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〔新生児医療の教育現場から①〕若手医師から医療界に提言し、現場を変える

■教育体制弱体化と、増える医学部制
プレゼン中.jpg 医師養成の環境は変わりつつある。医師不足が叫ばれる中、医学部定員については昨年、削減に取り組むとした1997年の閣議決定を見直すことが決まり、国は将来的に医師数を現在の1.5倍にまで増やす方針を打ち出している。文部科学省は来年度から10年間の医学部入学定員を全国79大学で合わせて369人増員することを決め、総定員数は8855人になった。ただ、実際に医師が育つには10年以上はかかるため、教育体制の整備が欠かせない。医学部教育に詳しい山形大学の嘉山孝正医学部長は、「医療費が抑制されているので、大学も教育スタッフや設備が乏しくなってしまっている。定員を増やしたら同時にこれらも充実させなければいけない」と話す。 

 このほか、医局の医師派遣機能を弱体化させたと言われる新医師臨床研修制度も今年度に見直された。産科や小児科を希望する研修医は1年目から産科か小児科の研修を受けるか、2年目からの選択研修で希望するかという形になった。大阪大学医学部付属病院小児科の和田和子講師は、「希望する科が決まってない研修医が選択必修で産科小児科を選ばなければ、研修の機会はないということ。進路決定の時期が前倒しされてくる」と指摘する。 

 このほかにも、大学病院が独立行政法人化して以降、運営交付金が年々削減されていることや、指導医クラスの医師が臨床医不足のために教育に時間を割けなくなっているという意見もあり、教育体制の弱体化を懸念する声は多い。

セミナー会場様子.jpg 研修に参加した、宇治徳洲会病院の小児科で働く卒後5年目の篠塚淳さんは、「参加してすごくよかった。新生児科医同士の横のつながりが作れそうな気がした。働いていて行き詰まったりして息苦しいこともあったけど、こういうつながりをネットワークにして、新生児医療全体のレベルを上げて標準化できるではないかと思った。今後も新生児医療を続けていく」と、意気込みを語る。

 増える医学部生や、若手医師への教育体制の充実は喫緊の課題だ。この学会が行っているような若手医師自身が医療界について考え、今後の医療界の在り方を提言してもらうということも、一つの可能性になっていくのかもしれない。

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