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ニュース〜医療の今がわかる

医療事故調検討会2

 最後の参考人はリスクマネジャーとして活躍している富永理子さん(呉医療センター・中国がんセンター医療安全管理者)。ミスで障害の起きた医療事故にどう対応したかの実例を含めて述べた陳述はどちらかというと堅苦しかったが、委員の質問に対する答えは当意即妙で、いずれも委員の意表をついていたのでないかと思われ面白かった。

 樋口
「仮定の話で恐縮だが、障害ではなく、患者さんが亡くなられた場合は警察へつなぐことになるだろう。その場合、病院側はどういう対応になるのだろう。第三者機関があった場合、そこでどのようなことが期待されるだろう」

 富永
「死亡の場合も対応は変わらない。ただ、病院側の人間との話では納得してもらえないことはある。デッドロックになるようであれば第三者機関にきっちり調査してもらうのには意味があると思う。すべての事例が第三者機関へ届くのは望ましいことではない。個々の医療機関の中でできることが相当ある」

 樋口
「警察へ届けても、司法からプラスの影響もマイナスも影響もない?」

 富永
「警察がドカーっと来るとエライことになる。死亡から24時間以内に届け出るとそうなる。鑑識から何から大勢で来て、患者家族は待機させられるし、医療者も次々と事情聴取されるので、その作業中は大ごとになる」

 楠本万里子・日本看護協会常任理事
「リスクマネジャーが紛争調停にもあたるのだと思うが、そのために必要なものは何か、それをどのように養成すべきと思うか」

 富永
「リスクマネジャーがすべてするのは間違っている。紛争が発生してしまったら、メディエーターがいればその方に引き継ぐべき。国立病院機構では仕方なく兼務しているが、リスクマネジャーの本来の仕事は予防活動であり、紛争にかかわっている間、その作業がストップする。それは本来の趣旨から言っておかしい」

 山口徹・虎の門病院院長
「先ほどデッドロックになったら第三者機関という話だったが、医療機関の見解と第三者機関の見解とが一致すれば良いけれど、一致しなかったらどうするのか」

 富永
「院内で問題の所在を指摘できないような組織なら、なおさら第三者機関が必要。成熟した組織なら、少なくともシロクロが引っ繰り返るようなことは起きない。その意味でも各医療機関が組織を育てる必要がある」

 加藤
「情報を対外的に公表しているか」

 富永
「していない。今後やりたいとは思っているが、ホームページに載せるようなところまでは手が廻らない。機構内のリスクマネジャーでは共有している」

 と、こんなところで参考人質疑はおしまい。4人とも、もっと引き出しはあったはずで、いかにも消化不良だが、それなりに見解の相違点はあり、そこは検討会の委員どうし議論を戦わせるべきだし、最終的に誰の意見が採用されるのか今後の見モノである。先ほど私の邪推した落とし所になっていくとしたら、後ろ2人の参考人の意見は全然生かされていないことになる。

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