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ニュース〜医療の今がわかる

新体制の中医協で、ついに"開戦"

■ 「DPCを改善しなきゃいけない」 ─ 嘉山委員
 

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 現場の声を出させていただきますと、DPCをやれるような、データを出せるような所は問題ないんです。ただし、これからまだ(DPCに)入ってくるであろう所がある。全部、DPC(の網)を日本中にかけようとしているわけですから、方向性としては。そういう点で困っているような所もあるのではないか。

 もう1つは、先生がおっしゃるように、「先端の所でやることは先端の所でやりなさい」ということじゃなくて、慶應の前医学部長の北島先生も内閣府で......。クリニカルリサーチが非常に日本は落ちているんですよ。クリニカルリサーチというのは、いわゆる一般の医療の中でも日常的にやっていかなければならない研究なわけですね。研究がかなり落ちている。
 その良い例がですね、医学界の最高の雑誌である「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」で昨年度と一昨年度、がんに関する日本のクリニカルリサーチはゼロです。これはもう、我々としては大ショックだった。それだけ現場がもう疲弊している。

 疲弊しているのは人間的なもの、ソフトの面もあるのですが、ハードの面もある。つまり、医療費が出て行っていない。従って、クリニカルリサーチ、つまり動物実験じゃなく、人間を相手にしたリサーチができない。ですから北村先生、人間を相手にしたリサーチができないと、薬が開発できないんですよ。日本の医療産業が負けているのは、人間を相手にしたリサーチができないからです。

 その1つの足かせになっているのがDPCだと、現場で、至る学会で出ているんですよ。そのことにご配慮いただかないと、そういう医療費の配分をしないと、日本が世界から取り残されていくと思いますので、その辺にご配慮願いたい。

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 あの......、1つ、よろしいですか。「ご配慮」と言いますかですね、「最終的に何をするのか」というのは、我々(委員)が決める話でありますので......。

 ▼ いや違う。厚労省が決めて、それを"御用委員"が追認しているだけ。ただ、厚生科学研究費などでズブズブの御用委員が厚労寄りの発言をするのは理解できなくもないが、国民の意見を代表する立場の「公益委員」が"御用"であってはいけないと思うのだが......。ところで、公益委員の3人のおばさんはなぜ全く発言しないのだろう。中医協はいつも予定時間をオーバーするのだが、時計の針が昼の12時を指すと、白石小百合委員(横浜市立大国際総合科学部教授)はそそくさと退出してしまう。パートタイマーのように割り切りすぎるのもいかがなものかと思ったりする。

[嘉山委員(山形大)]
 はい、分かります。

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 (苛立ったように早口で)今のお話は、要するにクリニカルリサーチの1つの障害としてDPCの支払い方式が関係しているんだから、そこら辺を配慮したような形の何らかの方法を考えるべき、そういうご提案?

[嘉山委員(山形大)]
 はい、そうです。具体的に提案しろと言われれば、いつでもさせていただきますが、例えば、脳卒中の最先端の研究、クリニカルリサーチは全く止まっています。なぜかと言うと、検査料1つ取っても、マルメ(包括)でやられていますから、その辺のところも変えていただきたいと思います。

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 ただ、ここの(候補項目の)中で、既に妥当だと思われている項目の中にはですね、明らかに高機能病院には点数が取れるような、そういうような内容のものも入っているんです。「非常に多様な診断群分類をカバーしている病院には点数を付けましょう」というのが挙がっているとかですね、「よりそれを明確にすべきだ」と、そういうご主張ですね?

 ▼ 口が滑ったのか。「高機能病院が点数が取れる」というのは医療課と委員らの"暗黙の了解"のようなところがあり、公開の審議会で明言しないまま隠されている。ところで、「診断群分類のカバー率」という係数は、診療科が多い「総合病院」に有利な係数で、専門病院に有利な係数が「複雑性指数」ではなかったか。

[嘉山委員(山形大)]
 明確にしてですね、さらに検証していただきたい。こういう制度設計をしたとき、日本はシミュレーションをしない。大体、シミュレーションをしても、都合の良いデータしか使わない。
 そうではなくて、現場でやっている、現場を良く知っている所にシミュレーションをお願いすれば、この制度設計で機能するかどうかが分かるので、そういうこともやっていただければと思います。やるべきだと思います。

