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「何百万円で動く私でない」 土屋がんセンター院長、自ら退く


 司会
「データベース公開の具体的な障害があれば教えてほしい」

 村重
「私もそんなに詳しいわけではないけれど、具体的な障害は思いあたっていない。今でもPMDAのホームページに検索する形では出ている。それを丸ごと誰でも研究に利用できるような形にはなってない。PMDAが単独でデータを持っていて、たった一つの機関で薬害なり副作用なりの監視をするから役人は黙っていて何もしないでいいというスタンスではなくて、PMDAの方たちにも薬害を防ぐとか救済とかはやってもらわないといけないけれど、すべて公開することで国民みんなで多くの目で見た方がより早く発見する可能性は高くなる」

 勝俣医師(がんセンター中央病院産婦人科)
「卵巣がんの治療に関して、片木さんとも色々打ち合わせをすることがある。一言。ジェムザールの安全性について、世界で使われるようになってから10年も経っている。卵巣がんの患者に対して安全性と有効性がどうなのかという科学的な議論がほとんどされていないにも関わらず、データがないから治験をやりなさいとバカの一つ覚えみたいなことになっている。現場にいる専門家からすればナンセンス。国立がんセンターには専門家がたくさんいるにも関わらず、PMDAとのパイプもほとんどないし、厚労省の審査課の人と話し合う機会もほとんどない。もっと国立がんセンターを使ってもらいたい。非専門家の所で勝手な議論をしていて、専門家はこの病院にたくさんいるのに使われないというのが非常に残念。その辺りの所も独法化して、もっとスムーズにいけるようになってほしいなと思う。米国の例で言えば、NCAとFDAにきちんとしたパイプがあるから、年中そこで色々な薬の承認作業をしっかりやっている。せっかくこういう病院があるのに。恐らく皆さんは、国立がんセンターは政策提言をしているとか、厚労省としっかりしたパイプがあってやっていると思っていると思うが、実際のところはほとんどなくて、一般病院と同じ。そこのところ、きちんと政策提言できるように国とパイプが深められるような機関になっていければいいと思う」

 竜・医療構想千葉代表
「私も国立がんセンターにいたことがある。本当に厚労省とのパイプはないに等しい。実際に日本に何が欠けているかというとエビデンスで、ナショナルプロジェクトとしてエビデンスをつくるべき。もう一つ、役人は国民に貢献するというのが仕事のはず。自分たちの家族を守るためじゃないということを忘れているんじゃないか。適応を広げていくというのはフェイズ2、3の話だろう。安全性というのはフェイズ1フェイズ1が確立されているなら、この疾患には効くか効かないかというスタディを国としてやっていけばいい。そこを日本の国としてやったことを世界にエビデンスとしてきちっと出していく。国として、そういう学術論文を書く人、もしくはプロジェクトをいつも持っていれば、常に国民に公開して行けるということになるんだろう。常にナショナルスタディのデザインを考えていて、エビデンスを幅広く出していくという感覚が必要。

 あと一つ副作用に関して言うと、国に届けない副作用もいっぱいある。私が千葉県がんセンターでみんなに言ったのは、患者さんが言わない副作用を見つけろということ。薬を変えなくても、基材をちょっと変える、たとえば生理食塩水を5%のブドウ糖に溶くだけでも神経痛なんか違ってくる。そういった副作用対策は現場でできる。それをいっぱい集めると、がんの専門病院じゃないところでも副作用の少ない同じような抗がん剤治療ができる。そういう意味でも、日本は小藩分裂でやっているが、国としてのプロジェクト、藩の創意工夫も大事にしつつ、ナショナルプロジェクトをきちんとやるためにも、これからの国の役割、ナショナルセンター、国立がんセンターの役割は非常に大きなものだと思う」

 上・東大医科研准教授
「国の体質とかナショナルプロジェクトとか言っているからできなかった。今日の話はそうじゃなくて、患者さんと共に個別の問題を解決して情報公開することで、よくしようということ。国立がんセンターは単なる一病院。信頼を失ったから理事長が代ったわけで、そういう考えを持っている限り、よくならないと思う」

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