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中央社会保険医療協議会 (中医協) ― 09年度第12回(8月26日)

8月26日の中医協.jpg 中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は8月26日、保険医療材料専門部会と総会を開催した。(新井裕充)

 保険医療材料専門部会(部会長=小林麻理・早稲田大大学院教授)の議題は、▽保険医療材料等に関する海外実態状況調査の報告 ▽医療機器業界からの意見聴取─の2項目。

 総会の議題は、▽医薬品の薬価収載 ▽医療機器の保険適用 ▽先進医療専門家会議の報告 ▽その他(社会医療診療行為別調査の検証状況の報告)─の4項目。

■ 保険医療材料専門部会
 
 前回7月15日の同部会で、委員から「医療機器の審査や承認に関する具体的な取り組み状況をお知らせいただきたい」との要望があったため、「宿題事項」として、医薬食品局の担当者が医療機器の承認審査について簡単に説明した。
 担当者は、新医療機器の開発から審査、販売までのプロセスを説明した上で、「医療機器迅速化アクションプログラム」の概要を紹介。「今年度から 2013年度までの5年間で、新医療機器の承認までの期間を19か月短縮する」としたが、「デバイスラグがどうしたら縮まるか、資料を見ても分かりにくい」などの指摘があった。

1. 保険医療材料等に関する海外実態状況調査の報告
 カテーテルなど医療材料の価格が海外の販売価格と比べて割高になっている状況(内外価格差)を是正するため、厚労省の担当者らが昨年、イタリア、オーストラリア、カナダ、スウェーデンを視察し、各国の医療制度や材料価格などを調査した結果を報告した。

 調査では、日本で12万7000円(償還価格)の「PTCAカテーテル」が海外平均で6万7000円など、海外の販売価格と大きな開きがあることが改めて示された。海外の価格が低い要因について、▽総額予算制度を採用している ▽公定価格ではなく購入価格である ▽病院の集約化等によるスケールメリットがある─などを挙げた。

2. 医療機器業界からの意見聴取
 2010年度の保険医療材料制度改革に向け、▽日本医療機器産業連合会(医機連) ▽米国医療機器・IVD工業会(AMDD) ▽欧州ビジネス協会(EBC)─の3団体が意見を述べた。

 医機連の荻野和郎会長は、AED(自動体外式除細動器)の普及が蘇生率の向上に貢献していることを例に挙げ、医療機器の技術革新や改良・改善(イノベーション)に対する適切な評価を求めた。
 和地孝副会長は、イノベーションを促進する上で、「償還制度の仕組みに課題がある」と指摘。さまざまな機能を持つ医療材料が同一区分内に混在しているために同一の償還価格で評価されている現在の仕組みを見直し、構造や安全性などの工夫がある製品には別の価格を設定することなどを求めた。

 AMDDのケイミン・ワング会長も、イノベーションの適切な評価を求めた。ワング会長は、欧州や米国で承認されている医療機器の約半数が日本で承認されていない「デバイスギャップ」の現状を紹介。日本で承認申請を行わない、または行えない理由として、「規制関連のコストが高い」「市場環境が不十分」「承認に関するタイムラグ」などを挙げ、「デバイスギャップの縮小や事業者の新規参入を促すため、イノベーションへの適切な評価は必須」と強調した。
 その上で、「デバイスギャップの縮小や、医療機器の安定的な供給にネガティブな影響を与えているとみられる外国平均価格制度を廃止すべき」と主張。廃止が困難である場合には、「製品の安定供給のため、少なくとも市場環境の安定が必要」と述べた。

 EBCの医療機器委員会・診療報酬小委員会で委員長を務める杉山純男氏も、他の2団体と同様にイノベーションへの評価を求めたほか、新医療技術の保険導入について、「現行の関連学会経由の要望方法では保険導入されるか否かのプロセスが見えない」と指摘。業界が直接要望できるプロセスの導入を検討するよう求めた。
 デバイスラグやデバイスギャップの縮小については、▽海外製造元の理解や支援を得るために、改良加算のガイドラインを作成し、その適用範囲やプロセスを明確にする ▽既に区分B(個別評価)の価格が適用された場合でも、区分C1(新機能)申請に十分なデータが揃った時点で改めてC1申請が可能になるシステムを導入する─の2点を要望した。

