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看護教員は「専門家」を育てるのか、「人」を育てるのか

【後藤修司委員(学校法人後藤学園理事長)】
後藤修司委員(左).jpg (この検討会には)国立、公立(の看護学校)、それから(看護系)大学(の委員)がおいでになりますけれども、(私は)民間の看護学校の立場で委員にさせていただいているんだと思います。

 うちは今、2年課程で40名の定員で、教員は8名。実習を専門に指導する人を別に入れていますが、実習病院がありません。

 もともと病院をやってらっしゃって、看護師の不足があって看護学校をつくるという動機で看護学校をつくった民間の看護学校というのはかなりあると思うのですが、私どものように学校をずっとやっているところもある。地元の医師会との関連などでやってきているということで、ちょっと、(国立や公立などの看護学校と)かなり状況が違うなあということを、お話をうかがっていて感じます。

 教員の問題に限定してお話をさせていただくと、(看護教員養成)講習会に行くと、いわゆる1年間のコースですね、これ、うちの場合には全部行っていますが、(講習を終えると)本当に顔つきが変わるぐらいに、視点がまったく変わるので、継続教育は絶対に必要だと思っていますが、半年ぐらいすると普通になっちゃうんですね(会場、笑い)。元に戻っちゃうんですね。
 「どうしたんだい、あの問題意識は」と言うと、私は経営の立場におりますので、理事長であり学校長なんですけども、必ず言われるのは、「こんな人数でこれだけの仕事をやっていたら、あそこで書いていたようなことはできません」ということなんですが、「そこを工夫するのが教員だろう」という風な詭弁を言っている訳ですけどね。
 うちは、教員を採用するときに一番大事なのは、澤本(和子・日本女子大教授)先生がおっしゃいましたが、教育学的な視点というかね、教育的な視点を持っているかどうか。

 このごろの学生は、本当にいろんな学生がおりますので、うちの学校を見ていても、「いろんな教員がいるな」と思っているんです。うちは通信制もやっておりますので、(全日制の教員)8人とは別に教員がおりますが、通信制は学生の年齢層が高いし、毎日来ている訳じゃないので、これは、(通信制を)始めて自分自身、混乱しているところはあるんですが、びっくりしていますが、向学心だけは非常に高いんですね。
 ものすごく高くて、今年も89%ぐらい国家試験に合格いたしましたけども、何しろ勉強熱心で向学心があって、だけど一番、教員に求めているのは何かというと、安心感みたいなものなんですね。つまり、この先生と一緒に勉強してるとか、この先生に相談するとなんとかなっていくというね、安心感をきちっと与えられる教員が、通信制の年齢が高くて経験がある人たちの中でも信頼を得ていく。付いてくると。

 そういうところから見て、40人の比較的若い人たちを見ているとですね、やっぱり、教員としては、教育的な視点で安心感を与えられるというか、学生に寄り添うというんですかね。実習の指導にも行っていますが、駄目な教員は現場の実習指導の人から(学生が)怒られるとですね、そちら(指導者)側に座って、「だからあなたは駄目なの」と学生に言うんですね。これは絶対にバツで、怒られてる時は学生の側に座って聞かないといけない。
 そういう視点を持っているのかどうかが非常に大事で、小学校や中学校や高等学校の教員のことが問題になって、教員免許の更新みたいなことが、社会の状況としてありますよね。だから、看護教員も、看護の専門性を伝えるという、先程、(臨床)実践能力という話が出ましたけども、そういう以前にですね、学生を育てるというか、「専門家を育てるのか、人を育てるのか」というところをまず、ちゃんと押さえないと駄目なのかなという気がするんですね。

 そこをどのようにするかということと、だけど、きちんと教育学的な視点を持てるという意味では、今の(看護教員養成講習会)の1年間の教育というのは非常に有効ですので、この幅をもっと広げていただきたいと思います。民間の経営者としては、もう少し、大学と比べてはるかに補助金が少ないですから、いわゆる人間に対する、教員に対する補助といいますか、そういう教育(講習会)に出て行くことに対する補助を考えていただけると、民間でも積極的に教員になろうという人が出てくると思います。
 学生も非常に多様化していると同じように、教員も相当に多様化していると私は思います。論文を書いて大学の先生になりたいという人ももちろんいますけれども、そうでなくて、ずっと寄り添って子どもを育てるということに生きがいを感じている人もいますし、臨床の現場と(教育を)つなぐことに生きがいを感じている人もいるし、いろんな人がいますから、各教員の能力をそれぞれ高めていけるような仕組みがものすごく大事だなと思う。あまり画一的に「看護教員はこうでなくちゃ」というのは、ちょっと違うかなという気がするんですけどもね。(日医の羽生田委員がにやりと笑う)

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