 ▼ 「調整係数」の廃止によって、どのぐらいの医療費が「新たな機能評価係数」に振り替わるかが重要。池上直己委員(慶應義塾大医学部医療政策・管理学教授)は、「調整係数」と「新たな機能評価係数」との相関関係を示すことを何度も医療課に求めたが、逃げられている。「新たな機能評価係数」が7項目になろうが50項だろうが、果たしてどれぐらいの医療費が充てられるかが最大の問題なので、医療課はその情報を開示すべきではないか。5月14日のDPC評価分科会で、池上委員は次のように述べている。
 「今後、この病院の集団(360のDPC対象病院のデータ)に基づいて議論を進めて、(指標を)判断するのであれば、この集団に対しても(調整係数との関係を)出していただく必要がある。調整係数を一挙に廃止するのか、段階的に廃止するかによる影響を見る上でも、新たな機能評価係数というのは、現在の調整係数を考慮しなくていいという前提ならば必要はないが、ある程度考慮して激変を緩和するということであれば、『採用しようとする指数』と、『現在の調整係数を合計したもの』との関係が見られないということならば、段階的な導入を考えるべきではないか。両者が相関しているのであれば、何回かに分けて導入する必要もない。その観点からも、実務的に分析する必要がある」
 大御所の池上委員が執拗にこだわるため、さすがに他の委員も同調。情報開示の方向に流れが傾いたが、西岡分科会長と保険局医療課の宇都宮啓企画官(当時)が土俵際で踏ん張った。

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 西岡分科会長、その分科会の運営スケジュールからいって、今のようなお話について、私見で結構でございますが。

[西岡分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 あの......、私見になりますと、すごく長いディスカッションになっちゃうと思うのですが、先生がおっしゃるのはもっともで、確かにいろいろな所で指摘されるところでございます。

 私たちの所では、実際に使われた医療費と、それからDPCで頂いた医療費ですね、それが既にデータとしてございます。その中で、どれだけズレがあるかどうか。かなり、マイナスの面があるかどうか、その中で最もマイナス面が指摘されておりますのが、救急医療でございます。
それでまず、救急医療について、DPCとして何をやっていくかということをやっております。

 それから、臨床研究に関しては、DPC(病院)だけが臨床研究が減ったとは考えておりません。もっと大きな変化が大学にあったということが、私はそれを考えております。ちょっと、この議論は別にさせていただけますでしょうか。これを先生とやると、2-3時間かかるかもしれませんので......。(委員ら、笑い) 申し訳ございません。

 ▼ 今回、嘉山委員は臨床研究の話を出さないほうがよかったかもしれない。反撃しやすい部分だけを引っこ抜いて、議論をはぐらかされてしまう。

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 「臨床研究が日本は非常に遅れている」という話はいろいろな所で指摘される。それは日本の全体の医療保険体制、そのもの全体を含めた議論であって、DPCの問題とこまで関連付けるかは議論になるところだと思います。ご指摘を頂いたということは承りました。今後の議論の中でまた深めていきたいと思います。

 ▼ 逃げ切りモード。

[嘉山委員(山形大)]
 最後に一言。やっぱり、マルチファクトリアルであることは間違いないが、DPCも......、全部だとは言いませんよ、影響の1つですから改善しなきゃいけない。

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 分かりました。鈴木委員、どうぞ。

 ▼ ここで、全く別の話題にそれるかと思ったが......。


 【目次】
 P2 → 「何が問題かを議論したほうが国民のためになる」 ─ 嘉山委員
 P3 → 「いやいやいや......、あの......」 ─ 遠藤委員長
 P4 → 「全国の小さな病院も全部入っている」 ─ 西岡分科会長
 P5 → 「DPCを改善しなきゃいけない」 ─ 嘉山委員
 P6 → 「医療がどんどん荒廃してしまう」 ─ 鈴木委員
 P7 → 「完治に至らないままの退院が増えているという実感」 ─ 安達委員
 P8 → 「ちゃんとやっても赤字というのはおかしい」 ─ 邉見委員


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