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ニュース〜医療の今がわかる

新型インフルの混乱 「健康局長の責任」木村盛世検疫官

 13日のがんセンター講演会、最後に再現するのが、当日は冒頭に行われた木村盛世・検疫官の講演。木村氏のブログを愛読している方にとっては目新しいものはないかもしれない。でも面白い。(川口恭)

 まず折角畑違いのがんセンターに来たので一言。独立行政法人化への準備が進んでいることと思う。これだけ大きな所だと、さぞや資産価値も高いだろう。きちんと開示する必要がある。民主党の政策は天下り禁止だけれど、まさこここが天下りの温床になることのないように、国民・マスコミの皆さんには注目しておいていただきたい。

 さて本題に入ってインフルエンザ対策。何が正しくて何が間違っていたのか。

 全部、行動計画に基づいて行われている。まず最初が水際作戦。皆さんも防護服に身を固めた検疫官たちのものものしい姿を覚えていると思う。日本国内に1人も入れないという水際対策が計画の大前提にある。その次にあるのが、入ってくるとは想定されていないんだけれど、万一入ってきてしまった時には学校閉鎖とか集会の自粛とかさせましょうというもの。要するに検疫に最も力を入れた計画になっている。

 どのような疾病に検疫は有効か。そもそも検疫って何をしているのか分からないかもしれないが、サーモグラフィーというもので体温を見ている。新型インフルエンザが発生したら性能が上がったからという理由で値段も上がったといういわく付きのものだが、それで見て体温が高かったら押さえる。実はこれだけ。で、検疫所というのは入国の一番最初に通過するところなので、サーモに映るのは、ほんの数秒。それでもSARSのようなものには意味があるかもしれない。SARSが感染するのは感染者の体温が高い時だけと分かっているから。インフルエンザの場合、潜伏期があって発熱のない時期から強い感染力を持つ。それから今回の場合は発熱しない人も多い。

 ところが厚生労働省は症例定義を体温38度以上としてしまったので、これ以上ないと引っかからないことになった。あと夕方から夜間の到着便になるとアルコールを飲んでいる人も多くて、そういう人は真っ赤っかに出る。そういう機械だ。これで1人も入れないなんてことができるか、少し考えたら分かりそうなもの。基本的に潜伏期のあるような病気を検疫で全部止めるのは無理。

 水際作戦というのは軍事的にもダメというのは、栗林中将(硫黄島)の時に分かったはず。病気に対する水際作戦も過去から何度となく試みられてきた。ペストが流行した時にはイギリスやイタリアは海岸に兵士を揃えて一切の人を入れないようにした。それで流行が防げたか、防げなかった。舛添さんは『日本は島国だから』と言ったけれど、イギリスだって島国だ。スペイン風邪の時にはオーストラリアでも水際作戦をやった。でもみな流行からは逃れられなかった。SARSの時、主にアジアの空港で3000万人を対象にスクリーニングが行われた。それで見つかったのは、ほぼゼロ。

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