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2年半ぶりの社保審総会、委員は沈黙

間杉純・政策統括官(右3)0806.jpg 総選挙の行方がやはり気になるのだろうか。2年半ぶりに開かれた厚生労働省の社会保障審議会総会で、ほとんどの委員が沈黙を守った。委員の半数が欠席だった。(新井裕充)

 厚生労働省は8月6日、社会保障審議会の総会を開催し、会長に貝塚啓明・東京大経済学研究科金融教育研究センター長を再任したほか、「日本年金機構評価部会」(仮称)の設置を承認した。

 社会保障審議会は、医療や介護、福祉、年金など社会保障制度全般にわたる事項を審議する厚生労働大臣の諮問機関。総会の下には、介護報酬改定などを審議する「介護給付費分科会」など5つの分科会のほか、診療報酬改定の基本方針を決める「医療部会」「医療保険部会」など12の部会が設置され、これら分科会・部会の開催数は年間140回を超える。

 社会保障審議会が発足した2001年1月30日の第1回会合で、当時の坂口力厚労相は「社会保障に関する重要事項をご審議いただく審議会として新しく設置したものであり、国民からそのご活躍が大いに期待されている。乗り越えなければならない課題も山積しているが、全力で取り組みたい」と挨拶した。

 総会は01年と02年にそれぞれ4回、03年は5回開催されている。しかし、04年になると開催数が2回に減り、05年も2回だった。その後の開催は07年3月14日、そして今回の開催となった。各分科会や部会の審議が活発化したことに伴って総会の開催が減ったと考えられるが、社会保障をめぐる問題が山積している今、社保審総会の役割を問い直す時期かもしれない。

 今回の総会の開催案内は、7月31日に厚労省のホームページに掲載された。そこでは、議題(案)として「会長及び会長代理の選出について」「その他」が挙げられていた。
 前回会合では、貝塚会長の再任に引き続いて、少子高齢化をめぐる社会保障制度の在り方について活発な議論が交わされた。このため、2年半ぶりの総会で「その他」の議題に期待したメディアも多かったのではないか。

 傍聴席はほぼ満席だったが、不気味なぐらいに発言がなく、何事もない総会に終わった。委員26人のうち、13人も欠席したからだろうか。同日の総会を簡単に振り返る。

 冒頭、再任された貝塚会長が挨拶。「しばらく社会保障審議会の総会は開いていなかったので」と切り出した。
 「この1、2年、年金問題など議論が紛糾して、じっくり議論する余裕があまりなかった。今度はいよいよ政権党が変わるかもしれない。今までの社会保障の考え方が、場合によれば多少変わる可能性がある。ある意味では今までに経験したことのないような状況で、第三者的だが、たぶん役所の方は『一体どうなることか』と思っているのではないかと思う。いずれにしても社会保障の問題は非常に微妙な問題だが、私はそれほど......、基本的な考え方に、自由民主党と民主党に差異が大きくあるとは......。差異は大きく言わないと、政治の場では議論にならないということもあるので......、そういうことで、よろしくお願いいたします」

 続いて、社会保険庁の解体に伴って来年1月に設置する「日本年金機構」と厚労省との役割分担などについて、年金局の古都 賢一・総務課長が説明。同機構の業務運営の在り方を審議する「日本年金機構評価部会」(仮称)の設置案を承認した。

 「消えた年金問題」などで年金制度への信頼が揺らぐ中、第三者評価制度の在り方や今後の方針は重要な課題と考えられるが、委員から意見は全く出なかった。貝塚会長が「質問や意見は」と何度か促したが、一様に沈黙した。

 その後、社会保障審議会の分科会と部会の設置状況の説明があり、ようやく発言が出たが、後期高齢者医療制度の継続を求める声だった。神田真秋委員(全国知事会社会文教常任委員会委員長、愛知県知事)は「抜本的な見直しをすると新たな混乱が起きる。より良いものに定着させる努力が必要」と訴えた。

 次いで、大日向雅美委員(恵泉女学園大大学院教授)は「少子化対策には待ったなしの課題がたくさんある」と前置きして、次のように述べた。
 「選挙に向けて各党がマニフェストを出している。そこには、どちらかと言うと現金給付が随分注目を集めているように思う。確かに一定の効果はあるかもしれないが、もう少し長期的な親の働きと子育てを両立できる保育制度、地域の子育て支援の充実などが大事。このような次世代育成支援を進めるためには財源確保が必要だ」

 このほか、人口推計に関する貝塚会長の質問に廣松毅委員(情報セキュリティ大学院教授)が答えただけで、特に議論もなく終了した。閉会に当たり、間杉純・政策統括官(社会保障担当)は次のように述べた。

 「政策統括官の間杉でございます。本日は新しい部会、既存の分科会の運営の方向性、在り方につきまして、非常に貴重なご意見を賜りまして誠にありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。多言は申しませんが、せっかくの機会なので、お手元に『参考資料』という形で、少し分厚いですが、いくつかの社会保障をめぐる基本的な資料をお配りさせていただいております。
 ご案内の通り、社会保障国民会議が昨年の1月から始まりまして、社会保障の機能強化、特に基礎年金の最低保障機能強化の問題、それから地域医療の再生の問題、介護人材の確保、少子化(対策)等々、さまざまな問題が社会保障の機能強化ということで浮上してきているわけでございます。
 それは(昨)年末に、財源確保と併せて『中期プログラム』という形で閣議決定された、そんな流れがございます。そして、そういった流れの中で今年の「骨太(方針2009)」の中では、長年、厚生労働省が苦しんでまいりました(来年度予算の大枠を定める概算要求基準である)シーリングの(社会保障費)2200億円(の抑制目標)について、この点については、(1兆900億円の自然増を認め)2200億円(の抑制)はかけないということで、大きな議論があったわけですが、そういう決着になったという、そんな大きな流れがございました。
 私どもこれから、社会保障の機能強化という部分、あるいは予算編成、あるいは制度改正という形で、また各部会、分科会などでご議論を賜ることになろうかと思っておりますので、何卒、引き続き委員の先生方のご指導を厚くお願い申し上げるものでございます。本日は誠にありがとうございました」

 
 
 
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