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医師の不足数は2.4万人? 5.2万人? 12.5万人?

医学部定員検討会20110128.jpg 医師不足と言われるが、何人足りないのか分からない。医師の実働数が分からない。(新井裕充)

 文部科学省は1月28日、「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」(座長=安西祐一郎・慶應義塾学事顧問)の第2回会合を開いた。

 この日は、医師不足が深刻とされる急性期病院の院長、副院長ら3人から意見を聴いた。

 昨年末の初会合では、厚生労働省から提出された医師数に関するデータに批判が集中、「実際に病院で医師が何人働いているのか」など実態把握の必要性を指摘する意見が複数あった。

 これを踏まえ、今回の会議で文科省は「現員医師数に対する必要医師数」などの資料を提出したが、既に厚労省のホームページで公表済みで目新しいデータではなかった。もちろん、病院で実際に働いている医師数を示すデータもない。

 ヒアリングで、聖隷浜松病院の堺常雄院長は「勤務時間に注目すると(病院勤務医は)5.2万人足りない」と厚労省のデータを分析。「近隣の病床が減れば、その分(集約化で)医者が潤沢になるという議論があるが、病床が減っても病院が努力しても医師勤務時間の大きな削減にはなりにくい」と現状を訴えた。

 堺院長はまた、医師数増加の方法として「メディカル・スクール」という選択肢にも触れながら、こう述べた。
 「現状の医療提供体制160万床(と勤務医の業務体制)では絶対数が不足している。どういう医師が不足しているかを議論する必要がある。増員の方法と程度は検討が必要。医学部の定員増加、医学部の新設か、メディカル・スクールか」

 続いて、済生会栗橋病院の本田宏副院長は、「日本の人口当たり医師数はOECDの平均以下でビリから3番目」と指摘した上で、「シンプルに計算すると12.5万人不足だが、厚労省調査では2.4万人の不足だった。あれを見た時、私はショックでしばらく立ち直れなかった」と皮肉った。

 本田副院長はさらに、「実働数の把握は無理。労働時間、常勤か非常勤か、当直しているか、(調査で)一切きいていないから実働数の把握は無理。こういう調査でいいんですか?」と苦言を呈した。

 2.4万人、5.2万人、12.5万人......。医師は果たしてどのぐらい足りないのか。実際に病院現場で働いている医師がどのぐらいいるのか。今後の医師養成数は何人か?

 ヒアリングの3人目は、かつて厚労省の検討会で医師数の見通しを試算した長谷川敏彦・日本医科大教授だった。しかし、長谷川教授は冒頭で「大きな反省をしている。需要の予測をすべきではなかった。需要を計算するのは間違っていた」と言い放った。

 その上で、「総合的に勘案すると、需給、バランスを考えるのは難しいことだと思う」「需要に適応していない医者をなんぼつくっても足りない」などと反省点や課題などをひとしきり述べて、最後にこう言った。

 「医師需給の課題は数の議論だけではなく総合的な政策を同時に施行することが必要で、他の職種とも連動する必要があるのではないか」

 詳しくは、2ページ以下を参照。
 

【目次】
 P2 → 「要望の資料は引き続き努力させていただく」 ─ 文科省
 P3 → 「勤務時間に注目すると5.2万人足りない」 ─ 堺院長
 P4 → 「シンプルに計算すると12.5万人不足」 ─ 本田副院長
 P5 → 「医師需給は数の議論だけではない」 ─ 長谷川教授
 P6 → 「この国が医療費を100兆円使うのは難しい」 ─ 西村委員
 P7 → 「経済学者や私でなく国民が決めること」 ─ 本田副院長
 P8 → 「資料を提出させていただきました」 ─ 日医副会長


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