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「大病院や特定機能病院に有効な指標」 ― DPC評価分科会

6月8日のDPC分科会0608.jpg 「大病院や特定機能病院にとっては有効な指標になるだろう」―。2010年度の診療報酬改定に向けたDPCの議論が、中小病院を切り捨てる方向で進んでいる。(新井裕充)

 前年度の収入を保証する「調整係数」が来年4月の診療報酬改定から段階的に廃止される。

 これに伴って、「新たな機能評価係数」が来年4月から導入されるため、中医協の下部組織(診療報酬調査専門組織)・DPC評価分科会(会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)で審議が進んでいる。

 現在、「新たな機能評価係数」の候補に残っているのは13項目。厚生労働省は、「調整係数の廃止によって削減される医療費」と、「新たな機能評価係数の導入によって増える医療費は相関しない」との方針。
 このため、「調整係数」の廃止で病院経営が悪化するDPC病院が続出することも予想されるが、厚労省は「激変を緩和するため、調整係数は段階的に廃止する」という説明で逃げている。

 「調整係数」は、救急医療のように個別の医療行為を診療報酬で評価するだけでは不採算になる分野もあるため、運営に必要なコストを固定費のような形で支払い、病院経営の安定化を図る役割を果たしている。

 このため、「新たな機能評価係数」は、前年度の収入を保証する「調整係数」に"代わって"導入されるものという考え方もある。

 しかし、前回(6月8日)の同分科会では、「調整係数」の廃止による経営上のマイナス分と、「新たな機能評価係数」の導入によるプラス分との相関関係を考慮せずに、「新たな機能評価係数」の選定を進める方針で合意した。

 厚労省が示した資料に対して、木下勝之委員(日本医師会常任理事)は「大病院等では数も割合も多い。そうすると、大病院や特定機能病院にとっては有効な指標になるだろう。だとすれば、これを採用していこうということになるのか。データを説明すれば、こんなの誰でも分かる話。どうしていくのか」と批判した。

宇都宮啓企画官(中央)0608.jpg これに対し、厚労省保険局医療課の宇都宮啓企画官は「調整係数が高い病院がちゃんと高いものを取れるのか、低い病院が低いままなのか、そういう相関を見ることではない」と反論した。

 「(相関関係を考慮すると)病院の機能というよりも、一体、何を見ようとするのかという問題がある。もちろん、現在高い係数を持っている病院が激変して、急に低くなったらそれは病院としても困るでしょうと。それについては、段階を追って調整係数を廃止するということで手当てしようとしている」とかわして振り切った。

  しかし、「新たな機能評価係数」は「調整係数」と同様の考え方に立つべきで、個別の診療報酬点数とは別に、病院が持つ機能に対して支払われる保証部分として考えるべきだった。医療事故や感染症を防止する取り組みを進めるため、専門知識のある看護師の配置や院内の教育体制などを「新たな機能評価係数」として評価して、医療の質向上につなげるべきだった。

 現在の診療報酬体系は、医療の質を向上させる取り組みに対する評価が不十分であることが問題となっているだけに、「新たな機能評価係数」に期待する声もあったが、残念ながらそれが裏切られた形で幕を閉じようとしている。

 本日6月19日、DPC評価分科会が開催される予定だが、既に用意された"青写真"に従った議論が続くだけかもしれない。厚生労働省は病床規模(400床以上)や病院の種別(特定機能病院、専門病院等)に着目しているため、「新たな機能評価係数」は大病院を優遇し、中小病院を切り捨てる「医療費削減のための便法」として導入される恐れがある。

 前回(6月8日)の同分科会は、「新たな機能評価係数」に関する議論の重要な節目となった。前回の主な議論は以下の通り(意見交換の途中から)。

[小山信彌委員(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)] 
 小児は数では勝負できない。小児科を受ける患者さんだけでは全然足りないという状況が、今の小児の救急医療を崩壊させている。
 つまり、小児の救急に対応するためには、ほんのわずかしか来ない患者さんのために、専属の1人の医者を雇わないといけない。まさに、負担をすべての患者さんに回さないと算定できない状態。

 もし、そのような考え方をするのなら、ぜひ、病院の機能評価係数に、まさに小児や精神科こそ、いつ来るか分からない患者さんのために用意している病院の負担が非常に大きいと思うので、ぜひ加えていただきたい。

 資料「D―2」(候補項目)に載っていないものは置いて行かれちゃうような気がして仕方がないのだが、そうではないのだろうか? 今のうち、議論しておかないと......。

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