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後発品ある先発品の「特例引き下げ」が重要課題

医政局・木下賢志経済課長.jpg 2010年度の薬価制度改革に向け、厚生労働省は5月27日の中医協・薬価専門部会(部会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)で、「後発品のある先発品の薬価改定の特例ルール」(特例引き下げ)を重要な検討課題とする方針を示した。薬価改定の頻度(2年ごとの実施)と、後発品の薬価収載(年2回)については、「引き続き注視していくことが必要ではないか」として、今回は対応しない意向を示している。(新井裕充)

 同日の部会で厚労省が示した「平成22年度薬価制度改革における検討事項等」は、▽後発品のある先発品の薬価改定 ▽薬価改定の頻度 ▽後発品の薬価収載頻度―の3項目。

 このうち、「後発品のある先発品の薬価改定」については、2008年度の診療報酬改定の影響を調査する中医協の検証部会が実施した「後発医薬品の使用状況調査」(08年度)の結果などを示した上で、「先発品と後発品の価格差が後発品の使用促進につながるものと推測される一方で、平成14年度の制度導入の経緯も考慮しつつ、後発品のある先発品の薬価改定の在り方をどのように考えるか」としている。

 「薬価改定の頻度」については、「最近の医薬品流通に関する調査結果から、未妥結・仮納入、総価取引について一定程度の改善が見られることから、今後も引き続き動向を注視していくことが必要ではないか」とした。

 「後発品の薬価収載頻度」については、「新規後発医薬品の収載成分・品目数は、後発医薬品の収載頻度が年2回となった平成19年度以降、収載月によって大きな差が見られるため、今後も引き続き年2回の後発品収載状況を注視していくことが必要ではないか」としている。

 このように、厚生労働省は次期薬価制度改革に向け、「薬価改定の頻度」と「後発品の薬価収載頻度」の見直しを見送り、「後発品のある先発品の薬価改定」を中心に議論する方針。

5月27日中医協薬価専門部会.jpg 後発品が初めて薬価収載された先発品の薬価改定については、市場実勢価格により算定される額から、さらに追加で引き下げを行っている。

 06年度の薬価制度改革では、その追加の引き下げ率(4~6%)を2ポイント拡大して6~8%に引き上げたが、08年度の薬価制度改革等では先発品薬価の追加の引き下げ率を4~6%にとどめた。

 厚労省の担当者は5月27日の部会で、「先発品薬価の下落率は、後発品収載に伴う薬価の追加引下げ分の影響を除くと、『後発品が出たかどうか』という追加引下げの前後であまり変わらない傾向にある」と指摘した上で、次のように述べている。

 「平成14年度に後発品が初めて薬価収載された当時、後発品の薬価は先発品の0.8倍だったが、0.7倍での算定方式(後発品薬価を先発品薬価の100分の70とする算定方式)を導入してから、後発品薬価の下落率は、若干ではあるが、最初の改定の下落率が減少していく傾向にある」

 同日の厚労省の説明は以下の通り。

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