文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

療養病棟の救急受け入れ、反対続出 ─ 11月20日の中医協

西澤寛俊委員(中央)1120.jpg 重症患者を受け入れる「救命救急センター」に軽症・中等症の患者が流れ込む"三次救急の疲弊"を改善するため、厚生労働省は療養病棟の救急受け入れを診療報酬で評価する方針を打ち出したが、病院団体などから反対意見が続出している。(新井裕充)

 2010年度の診療報酬改定に向け、厚労省は11月20日の中央社会保険医療協議会(中医協)で、療養病棟の評価として、「後方病床機能」「救急支援機能」を提示した。

 このうち療養病棟の後方病床機能については、「在宅医療や介護施設においては、患者や入居者の病状の急変の際、速やかに医療を提供できる後方病床の確保が重要である」と指摘。救急支援機能については、「円滑な救急医療体制の構築が喫緊の課題」とした上で次のように問題提起した。
 「高齢者の軽症・中等症患者の救急搬送件数の増加が顕著であり、救急医療機関において重症救急患者を受入れられなくなるケースが生じている。実際に、療養病床において救急搬送患者を受け入れている実態がある。また、こうした地域のニーズを踏まえて、救急医療機関と連携して療養病床で救急患者を受け入れる取組みが始まっている」

 その上で、療養病棟の診療報酬上の「論点」として、▽急性期医療、在宅医療及び介護施設の後方病床としての機能 ▽軽症・中等症の救急患者を受け入れている療養病棟に対する評価─などを示し、意見を求めた。

 療養病棟の救急受け入れ機能について、診療側の鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)は「地域の一般病床で受け入れるのが良い」と否定。西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)も、「療養病床は役割が違う」と退けた。
 さらに、支払側の勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)も、「機能が違う。積極的に評価することに違和感を感じる」などと反対した。

 これに対して、日本看護協会副会長の坂本すが専門委員は次のように述べ、療養病棟の救急機能を評価する方向性を支持した。
 「軽症・中等症の救急患者を受け入れるのは、本当にこういう所(療養病棟)でいいのか、機能的には大変難しいと思うが、あまり病院がない所を見ると、今回の新型インフルもそうだが、若干、療養型でもやってくださっている所があって、大変ありがたかった。だから、開業医の先生たちがいらっしゃらないときはそういう所でやってくれているのは大変住民にとって良かったと思っている。機能的にはちょっと違うかもしれないが、何らかの形でやっていらっしゃることについては少し考えてもいい」

 三次救急をめぐっては、"最後の砦"であるはずの救命救急センターが"最初の防波堤"になっているとの指摘もある。勤務医の負担軽減という観点から、三次救急を疲弊させている原因を取り除こうとする今回の厚労省案は妥当な方向と考えられるが、全日本病院協会会長の西澤委員は次のように否定した。
 「療養病棟で論じるのではなくて、救急体制で、どうして三次救急にミスマッチがいるかということ。要するに二次救急、あるいは一次救急、そういう所がどんどんやめていっているので、そこ(三次)に行ってしまう。そこのシステムを直すほうが大事であって、そこが直ればこういうミスマッチがなくなるから、『直接、療養病棟へ』はあり得ないんじゃないか」

 高度急性期への拠点化・集約化を進め、その後方病床として「地域一般病棟」を位置付けるべきとの主張にも聞こえるが、果たして地方病院の実情を踏まえたものといえるだろうか。療養病棟の機能をめぐる同日の議論は次ページ以下を参照。


【目次】
 P2 → 療養病棟の現状 ─ 資料のポイント
 P3 → 療養病棟の課題 ─ 資料のポイント
 P4 → 「救急のメーンは一般病床あるいは急性期」 ─ 鈴木委員
 P5 → 「システムを直せば三次救急のミスマッチはなくなる」 ─ 西澤委員
 P6 → 「軽症・中等症の救急受け入れは『亜急性期』で」 ─ 西澤委員
 P7 → 「赤字の区分は診療報酬体系として大変おかしな形」 ─ 安達委員
 P8 → 「新型インフルで療養型が大変ありがたかった」 ─ 坂本専門委員
 P9 → 「区分1を上げないと機能しない」 ─ 安達委員


  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
  • 「認知症 それがどうした!」電子書籍で一部無料公開中
サイト内検索
loading ...
月別インデックス