていただいている。

慢性期1-2.JPG2ページ、褥瘡の発生。持ち込みの割合が医療療養病床が40%で、介護型療養病床がちょっと少ない。しかし院内発生というのも、介護型療養病床も医療療養病床も高率にあると。状態が悪くて入院してきた方におきましては、亡くなる前に栄養状態も悪くなって褥瘡が発生するということも、十分頻度があると。褥瘡のステージにつきましても、医療療養病床の方が少し重度の人が多いということが分かる。

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