■ 総会
 
1. 医薬品の薬価収載
 9月4日収載予定の新医薬品7成分11品目を承認したが、ファイザーのカデュエット配合錠について議論があった。7成分11品目について厚労省・薬価算定組織の加藤治文委員長が報告した後、保険局医療課の磯部総一郎薬剤管理官が次のように補足説明した。
 「これ(カデュエット配合錠)はこれまで、この場(中医協)でたくさんの議論をいただいている配合剤。高血圧症と高コレステロール血症の成分を含有した配合剤で、算定については(薬価)算定組織でも非常に長時間のご審議を頂いた。(配合剤は後発品の使用促進を阻害するという)中医協でのご議論を踏まえて、現行ルールの中でどのような算定がなし得るかという長時間の議論だった。これまでの(薬価算定の)運用だと214円だが、今回の(引き下げる)算定で183円20銭ということで、大体15%程度の減額の算定をした。これについては企業(ファイザー)も、これまでの中医協の議論を理解していただき、ご納得いただいた」

 これに対して、配合剤を新薬として承認することに強く反対している支払側の小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は、「ジェネリック医薬品を阻害しかねない」」と改めて指摘。その上で、「これから(配合剤の価格を引き下げる)算定ルールを決めていこうという、こういうタイミングで申請されたのは釈然としない。算定ルールが決まるまでに駆け込み申請がなされるような状況がないかどうか、配合剤の薬価収載の見込みを教えてほしい」と質問。磯部薬剤管理官は次のように回答した。
 「今、薬価専門部会で議論している配合剤のルール改正が行われた場合、(引き下げルールが)適用されるのは来年の4月収載分から。(それ以前は)12月に収載予定で、その時に(配合剤が)出てくるかということだが、薬事の審査状況を拝見していると、問題になるような配合剤は今のところ見当たらない。(小林)委員がおっしゃったような『駆け込み』のものは見当たらないと認識している」

 このほか、2月25日の中医協総会で承認され3月13日に薬価収載された抗パーキンソン剤の「トレリーフ錠」の価格が、抗てんかん薬「エクセグラン錠」と同一成分であるにもかかわらず、その100倍以上の価格で販売されているとの新聞報道について伊藤文郎委員(愛知県津島市長)が質問。また、小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は「抗てんかん薬として既に薬価収載されている説明がないまま、(承認されて)収載されたので、備考欄などで説明してほしい」と要望した。

 これに対して、薬価算定組織の加藤委員長は「今、突然言われてびっくりしているところ。詳しくは事務局(保険局医療課)から」と回答。磯部薬剤管理官は、両者を100㎎の用量を基準にして比較すれば「100倍以上の差が付いているのは事実」としながらも、1日薬価を基準にすれば7.6倍の薬価差であるとした上で次のように回答した。
 「このようなケースについて類似薬効比較方式を採らないで原価計算方式を取るかどうか、議論があるところで悩ましい。(トレリーフ錠について)エフピー錠という類似薬がある。間違いなくある。『類似薬があるんだけれども、こういったケースは原価計算方式を採るべきだ』という基準をつくる必要がある。今回は原価計算方式だと安く抑えられるという認識があるからそういう議論になるが、逆に原価計算方式のほうが非常に高くなるケースもあり得る」

 この件は今後、薬価算定組織の意見を踏まえ、薬価専門部会で検討する方針。

2. 医療機器の保険適用
 8月1日付けで保険適用した医療機器について厚労省の担当者が報告。特に質問もなく、「中医協として特段の意見なし」とした。新たに保険適用したのは、医科と歯科を合わせて55件。医科は、区分A2(特定包括)27件、区分B(個別評価)23件、歯科は区分A2が1件、区分Bが4件だった。

3. 先進医療専門家会議の報告
 保険診療と併用できる先進医療として8月19日の先進医療専門家会議で承認された「リアルタイムPCRを用いた迅速診断」を了承した。同会議では、実施責任医師の要件(皮膚科専門医)の緩和を求める意見があったが、原案通り「皮膚科専門医」とした。委員から意見は出なかった。

4. 社会医療診療行為別調査の検証状況の報告
 厚労省大臣官房統計情報部の「社会医療診療行為別調査」のデータが、同省保険局の「メディアス」(医療費の動向)と大幅に乖離している原因を調べるために設置されたワーキンググループの検討状況について、保険局医療課の佐藤敏信課長が報告。「今後は処置等を中心にさらに検証を進めつつ、試行的に特別集計を行っていく」とした。
 今回の報告は、8月5日の中医協・基本問題小委員会への報告とほぼ同じ内容。経年変化を見る調査手法などについて、中川俊男委員(日本医師会常任理事)が改めて批判。「社会医療診療行為別調査を拡大しすぎている。そもそも、(社会医療診療行為別調査は)経年変化を見るには適さない」などと不満を表したが、遠藤会長は「ワーキンググループのミッションは(乖離の)原因を探ることなので、そのレベルのことしかやっていない」と退けた。
 
 
 
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